課題解決までのレポート
接客を重視する「推奨販売」のDNAがグループ全社に受け継がれている。
北海道札幌市に本社を置き、全国40の都道府県に2,474店※におよぶ国内最大級のドラッグストアチェーンを展開する株式会社ツルハホールディングス。(株)ツルハをはじめとするグループの事業会社7社が8つの屋号(ストアブランド)の下に、地域のお客様一人一人の生活のしあわせと、豊かさと、余裕を保証するために、医薬品、化粧品、日用雑貨、食品などを提供しています。
ツルハグループでは「接客販売」を大切にしています。と語るのは、情報システム部の山中 健司氏だ。「根本には、お客様第一主義...お客様を大切にしましょう...という揺るぎない姿勢があり、質の高い接客を通じて商品を販売するというサービスを強化してきました。お客様が医薬品や化粧品を購入される際、専門性を備えたアドバイスによって、より安心・納得していただけるからです」
そのために、接客の基本となる総合的な教育を担当する組織とは別に、医薬品、化粧品に特化した教育を担当する組織を設け、そこで健康と美容に関するカウンセリング技術を備えた人材の育成に力を入れています。
山中氏は続ける。「グループが全国展開を目指す過程では、『接客を大切にして販売する』という考え方に共感、共鳴いただいた各地域のドラッグストアチェーンがツルハグループの仲間となってきました。この『接客を大切にして販売する』という考え方はツルハグループ全体に共通するDNAとなっています。これは当然に、情報システム部のDXを含めたシステム戦略とも密接に関わっております」
※ 2022年1月15日現在の店舗数
導入の背景
接客サービス拡充の決め手は、お客様一人ひとりに合った販促施策。
「ツルハグループでは、引き続きお客様を大切にして、これまで培ってきたサービスを拡充していきたいと考えています。これは、一人ひとりのお客様の興味・関心に合わせた『One to Oneマーケティング』を本格化していくシステム戦略とも重なっています」(山中氏)
そのため、すでに社内にDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を構築し、お客様の購買情報はもちろん、店舗での会話やアプリの履歴などから得られるさまざまな情報...ビッグデータ...を収集・蓄積し、それぞれのお客様にマッチした販促につなげていく取り組みを開始している。
「お客様との接点では、公式アプリの利用促進にも力を入れています」と語るのは、情報システム部の鳥居 宏司氏である。「これまでは幅広い年代のお客様に『また来よう』と思っていただくため、例えばお子さまには紙のスタンプカードを渡し、スタンプが貯まったらお菓子を進呈するなど、イベント的な販促施策を全国の店舗で展開してきました。スマートフォンアプリの特性を活かせば、このようなアナログの取り組みを一部デジタルで提供することも可能です」
鳥居氏は、今後はこのような視点を持ってシステム基盤を拡充していくことが重要な意味を持つと考える。「そこでポイントとなるのが、グループの各事業会社の戦略性(強み)を尊重すること。販促戦略の基本はグループ共通であっても、それぞれの地域のお客様をよく知る事業会社のアイデアを積極的に取り入れたほうがお客様へご満足いただけます。ですから、アプリもあえて『ツルハドラッグアプリ』に統一せず、お客様は地域で慣れ親しんだ屋号のアプリをご利用いただくことを大切にしております」
選択の決め手
既存システムの全面刷新が進むなか、新しい顧客管理基盤が必要だった
ツルハホールディングスでは、2019年の前半から社内のシステムを全面刷新するというプロジェクトが動き始めていた。既存のシステム環境が時代の変化やビジネスの現状に合わなくなってきたという経営判断からである。
「ツルハグループの経営戦略に沿って、システムベンダと議論を重ねていきました」と山中氏は当時を振り返る。「ツルハが全国区の企業グループに成長するなか、基幹システムから店舗システム、POSシステム、ポイント管理システムまで、さまざまな規模や機能のシステムのあるべき姿を模索しました」
当時ツルハグループでは、店頭POS、ECサイト、アプリなど顧客接点が増えるに従って、一人の顧客に付与される会員番号やIDが乱立してしまい、なかなか一人の人物として認識できないという課題があった。さらに、「ツルハドラッグ」のお客様が「くすりの福太郎」を利用する際、同じグループなのに異なるポイントカードが必要になり、しかもポイント残高を合算できない、といった問題も生まれていた。
