あらゆる業種でDXが進むなか、マスメディアの中心的な存在である新聞業界にもデジタルの波は押し寄せている。日本を代表する全国紙である毎日新聞では、デジタルマーケティングに注力しており、自社に最適な運用が行えるようMAツールを内製し、メールマーケティングをはじめとしたアプローチで顧客接点の強化を図っている。多くの会員を抱え、多彩なメールマガジンを配信する同社は、ユミルリンクが提供するメール配信プラットフォーム「Cuenote」をMAツールに組み込んでいるという。ここでは、毎日新聞社のデジタル推進部門とマーケティング部門の双方のキーパーソンに、システム内製やデジタルマーケティングを強化する背景、Cuenoteを活用したメールマーケティングについて話を聞いた。

読者と直接つながる、毎日新聞社のデジタルマーケティング

ペーパーレス化や紙媒体離れが進む一方で、新聞業界では各社がデジタル事業に力を入れ、業界全体でDXが迅速に進められている。そうしたなかで毎日新聞社は、デジタルマーケティングに注力し、新しい取り組みを積極的に展開し始めているところだ。顧客(読者)一人ひとりに価値のある情報を届けることで、毎日新聞のファンになってもらうことが狙いだという。

同社カスタマーリレーション本部 顧客管理・マーケティンググループのグループ長、立花 健一氏はこう話す。「これまで新聞社はあくまで新聞販売店を通じて新聞を届けるビジネスモデルだったので、お客様と直接関わる機会はあまりありませんでした。しかしお客様の生活スタイルが変化し情報チャネルが多様化する中で、お客様と直接的に関わることの重要性に気づき、顧客接点の強化に注力してきました」

立花 健一氏

カスタマーリレーション本部 顧客管理・マーケティンググループのグループ長
立花 健一氏

マーケティング活動のなかでも、特に顧客との関係づくりで効果を発揮している手段が「メール」である。現在、同社では、新聞以外の事業やイベントのお知らせ、美術関連、教育関連の情報などに関する5種類のメールマガジンをメインに運用している。

「新聞読者のメイン層は普段からメールを使用していることもあり、メールが情報を届けるうえで非常に有効なチャネルといえます。当社主催のイベントに参加した方や、キャンペーンに応募した方、紙面やデジタルのコンテンツをご利用いただいている方など、さまざまなお客様に対して一括でアクションをかけられますし、お客様の属性や行動に合わせた情報発信もできます」(立花氏)

内製により短期間でMAツールの開発に成功

現在、毎日新聞社のデジタルマーケティングの基盤となっているのが、自社で開発したMA(マーケティングオートメーション)システムだ。同社のソリューション開発センター(SDC)では、社内のDXをはじめデジタル全般に関するニーズに応えるべく、システムを内製する体制を整えている。

内製化を重視している理由について、同社デジタル推進本部SDCのチーフエンジニア、森 雄司氏はこう話す。「これから本格的なデータ活用の時代を迎えるにあたり、蓄積されたデータを分析し、よりパーソナライズされた価値提供をしていくことが重要です。それを実現するためには、社内のあらゆるツールとうまく連携しなければなりません。しかし、一般的なSaaSのツールでは柔軟性や拡張性が低く、カスタマイズが難しいという課題があり、内製化へと踏み切りました」

森 雄司氏

デジタル推進本部 ソリューション開発センター(SDC)のチーフエンジニア
森 雄司氏

MAツールの開発に本格的に着手したのが2022年の春。そこから10カ月ほどの開発期間を経て2023年1月にはローンチにこぎつけている。短期間でのシステム開発を実現している理由として、SDCの組織自体がアジャイルな体制となっており、カスタマーリレーション本部と密に連携しながらスクラム開発を進めてきたことが挙げられる。

「基盤はクラウド100%なので、短期間でインフラを立ち上げられますし、場合によっては拡張や縮小もすぐにできます。そしてある程度のシステム設計ができてからは、現場とコミュニケーションしながら、どういった機能が欲しいのかなどを詰めていきました」(森氏)

