ネットアップ主催の国内最大のデータ活用イベントである「NetApp INSIGHT Japan」が、2023年1月25日に開催された。対面形式としては3年振りとなる本イベントは、ネットアップ日本法人の設立25周年となることもあり、データ活用に取り組む企業のキーマンが集結。50以上のセッションが展開され、先進的なデータ利活用の取り組みやソリューションが紹介された。本稿では、富士通の福村 祐美 氏、中村 年治 氏が登壇したセッション「クラウドリフト&シフトを見据えたサブスクリプションのご提案と最適なインフラへ導くサービスのご紹介」の講演と、ETERNUS AB/HB seriesやETERNUS AX/HX seriesで利用できるランサムウェア対策ソリューションなどが展示された富士通ブースの内容についてレポートする。
オンプレミス環境にクラウドのメリットを付加し、
運用工数の削減と投資コストの適正化を実現
「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能なものにすること」をパーパスに掲げ、テクノロジーとビジネスソリューションのグローバルリーダーとして世界180か国に及ぶ企業のビジネスを支援してきた富士通株式会社。本セッションでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)やデータ利活用を支えるITインフラにスポットを当て、同社が展開するサブスクリプションモデルとアセスメントサービスを中心に話が展開した。
セッション前半に登壇した富士通 インフラストラクチャシステム事業本部 統合商品事業部 LCMサポート部の福村 祐美 氏は、経済産業省が公開しているDXレポートで言及された「2025年の崖」問題がDXを阻害する要因の1つと語り、既存のレガシーシステムを刷新し、IT活用を進展させなければ、企業のビジネス競争力向上や持続可能な経営が困難になると警鐘を鳴らす。この問題を乗り越えるため、多くの企業がITリソースにかかる運用工数の削減と投資コストの適正化を目指していると福村氏。富士通では、こうした課題を解決するソリューションとして「サブスクリプションモデル」を提供していると語り、「クラウドリフト&シフトを見据えた サブスクリプション型 オンプレミスIT 活用方法」をテーマに講演を開始した。
「DX実現のアプローチとして、昨今クラウドへのリフト&シフトが本格化しています。とはいえ、セキュリティへの懸念や性能・可能性要件、運用管理を自社で行いたいといった要望からオンプレミス環境が必要とされるケースはまだ多く存在している状況といえます」(福村氏)
現代のビジネスでは、市場のニーズに柔軟かつ迅速に対応することが重要となっており、クラウドサービスが備える初期投資の抑制、利用に応じた課金、柔軟な拡張性、オフバランス化(キャッシュフロー改善)、メンテナンス・運用コストの削減といったメリットは、企業がDXを推進するうえで不可欠なものといえる。一方で、オンプレミスのシステムでは、セキュリティやパフォーマンス面での強みはあるものの、物理的なハードウェアを調達する必要があり、予算の確保は非常に困難なミッションとなる。福村氏は「予算確保がタイミリーに行えず、ビジネス機会の損失につながっていると感じている企業も少なくありません」とオンプレミスIT活用における課題を説明する。
「オンプレミス環境でハードウェアを調達する場合は3年後、5年後のリソースを予測する必要があります。ビジネス環境の変化を読み切れず、途中でリソース不足に陥ったり、逆にリソースが余ってしまい過剰投資となってしまったりするケースもめずらしくありません。このため、オンプレミス環境においてもクラウドのメリットを享受したいと考える企業も増えてきています。こうした企業のニーズに応えるソリューションが、富士通の提供するサブスクリプションモデルになります」(福村氏)
富士通のサブスクリプションモデルは、月額料金制でオンプレミス環境を構築・運用できるサービスだ。一般的なオンプレミス環境のシステム構築と同様に、サーバやストレージを指定の場所に設置し、運用することが可能。オンプレミスのシステムを「所有」から「利用」へとシフトすることで初期投資が不要になり、ITコストを平準化することができる。保守・運用支援も月額料金に含まれ、ハードウェアの増設や撤去も柔軟に行えるため、運用工数の削減と投資コストの適正化を実現できるという。