そのような状況の下、NTTデータビジネスシステムズは当初、「ポイント管理システムを刷新できないか」という打診を受けた。このとき、リテール&ペイメント事業部の青木 雄一は、より広い視野でツルハグループのシステム戦略について考えたという。「各事業会社の会員情報などをスムーズに統合し、さらに各社の特色を活かした販促施策を支援するには、ポイント管理の一つ上のレイヤーで『顧客管理システ
ム』を構築したほうがいい、と提案しました」
山中氏は、この提案の取り組み姿勢が、その後3年を超える協働の決め手になったと語る。「限られた対話からツルハグループの課題を深く理解し、今後のグループ成長のためにどのようなシステムを構築すべきかを提案してくださったのは、NTTデータビジネスシステムズさんだけでした。しかも、3カ月ほどかけてさまざまなテーマで勉強会を開催していただき、そこで議論を重ねたことで、少しずつ採るべきシステム戦略の全体像が見えてきました」
導入の効果と展望
屋号ごとのポイント施策運用から、One to Oneマーケティングの強化へ
NTTデータの顧客管理基盤システムPentaSenserは、さまざまな会員番号やIDを持つお客様を「顧客番号」で束ねて一元的に管理できる。鳥居氏は「ツルハグループの異なる屋号の店舗やECでの購買履歴も、一つの顧客番号のもとに把握できるようになりました。この点もNTTデータビジネスシステムズさんの仕組みを選定した理由です」と語る。
また、PentaSenserはPOSやEC、スマートフォンアプリ、店舗システムなどの周辺システムと柔軟に連携できる設計であることから、今後の各システムのスムーズな切り替えも可能となった。
山中氏はさらに、PentaSenserを軸にグループ各社がそれぞれの持ち味を活かした顧客アプローチが今後できるようになった点を評価する。「8つの屋号のドラッグストアが、それぞれ異なるポイントサービスの仕組みを運用しています。例えば、年間一定額以上の買い物をした会員は「ゴールド会員」「プラチナ会員」などにランクアップし、会員区分に応じた優待を受けられます。この顧客管理基盤システムによって多様な施策の管理・運用が容易になりました。お客様はランクアップを達成した同日の買い物から優待サービスを受けられます」
さらに今後に向けて、情報システム部ではお客様の購買情報の分析に基づき、One to Oneマーケティング本格展開への助走を始めている。NTTデータビジネスシステムズの青木も加わり、鳥居氏とともにツルハグループの各事業会社とディスカッションを重ね、お客様に喜んでいただけるポイント販促施策の拡充をどのような優先順位で展開していくかを整理しているところだ。
「ツルハグループのポイント施策はきわめて多種多様ですので、今後、小売業界が必要とする先端的なポイントサービスの基本形が構築できるのではないでしょうか。単にツルハに役立つシステムをつくるという発想を超えて、NTTデータビジネスシステムズさんとして新たなソリューションの基盤をつくる契機にしていただければうれしく思います」(山中氏)。
NTTデータが開発した顧客管理基盤システムです。既存のテンプレートを活用してカスタマイズできるので、開発費用を抑えながら一人ひとりのお客様に合ったOne to Oneマーケティングが可能となります。小売チェーンの屋号やチャネルを横断して、グループ間の相互送客やポイントの統合をスムーズに推進。ポイントサービスを活用した販促施策を強力にサポートし、LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を支援します。NTTデータビジネスシステムズが中心になり販売展開を実施。
※「PentaSenser」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
※掲載している情報は、取材時点(2022年3月3日)のものです。
※本記事はNTTデータ・ビジネス・システムズから提供を受けております。著作権は同社に帰属します。
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