連携性と柔軟性を備え、細かいところに手が届く「Cuenote」

こうして内製化によるMAツールの開発を進めていった毎日新聞社だが、決してフルスクラッチでの開発にこだわっていたわけではない。使い勝手がよくて他システムとの連携性も高いソリューションがあれば、活用しようと考えていたという。メールマガジンの配信については、ユミルリンクが提供するSaaS型のプラットフォーム「Cuenote」を活用することとなった。

Cuenoteは、ハイスピードな大量配信を得意としたメール配信システムだ。効果測定や自動CSVインポートなどメールマーケティングに必要な機能が標準装備されており、配信数も無制限。マーケティング施策の成果向上やメール配信作業の工数削減につながる点が、導入企業から高く評価されている。

「他社製品とも比較しましたが、コスト面と連携のしやすさを両立するものは、なかなか見つかりませんでした。また、足りない機能を社内で作りこむとなると、そのぶん開発期間や労力も必要になり本末転倒です。マーケティング担当者にCuenoteを見てもらったところ、欲しい機能が100%備わっているという評価を得られ、導入を決めました」(森氏)

デジタル推進本部SDC シニアエンジニアの谷 英紀氏は、開発者としての視点からこう話す。「Cuenoteが提供しているAPIが豊富かつスタンダードなものであるため、他システムとの連携も容易でとても開発しやすかったですね。たとえば大量のデータを1件ずつ連携し、大量のアカウント情報をまとめてインポートする、といった細かい要件に合うAPIが用意されていたので、スムーズに連携できました」

  • 谷 英紀氏

    デジタル推進本部
    ソリューション開発センター(SDC)
    シニアエンジニア
    谷 英紀氏

  • 今井 敏氏

    デジタル推進本部
    ソリューション開発センター(SDC)
    プロデューサー
    今井 敏氏

デジタル推進本部SDCプロデューサーの今井氏も、「UIがわかりやすいのも大きなポイントでしたね。メール配信は担当者のちょっとした思い違いから、大量のメールを誤送信してしまうといった大きな問題にもつながりかねません。そうしたミスを防ぐためにも、誰が使ってもミスが起きない操作性という点は特に重要視しました」と、高く評価する。

メール作成のための作業時間が半分以下に!

毎日新聞社ではCuenote導入直後から、業務効率化の点ですでに大きな効果が表れている。

実際にCuenoteを使ってメールを配信した感想として、カスタマーリレーション本部 顧客管理・マーケティンググループの宮澤 暁子氏はこう話す。「アドレス帳からの絞り込み機能も充実していますし、ユーザーデータの抽出も非常に楽です。メール配信後に未開封の人だけを抽出し、再度アプローチするといったことも素早く実行できます。以前はこの作業にかなりの手間と時間がかかっていたので、時間はもちろん精神的な負担の軽減にもなっていますね」

  • 宮澤 暁子氏

    カスタマーリレーション本部
    顧客管理・マーケティンググループ
    宮澤 暁子氏

  • 甲斐 有紗氏

    カスタマーリレーション本部
    顧客管理・マーケティンググループ
    甲斐 有紗氏

同じく顧客管理・マーケティンググループの甲斐 有紗氏は言う。「ドラッグ&ドロップで、直感的にHTMLメールを作成できるので、従来の半分以下の作業時間で済むようになりました。ソースコードに触れる必要もないので、レイアウトが崩れる懸念もなく、安心感がありますね。ITリテラシー問わず誰でも作れるので、運用面の改善はもちろん、今後人員が増えた際などもスムーズに業務を進められると思います」

こうした成果を受けて毎日新聞社では、今後はA/BテストをはじめとするCuenoteのさまざまな機能をフルに活用しながら、メールマーケティングの効果を最大化していく構えだ。

最後に立花氏は次のように抱負を述べた。「当社の事業の目的は、お客様の暮らしをより良く、楽しく、豊かにすることです。そのためにも、メールマーケティングによる大勢のお客様へのアプローチをはじめ、デジタルマーケティングはこれからさらに重要になってくることでしょう。今後もSDCをはじめとした各部門や、ユミルリンクのようなパートナーと連携しながら、新聞社としての新しい価値を創出していきます」

  • 毎日新聞社の皆様

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