半導体冷熱素子サーモモジュール、磁性流体などをコア技術に半導体等装置関連事業、電子デバイス事業を展開するフェローテックグループは、今後も高まりが予想される半導体需要を見越し、人材確保・教育強化の方針を打ち出している。株式会社フェローテックホールディングス取締役 執行役員で事業管理・人事担当を務める並木 美代子氏に、これからの人材戦略について話を聞いた。

並木氏は入社以降、経理部門や秘書、経営管理、事業管理など、幅広い部署を経験し、2022年6月に同グループで二人目となる女性取締役に就任。主要子会社であるフェローテックマテリアルテクノロジーズの人事責任者も兼務している。

  • 並木 美代子氏

    株式会社フェローテックホールディングス 取締役 執行役員 事業管理統括室長
    並木 美代子氏

生産体制強化、新工場設立で、人材確保が急務に

――人材確保・教育の強化という方針を、改めて打ち出された背景をお聞かせください。

少子高齢化で働く世代の絶対数が少なくなっているのはもちろんですが、いま、人材確保が重要になってきたのには、当社としての事情も絡んでいます。これまで私たちは中国をメインに生産拠点を築いてきましたが、中国での賃金水準の高まり、米中問題の発生などにより、それ以外の国、国内を含め、生産強化が必要になってきたのです。

国内生産拠点の拡張はすでに進められていて、2022年11月からは特殊セラミックスを製造する石川第2工場の操業を開始しました。当社のセラミックスは半導体分野以外に医療・検査・分析機器などでも採用されており、そうした需要に応えるためです。2024年には、約30,000万平米の面積を持つ第3工場の操業も予定していて、今年6月に着工します。

また、熊本でも半導体関連の新工場建設が決まりました。熊本にはソニーグループの半導体製造工場がありますし、2024年には世界最大の半導体受託製造企業、台湾積身体電路製造 (TSMC) の子会社JASMの工場が新設されることになっています。当社はこの工場建設地からほど近い大津町に拠点を確保して、その需要に対応していこうと考えています。さらに岡山工場ではCVD-SiC (半導体製造装置向け部材) の増産を検討しています。

  • 石川第2工場
  • 熊本新工場
  • 岡山工場
  • フェローテックグループの生産拠点――左から石川第2工場、熊本に着工する新工場、岡山工場

このような生産強化を確実に実施するために、国内での人材確保が非常に大きな問題となってきたわけです。人材募集は「半導体の地産地消」を考えて、それぞれ地元を中心に展開しています。

――採用活動は順調に進んでいますか?

なかなか難しいところですね。当社の場合、知名度の低さが影響しているのかもしれません。CMやSNSなどを利用して、まず当社を知っていただくところから始めたいと思っています。

これからの採用活動においては、私共の企業価値やダイバーシティといった特長を、積極的にアピールしていくことも重要だと考えています。給与水準の見直しについては、現在、動いているところです。当グループは世界中に拠点を持っていて、それぞれの国の物価に合わせて賃金の見直しを図っていますが、これまで物価が横ばいだった日本ではそれができていませんでした。昨今、国内物価も上昇していますから、人材確保のためにも、それに合わせた見直しが急務だと考えています。

外資系だった歴史が、ダイバーシティを当然のものに

――ダイバーシティの実践にも力を入れるとのことですが、その点、貴社の特徴はどういうものだとお考えですか?

当社はそもそもアメリカに親会社を持つ企業でしたから (1987年に日本法人が米親会社から独立、1999年に元の親会社を友好的TOBで買収)、私が入社した当時から年齢、性別、国籍も関係なく、その人の仕事のパフォーマンスに応じて評価されてきました。また、以前より中国籍の社員も多くいますし、そうした姿勢はずっと貫かれています。

評価の方法に関しては、いま、仕組みの再構築を進めています。評価を受けた社員が、どう評価されたか分かりやすく、且つ納得しやすくするために、KPI等を設定し、評価していきます。幹部、優秀な社員への長期インセンティブを付与するなど、長く働いてもらえる仕組みも導入する予定です。

  • 東京日本橋の本社に勤務する皆さん

    東京日本橋の本社に勤務する皆さん

また働き方についても、ワークライフバランスに配慮したものになっています。時短勤務はもちろん、最近では男性が育児休暇を取るケースも増えてきました。ほかの企業では、そうした制度があっても実際にそれを利用できるかどうかは別問題で、周囲への遠慮からなかなか言い出せない……、という話を聞くこともありますが、当社の場合は組織として休暇や時短を受け入れる風土ができていると思います。

――入社後の教育強化では、どのような取り組みを検討されていますか?

当社製品について幅広く知ってもらう機会を増やしたいと考えています。石英・セラミックスから温調デバイス、素材まで製品が多岐にわたっているので、自身が担当する仕事で扱うもの以外についても知識を得ることで、お客様の役に立てるチャンスが増えるでしょう。

これまでの当社は、そのときどきでニーズに合った人材を中途で採用するケースが多く、全社を俯瞰した教育プログラムは十分とはいえませんでした。しかし、新卒採用を積極的に行うにあたっては、グループ全体のことを知ってもらう機会は必要だと考えています。

フェローテックグループの魅力とは?

――長年のご在籍から見て、フェローテックグループの「社風」とは、どのようなものでしょう?

「経営層と近い」というイメージがありますね。私の入社当時は、いまよりも会社の規模が小さかったのでなおさらでしたが、いまでも経営層が社員に対し、きちんと会社の方針を説明してくれる場があります。半導体業界はビジネスのスピードが速いので、こうした意思疎通を図って、全社的に目指す方向を確認することが重要だと思います。

また経営層に「会社が儲かったら社員に還元しよう」という気持ちが強いのも特徴ですね。会社の業績が良ければ賞与にも反映されますから、仕事のやり甲斐も感じられます。

――人事や採用活動において、大切にされていること、信念のようなものはありますか?

25年ほど前の話ですが、私が事業管理や人事に携わるようになったころ、中国の子会社が本社の指示に従ってくれないことがありました。私が困っていると、現在の社長 (賀 賢漢 氏) が「とにかく毎月、中国へ行け」とアドバイスをくれました。まずは現地の人とのコミュニケーションが大切だと。実際、現地の人と交流する機会を増やしたことで、意思疎通が上手くいくようになりました。

以降、コミュニケーションは重視していて、部下には、机上の仕事だけでなく現場に足を運ぶように言っています。 また、新卒で採用された人のなかには「思っていた仕事と違う」と感じる人も出てくるでしょうし、長年の勤務で行き詰まりを感じる人もいるでしょう。デスクワークでは見えない、そういう現場社員の悩みに気づいてケアするのも人事の大切な仕事だと考えています。

  • 株式会社フェローテックホールディングス 取締役 執行役員 並木 美代子氏

――最後に、貴社の求人に関心をお持ちの方へ、メッセージをお願いします。

半導体は電子機器、通信機器、自動車など、さまざまなものに利用されており、半導体なしでは私たちの生活も成り立たなくなっています。当グループはその半導体関連の製品を開発・生産し、産業の基盤、インフラの一翼を担うことで、ビジネスと社会貢献を両立させており、今後ますます成長する可能性を秘めています。

こうした点に魅力を感じてくださった方は、ぜひ一度、当社について調べてみていただければと思います。私自身、やる気のある人が働きやすい土壌があると感じていますから、チャレンジ精神のある方にとっては、働いていて楽しい会社だと思います。

――ありがとうございました。

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~株式会社フェローテックホールディングス 代表取締役社長兼グループCEO 賀 賢漢~

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