スモールスタートに適したフレキシブルプランを追加し、
クラウドリフト&リフトやハイブリッドクラウド運用を支援
富士通のサブスクリプションモデルでは「期間固定プラン」と「フレキシブルプラン」の2つのプランが用意されている。「期間固定プランは、契約時にシステム構成と利用期間を確定して機器を導入し、リソース使用量に応じて月額料金を支払うというプランです。一方フレキシブルプランは、契約時にシステム構成と利用期間を定めず、必要な最小構成を導入してスモールスタートで利用可能。運用開始後は必要に応じて増設・減設がいつでも行え、機器の数に応じて月額料金を支払うというプランになります」と福村氏。
期間固定プランでストレージ従量課金を選択した場合はストレージの使用容量に応じ利用料金が決まるため、過剰投資の抑制に効果があり、さらにETERNUS AX/HX seriesなど重複排除やデータ圧縮に優れたストレージを採用すれば利用料金を削減できると説明。フレキシブルプランはスモールスタートでインフラ構築に取り組みたい企業のニーズに応えて新たに設定したプランで、最小構成から始めて必要に応じて機器の設置・撤去を柔軟かつリーズナブルに行えるのが特長と解説する。
またフレキシブルプランでは、機器更改時の二重支払いを防ぐ「リプレース支援プログラム」も提供。リプレースのタイミングでは旧機器への課金が免除されるため更新コストを軽減でき、実質的な割引サービスとなっている。さらに富士通の安心安全サポートが提供されるのもサブスクリプションモデルの魅力。月額据え置きで延長保証にも対応しており、長期にわたり安心して利用することが可能だ。
福村氏は、サブスクリプションモデルの利用シーンとして、新規ビジネス立ち上げにおける過剰投資の抑制とコストの最適化をはじめ、2~3年後までにクラウドへのリフト&リフトを実現したい場合の、移行時までのシステム運用、さらにハイブリッドクラウドのシステム運用を検討する際に、予算化のプロセスを統一して全体最適を図りたいケースなどを挙げる。
「富士通のサブスクリプションモデルを活用すれば、変化の早いビジネスに対応する戦略的なインフラ投資が可能になり、短期・長期のいずれもお得に利用することができます。スモールスタートや延長保証など、企業のニーズに対応するきめ細かなサービスになっており、オンプレミスのITインフラをクラウドライクに運用したい企業にとって有効な選択肢になると考えています」(福村氏)
クラウド時代のビジネスを見据えたITインフラ構成を
無償で提案するHybrid IT アセスメントサービス
セッション後半では、富士通 インフラ&ソリューションセールス本部 プリセールス第二統括部 Hybrid ITアセスメント推進部の中村 年治 氏が登壇。「お客様の最適な次期インフラ基盤を提案するHybrid IT アセスメントサービス」をテーマに、同社が展開するアセスメントサービスについて話が展開された。
中村氏は個人の体調管理を例に、現状のITインフラが内包する課題と、その解決を支援する同社のアセスメントサービスについて解説する。
「例えば、自身の健康や対象に関して、『体がだるいが、原因がわからない』『今は健康だけど、今後維持していくにはどうすればよいのか』といった不安を抱えている方は多いと思います。ITインフラにおいても同様の不安や課題を感じるケースはあり、今後のシステム基盤はどうすればよいのか、コストダウンは図れないのか、クラウドへのシフト・リフトは何から始めればよいのか、と悩むIT管理者も少なくないはずです。こうした課題を解決するのが、富士通が提供するアセスメントサービスです」(中村氏)
富士通のアセスメントサービスは2010年に提供を開始し、10年以上にわたり1,300社以上に対応してきた実績のあるサービスだ。2022年度にはクラウド活用に向けたアセスメント強化を図り、「Hybrid IT アセスメントサービス」に名称を変更し、クラウドシフト&リフトを検討する企業を支援している。
