リモートワークから出社に戻す動きがあるなか、オフィスの通信速度が遅くなるという課題が生じており、情報システム部門が対応に迫られている。その原因や対処法はさまざまだが、必要なポイントを押さえていなければ誤った箇所に改善コストを使ってしまう可能性もある。1月24日に開催されたオンラインセミナー「『ネットが遅い』を改善するには? 費用対効果が出る投資ポイントを解説」では、ソニービズネットワークス マーケティング部 ネットワーク課 佐々木美桜氏が、通信速度が遅いと感じたときに知っておきたい対策と確認すべきポイントについて説明した。
<解説者プロフィール>
ソニービズネットワークス株式会社マーケティング本部 マーケティング部 ネットワーク課
リーダー 佐々木美桜(ささき みお)氏
2019年1月にソニービズネットワークス株式会社に入社。エバンジェリストとして外部向けセミナー講師を担当し、「NURO Biz」の認知拡大・「NURO Biz」を活用した次世代のソリューション提案に従事。
通信が遅いと感じたとき、自由に見直せるのは「宅内設備」
ネットワークの通信速度が遅いと感じた際、自社の努力次第でボトルネックを排除でき、かつ高い費用対効果が見込めるのは、社内端末やルータといった「宅内設備」を見直す方法である。佐々木氏は「契約回線の場合は事業会社に調査・改善要請を出せるが、短時間で効果的な解決方法を得られることはありません。また、ホスト側の契約設備は契約関係がないためそもそも確認できないだけでなく、その多くはクラウド上で運営されており、運営者に調査依頼・改善要望をしても期待は薄いでしょう」と宅内設備の改善に取り組む重要性を指摘する。
宅内設備を見直すにあたっては、問題切り分けの方法について知っておく必要がある。ping/tracertによる確認は、通信事業者の契約回線との問題切り分けには有効でない。多くの通信キャリアではICMP攻撃への対策がなされており、サービスの安定性維持を目的にpingなどのICMPパケットは処理の優先順位が低く設定されているためだ。また、tracertでは、対通信事業者の場合ICMP攻撃対策で応答がない経路のほうが多く、行きと帰りの経路が異なる場合もあるなど正確な情報を収集できない。 そこで有効となるのが、常時ping監視とログ取得である。複数相手先や宅内設備のルータなど重要な取引先について5分おきにpingログを蓄積しておけば、障害発生時に原因確認ができる。こうした問題切り分けの体制を構築しておくと、不具合の原因が通信先にあることが考えられる場合に事業者側の対応をスムーズにできるというメリットもある。
また、スループットの考え方についても押さえておく必要がある。スループットは、ACKを受け取るまでのRTT(Round Trip Time)に依存する。たとえ1Gbpsの回線だったとしても、遅延が5msあるとスループットは100Mbps以下になってしまう。ただし遅延時間が5msで収まる接続先は少ないため、宅内設備の遅延時間を1ms単位で短縮することが重要だ。
宅内設備における3つの見直しポイント
では、宅内設備について具体的にどのようなポイントを見直していけばよいだろうか。佐々木氏は以下の3つをあげる。
1. ルータ
通信環境の肝となるのが、ルータである。高価だが設置箇所が限られているため、全体としてはコストの影響は意外に少ないといえる。また、全端末のレスポンス改善につながるため、投資効果は大きい。
基本的には接続台数に応じた負荷に加え、ルーティング、IPマスカレード処理、セキュリティなど内部処理が膨大となるためオーバーロードが起こりやすく、その結果大幅な遅延につながってしまう。また昨今では、クラウドサービスの利用増加により「端末あたりのセッション数」が増加していることも押さえておきたい。Microsoft 365やGoogle Workspaceは、設計上は100セッション確保しておくことが推奨される。
