ソーシャルメディアとオンラインショップを組み合わせて商品の販促を行う「ソーシャルコマース」。ソーシャルコマースでの購買は国内でも拡大を続けており、とりわけコスメ業界を筆頭に注目を集めているのが「インフルエンサーマーケティング」だ。インフルエンサーマーケティングとは、ユーチューバーやインスタグラマーなど、SNS上で大きな影響力があるインフルエンサーに製品やサービスを紹介してもらい、購買を促すデジタルマーケティング手法を言う。
このインフルエンサーマーケティングに早い段階から着目し、インフルエンサー活用を実現するサービス「QUANT」を立ち上げたのがグリーの100%子会社、Glossomである。そしてQUANT事業は急成長を続けており、この事業を立ち上げて事業本部長としてリードしてきたGlossom DXC事業本部アカウントエグゼクティブ 副本部長の山﨑 陽平 氏が、2023年1月に新たにグリーの子会社として発足するQUANTの社長に就任することとなったのである。山﨑氏に、これまでの経歴と目標について聞いた。
最初の目標はフェラーリを持つことだった
山﨑氏は、大学を卒業した2014年にグリーに新卒で入社して今年9年目となる。その入社動機について同氏はこう振り返る。「実はソーシャルゲームには興味がなく、商社を目指したのです。ただ、商社だと裁量を持って仕事ができる年齢がかなり上だということを知り、最終的には若いうちから裁量を発揮して活躍できる会社を選びました」
幼少期は勉強に励んだ山﨑氏だが、そのモチベーションは「いつかフェラーリに乗ること」だったという。
「子供の頃からとにかく車が好きで、なかでもフェラーリが大好きでした。大人になったら自分もフェラーリに乗りたいと母親に言ったら、とにかく勉強しなさいと返されたので、ひたすら勉強しましたね(笑)。高校に入ると車のことは一旦忘れてファッションに傾倒して勉強しなくなってしまったのですが、そこで受験に失敗してしまい、浪人時代はまた必死に勉強しました」(山﨑氏)
そしてグリー入社後も仕事に励んだ結果、ついに27歳の若さでフェラーリを購入し、子供の頃からの夢を叶えたのだった。
「だけど維持できなかったですね。修理代もびっくりするぐらい高くてサラリーマンにはキツいと売却しました」と山﨑氏は笑う。しかしここで山﨑氏の視座は大きく変わることとなる。
「ずっと目標だったフェラーリも買えた。ただ、果たしてそれで幸せなのか?と自問自答するようになりました。ある時、夢に突然赤ちゃんが出てきて、車との二択を迫られて、赤ちゃんを選んだ自分がいました。その時から、人の成長にコミットして、共に成長した方々から日本や世界を変える人を輩出したいと思うようになったのです」(山﨑氏)
同氏が強く感じた生きる目的を一言で表せば「成長」だ。自身よりも若い人々に対して、自身が経験したことや、今後経験していくことも合わせて、一緒に成長しながら日本に貢献する人を増やしたい。そうした想いを強めていた矢先に、経営者へのチャレンジの話が持ちかけられたのだった。
定量化にこだわりインフルエンサーマーケティングの課題を解決
QUANT事業を立ち上げた山﨑氏だが、当初はソーシャルコマースやインフルエンサーマーケティングに関する知見は「ゼロ」で、もともとは、ゲームのクライアントのプロモーション支援を実施していた。そうした中で2020年夏、とある経緯から大手企業の担当者を紹介され、そこから二人三脚でインフルエンサーマーケティングに取り組んだところ、大きく売上を伸ばしていったのだった。
山﨑氏はこう振り返る。「最初はどのように貢献できるか試行錯誤の連続で、かなり失敗もしました。そうした中で必死に取り組んでいった結果、数字を出すことができるようになったのですが、経験のなかった業種でゼロベースの新しい試みにも快く応じてくれたクライアントには、本当に感謝しています。当時、インフルエンサーを通じてここまで定量的に商品が売れていく世界を信じている人はほぼいませんでしたから。それがインフルエンサーをきっかけに商品が爆発的に売れて、数字が十倍近くにまで伸びるという今までなかった手法を生み出せたことは、意義があるのではないかと自負しています。私だけでなくメンバーにとっても決して順風満帆というわけではありませんでしたが、そうした時は自分も一緒に立ち止まって解決策を見つけてきました。今後もメンバーと共に事業を進めながらお互いに成長していきたいですね」
QUANT事業の大きな特徴は、徹底した定量化にある。一般的にインフルエンサーマーケティングという手法の大きな課題とされるのが、費用対効果が見えづらいという点だ。クライアントがインスタグラマーやユーチューバーにコストをかけるという手法自体はかなり以前からあるものの、その後の売上にはなかなか結びつかないとされてきた。SNSへの投稿により製品やサービスが認知されることが、必ずしも売上とイコールではなく、費用対効果が見えづらいのである。
そこで山﨑氏は、すべてのタッチポイントで定量化するようこだわった。クライアントの売上が上がるタイミングではじめて成果報酬を受け取るようにすることで、クライアントにとっては間違いなく売上と直結するようにした。
「さらにその後に半年や一年をかけてどれだけ売上に貢献したのかまで追いかけるので、インフルエンサーの中長期的な価値も把握できるようにしています。そこまで数字を追いかけるのは我々ぐらいでしょう」(山﨑氏)
もう1つ、インフルエンサーマーケティングはともすればステマと捉えられがちな手法であることも課題として挙げられる。この点に関しても山﨑氏は、インフルエンサーが広告を出すまでのフローを徹底して定義したうえで、それをしっかりと回せるような体制を構築することで解決したのだった。
「最も大切なクライアント(山﨑氏が最初にインフルエンサーマーケティングを手掛けた大手企業)が何よりもそこを重要視していますから、一緒にステマに該当しないようフローと体制をつくることができました」と山﨑氏は言う。
キーワードは「エンジョイ・グロース」
山﨑氏は、グリーに入社してからの9年間について「成長の連続だった」と表現する。
「最先端のビジネスに触れる機会の多い会社で様々な貴重な経験ができたので、成長の度合いは同年代と比較しても大きいのではないでしょうか。こうした経験というのは10年後、20年後に大きく影響してくるはずで、成長できる環境が整っている会社に入社したのは本当に良い選択だったと実感しています」
そして今後も同氏は人生のテーマとした「成長」を掲げながら、共に仕事をする仲間と楽しく働きながらお互いの成長を促していきたいという。
「まだ9年間ではありますが、これまでの社会人人生を通じ、自分と関わってくれる人々と一緒に成長していくことこそが生きがいであると、人生の目的は変化して来ました。我々が楽しみながら働くことで、クライアント、インフルエンサー、そしてコンシューマーのためになると信じています。そして日本を、さらには世界を元気にしていくためには、自分だけではなくまわりの皆にも楽しく成長してもらうことが欠かせません。世の中に良い意味で貢献できるような人材を増やしていきたいし、起業するQUANTもそのための重用な一歩だと捉えています。キーワードはエンジョイ・グロースで、可能な限り楽しみながら成長していきたいですね」と山﨑氏は笑顔で力強く語った。
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