「Hybrid IT アセスメントサービスでは、既存インフラ資産の情報をネットワーク経由で採取し、豊富な知見を持つ富士通の専任技術者が分析。その結果に基づいて次期システムのインフラ方針や構成を提案します。最短1週間で対応可能なスピード感と、オンプレ・クラウドのハイブリッド対応、無償(ただし100VMまで)で利用できることが特長です」(中村氏)
富士通のアセスメントサービスでは3つのメニューを提供し、さまざまな企業のニーズに対応。短期間でオンプレ/クラウドのハイブリッド構成を検討したい企業に最適な「Hybrid IT アセスメントサービス」はじめ、より詳細な構成サイジングが行える「PCサーバアセスメント」、クラウドへのリフト&リフトを検討している企業に最適な「デジタルインフラアセスメント」が用意されている。サービスの流れは「事前準備」「情報採取」「構成モデル作成・提案」の3ステップで、報告書、情報収集結果、クラウドメニュー選定の3つが提供される。
中村氏は、ハイブリッドクラウドを検討しており、移行構成案や概算の金額を短期で把握したいという企業にとって、Hybrid IT アセスメントサービスは非常に有効なサービスになると解説。「アセスメント終了後も、継続的に見積提示や最適化の支援などを行っていきます」と語り、支援の一例として、オンプレ・クラウド環境で事前に動作・性能確認、構成の最適化を行うFUJITSU Platform Solution Lab 検証サービスを挙げた。
本セッションで解説されたサブスクリプションモデルとアセスメントサービスは、ハイブリッドのシステム運用を軸にDXを推進したい企業に対して大きな効果を発揮してくれるはずだ。
ブース展示も盛況、ストレージ製品を起点に
ランサムウェアに対処するソリューションに注目が集まる
富士通では、セッションの講演に加え、NetApp INSIGHT Japanの会場内にブースも設置。さまざまな製品・サービスが紹介されていた。講演で語られたサブスクリプションモデルやHybrid IT アセスメントサービスの紹介をはじめ、クラウドリフト&シフトを見据えたストレージソリューションを展示。なかでも、近年多くの企業を脅かしているランサムウェアへの対策ソリューションは来場者の注目を集めていた。
ランサムウェア対策として紹介されていたのは、小規模向けのSANストレージ「ETERNUS AB/HB series」と低価格なバックアップソフトウェア「Arcserve UDP」を組み合わせたランサムウェア対策ソリューションと、エントリーからミッドレンジモデルまでをカバーするハイパフォーマンスなユニファイドストレージ「ETERNUS AX/HX series」に実装されている自律型ランサムウェア対策機能を90日間無償で試せるトライアルライセンスの2つとなる。
前者はランサムウェアの感染がバックアップデータにまで及ぶ事態を想定したソリューションで、業務継続性を確保したい小規模事業者に好適。後者はETERNUS AX/HX seriesに組み込まれた「Security and Compliance制御機構」によるランサムウェア対策を無償で試すことができ、同製品を利用している企業にとって見逃せない評価プログラムといえる。
富士通ブースでは、このほかにもETERNUS AX/HX seriesの「FabricPool」と富士通のパブリッククラウドサービス「Fujitsu Hybrid IT Service FJcloud-O」を組み合わせたハイブリッドクラウド型のソリューションを、FabricPoolのライセンス費用なしで利用できる特別プロモーションなどを展示。さらにETERNUS AX/HX seriesの活用方法を紹介したショート動画なども紹介されていた。
シームレスでセキュアなハイブリッドクラウド活用を実現する富士通のソリューションを知ることができた本イベント。DXに取り組む企業のニーズに応える同社の製品・サービスは、ITインフラ運用の最適化を図りたい企業にとって極めて有効な選択肢となるだろう。
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