DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが地方の民間企業に浸透しはじめている。DXは経済産業省の「DXレポート」(※1)で広まった概念だが、実際の取り組みはそう簡単ではない。2022年に公開された「DXレポート2」(※2)では、実に9割の企業がDXを実現できていないという。では地方の民間企業はどうDXを進めればいいのか――そんななか、地方の独立系ICTソリューション企業である東日本計算センターが提案するのが、RPAなどを使った小さなDX成功体験を積み上げていくというアプローチだ。本稿では、地方企業におけるDX成功のポイントを整理していこう。
地方企業におけるDX推進の現状とは
自治体の情報システムの標準化や行政手続のオンライン化、AI・RPAの利用推進といった「自治体DX」が進む中、地方の民間企業にも、DXのトレンドが着実に波及し始めている。
一般的に、地方企業のIT投資額は大都市圏に比べて低く、取り組みをスタートするタイミングにも数年の遅れがあると言われる。その理由は、大都市圏には大手企業が多いため相対的なIT投資額が大きくまたその決定権を持っていることに加え、デジタル人材やSIer・ベンダーなどの協力会社の支援体制が厚いこと、最新の情報が入手しやすいことが挙げられる。
しかし、地方企業にとってDXの推進が大都市圏の大手企業に比べて極端に難しいかと言うと、決してそうではない。むしろ、地方企業が直面しやすい課題を解消しながら、デメリットをメリットとして生かし取り組みを加速させている企業も少なくない。そんななか注目したいのが、福島県南部・茨城県北部を中心とした南東北・北関東地域におけるDX事例だ。
DXの成功事例を紹介する前に、まずは福島県南部・茨城県北部の地域性を整理しておこう。
南東北・北関東地域は、さいたま市、千葉市、仙台市、新潟市などの政令指定都市と一定の距離があり、人口30万以上の中核都市も、いわき市や水戸市など数が限られているエリアだ。関東平野の北部に位置する阿武隈・八溝・足尾・三国諸山地によって、首都圏との間に気候的、交通網的な隔たりも生まれやすく、人の移動やスムーズな情報伝達を難しくしている面もある。労働人口の相対的な少なさから、デジタル人材やITパートナー企業の支援体制の確保が難しい状況にもある。
「地方×DX」のトレンドが進展するなか、
注目したい福島・茨城の成功企業
しかし、そうした地域特性を生かしながら事業展開している企業は存在する。たとえば、いわき市を中心に食品スーパーを展開するある地元企業は、RPAを活用して人材不足に対応し、業務の効率化を図っている。RPA活用の取り組みを支援したのは、同じいわき市に本社を置くICTソリューション企業の東日本計算センターだ。
この食品スーパーでは、人手不足が深刻化するなか、レジ担当者の確保や適切な人員配置、担当者ごとのスキル・ノウハウのばらつき、レジ締め後の日次、月次、年次業務の効率化などに課題を抱えていたが、東日本計算センターの支援により大幅な業務効率化に成功したという。
東日本計算センターの担当者は、RPA導入に際し、店舗や経理処理を行なう本部などに出向き、既存業務の課題などを精査した。食品スーパー側の意向としてはRPAを導入することはほぼ決定事項だったものの、精査によって顧客自身が気づいていない課題も明らかになった。そこで、東日本計算センターでは「単なるツール導入」ではなく、既存環境の課題や顧客ニーズに合わせた改善を行うとともに、RPAを自社の組織改革の一環としてDXのなかで推進することを提案した。
食品スーパーが出した成果の1つは、レジ締め後の経理業務の大幅な効率化だ。従来、スタッフが手作業で財務システムへの入力処理を行なっていたが、これら一連の作業をロボットで自動化。その結果、関連する業務を含めると従来の10分の1で業務を終えることができたという。要するに生産性が10倍上がったわけだ。
また、作業の自働化・標準化により、担当者の属人性を排除できたことも大きな成果だ。ある日、経理関連業務を行なっていたスタッフが急な都合で出社できなくなり、他のスタッフが代わりに業務を行ったが、慣れない作業でより多くの時間がかかっていた。しかしRPAによる自動化後は、担当者ごとに作業品質が変わることはなくなった。そのおかげで担当者の働き方を見直したり、効率化した時間を他の業務にあてたりするなどして、より柔軟な対応が可能になった。
加えて、全社的なDXの推進に向けた第一歩を踏み出したことも大きい。RPAを使った業務改善の積み重ねで、自動化や効率化の範囲はさらに大きくなっている。実際、この食品スーパーでは2年間で80以上のロボットを継続的に作成し、生産性を向上し続けている。
東日本計算センターが明かす、
「地方×DX」を推進していくための3つのポイント