ここで、セッション数と同じだけ必要になるNAPTのポート数について考えなければならない。グローバルIPアドレスは65000ポートであり、1端末に対して100ポート割り当てていくと対応できる端末は650台となる。PCに加えて業務用スマートフォンなどを常時Wi-Fiに接続することを考えると、カバーできる従業員は300名程度だ。クラウドサービスを複数利用し、従業員が1000名を超えるような企業は、固定IPの追加取得が必要となる。また、拠点間をVPNでつなぎセンター集約型の構成にしている場合や、Proxyサーバを設置している場合は、より多めにセッション数を見積もっておく必要がある。
機器選定のポイントは、「オフィスに収容できる人数×2」の接続端末台数を想定することだという。急な要件変更によるアップグレードに安価に対応するためには、マネージドレンタルの利用を考えてもよいだろう。
2. Wi-Fi AP
ルータと並んで遅延時間が発生しやすいポイントとなるのが、Wi-Fiアクセスポイント(AP)だ。単価はそこまで高価でないものの、設置台数が多いと入れ替えコストのインパクトは大きくなりやすい。設置の際には、電波干渉を避けるため設置位置のサーベイを行う必要があることに気をつけたい。 機器の選定時には、オフィスの収容人数および接続端末台数に合った機器を利用することを意識したい。電波干渉防止機能、セキュリティ対策も必要となる。Wi-Fiは技術進歩がめざましく、3〜5年で新たな規格が登場する。新しい技術の恩恵を受けるためにも、マネージドレンタルで最新の機器を安価に使うことが望ましいといえる。
3. インターネット回線
ルータやWi-Fi APの性能を十分に活かすためには、インターネット回線の品質の高さもポイントとなる。家庭向け回線では、社員のクラウドサービス利用に耐えられないケースもある。この先通信量が増加することを見越しても、法人向けサービスを導入するほうがよいだろう。
佐々木氏によると、特にIX〜ONUまで一社提供している通信事業者がおすすめだという。ISPとアクセス回線事業者が異なる場合、POI(相互接続点)がボトルネックになるとISP・アクセス回線事業者のいずれでも対応不可になるリスクがある。
また、周囲にヘビーユーザーがいる場合には自社が利用できる帯域がせまくなってしまうため、帯域制御機能の有無も確認しておきたい。佐々木氏は「自社の帯域をきちんと確保して、自社環境を整備することをおすすめします」と話す。
クラウド化が進む環境に最適な高速インターネット接続サービス「NUROアクセス」
ソニービズネットワークスが展開する法人向け次世代ICTソリューション「NURO Biz」では、高速インターネット接続サービス「NUROアクセス」を主軸として、セキュリティ機器のマネージドサービス、業務やセキュリティ強化に必要なクラウドサービスなども提供しており、ネットワークからアプリケーションまでワンストップでカバーすることが可能となっている。
特にNUROアクセスは、通信速度下り最大2Gbps(※)、最低10Mbpsの帯域確保、固定IP、稼働率99.9%のSLAなど法人向けに必要なスペックを標準装備しており、安定性やコストパフォーマンスの高さが評価されている。佐々木氏によると、近年では、1契約で実質2本分の回線が利用可能なコストメリットの高い提供形態が好評だという。LAN1に固定IP、LAN2に動的IPを振り分けるという方式を取っているため、LAN1を業務システム用、LAN2をゲスト用Wi-Fiに利用することも可能となる。
「ネットが遅い」という課題を感じている企業やクラウド化が進む環境に最適なNUROアクセス。同ソリューションを用いて環境改善するためのコストを計算したい方やより詳細が知りたい方は、ぜひ一度ソニービズネットワークスに相談してみてはいかがだろうか。
※ 「2Gbps」という通信速度はNURO Bizネットワークからお客様ご利用場所に設置する回線終端装置へ提供する技術規格上の下りの最大速度です。お客様が使用する個々の端末機器までの通信速度を示すものではありません。インターネットご利用時の実効速度は、お客様のご利用環境(端末機器の仕様等)や回線の混雑状況などにより、低下する場合があります。
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