デジタルトランスフォーメーション(DX)の波は、あらゆる分野に押し寄せている。行政や教育の現場も例外ではなく、総務省主導で自治体DX、文部科学省主導で教育DXが推進されるなど、デジタルによる業務改革は待ったなしの状況だ。本稿では、青森県・岩手県を中心とした東北地方において、システム開発、ハードウェア販売、保守サービスをはじめ、ITに関する事業を幅広く手がける吉田システムの事業に目を向ける。同社が、地方自治体向けに展開しているITソリューションから、地方の自治体・教育機関の現状と課題、さらに解決のアプローチを紐解いていこう。

ヒアリングで“何故”を追求。自治体が本当にやりたいこと、
必要としていることを明確化

1983年に吉田産業のEDP部門から独立し、PCやサーバーの販売からシステム開発、ITインフラ構築、保守サービスなど、幅広い事業で青森・岩手の企業ITを支える株式会社吉田システム。AIを活用した議事録作成支援ソリューションの導入を皮切りに、数年前より地方自治体におけるIT課題を解決するための事業を本格化させている。

少子高齢化による就労人口の減少や、官民一体となって推進する働き方改革などを背景に、ITによる業務の効率化、すなわちDXの推進は、一般企業だけでなく、地方行政や教育の現場においても喫緊の課題となっている。とはいえ、IT人材を確保できている地方自治体・教育機関は多いとはいえず、“DXで何ができるのか”、“業務における課題とは何なのか”すら、把握できていないことも珍しくない。トップダウンでDXの推進を求められても、現場ではどの部署・組織が中心となり、どう取り組めばよいのかわからないというのが実状だ。

“お客様のパートナーであること”をミッションに持つ吉田システムでは、こうした課題を抱える地方自治体に対して真摯に向き合い、DX推進に携わる部署や、業務を担う現場へのヒアリングを実施している。単に要望を聞くのではなく、“何故”を追求することで、その自治体が本当にやりたいこと、必要としていることを洗い出し、自治体と伴走しながら問題解決を支援している。単に製品やサービスを販売するのではなく、顧客の課題に対して最適な組み合わせを提案。特定のベンダーに寄らないハードウェア・ソフトウェアの提供から、システム・ネットワークの構築・運用・保守までをワンストップで提供できるのが同社の強みといえる。

  • IT関連企業が集積する北インター工業団地に本社を構える吉田システム

現在、吉田システムでは主に5つのソリューションを地方自治体向けに展開している。議会や委員会の議事録作成を効率化する「AI議事録ソリューション」から、老朽化したシステムをモダナイズしてコストや運用負荷を軽減する「HCI(ハイバーコンバージドインフラ)」、郵送物に関する手作業を削減できる「封入封かん機」、外国人の研修生、観光客に対して質の高い行政サービスを提供するための「リアルタイム翻訳サービス」、業務を可視化し、ボトルネックになっている部分をどのように改善するかを話し合う「TOC(制約条件の理論)研修」(他社との連携によるサービス)など、“IT”という言葉に縛られないラインナップを用意し、自治体の課題解決を全方位でサポートしている。

自治体のIT環境構築をNutanix HCIの導入により支援、コストや運用負荷の課題を解決

吉田システムが展開しているソリューションのなかでも、HCIは、システムの老朽化や運用保守の人材不足に悩む自治体にとって極めて有効な選択肢であり、同社が注力している領域である。現在は、とある市役所(以下、A市役所)にNutanixのクラウドプラットフォームの導入を進めているところだ。

地方自治体においては、1つのシステムに1つの物理サーバーという構成が一般的だ。システムが増えるたびに、ラックスペースや電気料金、空調設備といったコストも増加していく傾向にある。ラック20本、物理サーバー70〜80台を運用しているA市役所においても同様の課題が顕在化しており、空調設備工事を機に課題の洗い出しを行い、対策を検討。これに対して吉田システムは、Nutanix HCIの仮想環境にシステムを集約し、物理サーバーの台数を4~5台程度に削減するという提案を行った。単にハードウェアの導入、基盤の構築を行うのではなく、既存環境からの移行までを支援するというトータルな提案が評価され、採用が決定されたという。同社が持つシステム構築のノウハウを活かし、環境構築はスムーズに進行した。現在は移行がほぼ完了し、コストと運用負荷が大幅に削減されるなど確かな効果が現れている。

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