RPAをきっかけにしたDX推進事例は、この食品スーパーだけではない。福島県のある社会インフラ企業では、機器の保守メンテナンスを行う際のワークフローのデータ集計、勤怠データの集計、勤怠データの給与システムへの登録、機器からの警報メールの対応、機器の監視システムの週報作成などでRPAを活用している。食品スーパーのケースと同様に、「効率化」「自動化・標準化」「全社推進」といったRPAのメリットを享受している。
東日本計算センターによると、DXをうまく推進していくためのポイントは大きく3つあるという。
1つめは、課題の明確化だ。DXは場合によっては建前だけで進み、自社が抱える課題を解決できないまま現場の混乱を招く事態になりかねない。取り組むべき課題を明確化し、その取り組みを継続することで、自然と全社的な改革につながる環境をつくりだすことが重要だという。たとえば、RPAをきっかけに全社的なDX推進につなげていくといった進め方だ。
2つめは、継続、拡大するための仕組みの構築だ。単なるツールの導入で終わるのでなく、成功事例を作り、それを繰り返しながら、成功のエッセンスを少しずつ大きくしていくことが重要だ。RPAの例で言えば、1つの業務プロセスを改善したら、その仕組みを別の業務や別の組織に当てはめることだ。
3つめは、寄り添って支援してくれるパートナー企業を見つけることだ。コンサルティングやソリューション提案に盲目的に従うと、投資コストがかさんでしまうリスクもある。自社にとって本当にメリットのある提案をしてくれているかどうか、何かあったときに寄り添った提案をしてくれるか、といった観点で信頼できるパートナーを見つけ、伴走してもらうことが、DX成功のポイントでもある。信頼できるかどうかは、パートナーにとって儲けがでないような選択肢であっても、進んで提案してくるかどうかで判断できるという。
日本ヒューレット・パッカードの「DXプラットフォーム」を活用
こうした3つのポイントは、東日本計算センターが常日頃から心がけていることでもある。
東日本計算センターは、1960年に設立されたいわき市を地盤とする独立系のICTソリューション企業だ。『ICTプロフェッショナル集団として顧客の期待を大きく超える価値を提供し続ける』を企業ビジョンに掲げ、システムソリューション事業、インフラセキュリティ事業、流通サービス事業、公共・地域ITS事業、RPA事業、ロボット関連ソフトウェア開発/AIソリューション開発など、幅広い事業領域を展開している。
東日本計算センターでは、上述した3つのDX成功のポイントを踏まえながら、福島県南部・茨城県北部のビジネス環境をよく知る立場から、企業ごとの課題やニーズに沿った支援を行っている。地場の企業として、大都市圏のSIerやパートナー企業とは異なる地域密着型のサービスを提供できる点が大きな強みだ。顧客の課題やニーズを汲み取ったコンサルティングから導入後の手厚いサポートまで、常に顧客と伴走したサービスを提供することで、多くの地元企業からの信頼を獲得している。
また、東京をはじめ福島県外にも事業拠点を設けており、最新の技術情報や取り組み事例の情報を入手できる環境も整えている。独立系という点を活かし、様々なハードウェアベンダーやソフトウェアベンダーとも密接に連携し、地方の民間企業に、最新の機器やソフトウェア、サービスをスムーズに届けられる体制を整備している。
日本ヒューレット・パッカード(HPE)のサーバー製品群もその1つだ。HPEでは、デジタル技術を活用したビジネス変革を支援するためのプラットフォーム提供に力を入れており、サーバー製品群を「DXプラットフォーム」として提供している。5G/IoT、エッジ、AI、クラウドといったニーズに対応できるパフォーマンスの高さや柔軟性を持つことに加え、多様な働き方を支えるDigital Workplaceの提供も可能だ。さらに、クラウドのような「as-a-service(月額・従量課金)」で利用することもできる。
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DXを推進していくうえでは、ITとデジタルの力を活用していくことは必須といえる。東日本計算センターでは、HPEのソリューションを企業ニーズにあわせて柔軟に組み合わせながら、地方の民間企業のDXを強力に支援していく構えだ。
※1出典:「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(経済産業省)
※2出典:「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)」(経済産業省)
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