新時代のモノづくりを支える「CAM-TOOL」とは

長きにわたって日本の産業の根幹を支え続けてきたモノづくりの世界においても、世界的に市場競争が激化しており、さらなる変革が求められている。また、半導体不足などによってタイムリーに製品を製造することが難しくなったことから、製造部門の内製化や統廃合を進めるメーカーも増えている。

このような情勢下において製造業の競争力のカギを握るのがデジタル技術の活用だが、それを支援すべく“世界を築く、創造のソリューション”をスローガンに掲げ、世界最大の金型ソリューションメーカーを目指しているのがC&Gシステムズである。2007年にコンピュータエンジニアリング(創業1978年)とグラフィックプロダクツ(創業1981年)が経営統合し、その後2010年に合併して新たなスタートを切った同社は、金型モノづくり全体の最適化ソリューションをグローバルに展開することで、顧客に満足してもらえるグローバル・ニッチ・トップ企業への更なる進化を目指している。

そんなC&Gシステムズが誇る代表的な金型ソリューションが「CAM-TOOL」だ。CAM-TOOLはその名の通りCAM(Computer Aided Manufacturing)ソフトウェアであり、製品や部品の製造・加工を行う際に、CAD(Computer Aided Design)システムで作成した図面データを基に、工作機械での加工に必要なNC(数値制御)プログラムなどを作成するといった、モノづくりにおける根幹の役割を担う。

CAM-TOOLにはハイブリッド CAM エンジン(ポリゴン演算、サーフェス演算)が搭載されており、高硬度材への直彫りをはじめ、様々な加工において高品位かつ高効率な切削を実現する軸制御マシニングセンター対応ハイエンドCAD/CAMシステムとなっている。そして数あるCAM-TOOLの特徴の中でも最も象徴的なのが、このCAM演算ロジックにある。

一般的なCAMシステムの場合、受け取ったデータ(IGES等)を近似ポリゴンに変換してCAM演算を行っている。この場合、形状はあくまで“近似”であるため精密さに欠け、加工に伴う工具の摩耗も大きくなってしまう。一方でCAM-TOOLが採用している「サーフェス演算ロジック」であれば、曲面形状に工具を接触させる独自の演算ロジックによって、滑らかで高速な加工動作と高精度な面品位を実現できる。加えて、荒取り・中荒後の仕上げ代を均一に残せるため、次工程での工具負荷の軽減にも繋がるなど工具に優しく、また、工具の性能を最大限に活かした加工が可能となる点も多くのメーカーから高く支持されている理由の1つだと言える。

C&Gシステムズには主要な国内工具メーカーから詳細な情報が提供されているため、CAM-TOOLはそうした工具とホルダを管理する工具カタログ「Tooling DB」を標準搭載する。このため、ストック形状を認識した加工エリアの演算に求められる、正確な工具やホルダ形状定義が行えるのである。登録はカタログデータをWEBよりダウンロードすることで簡単に行えるうえ、工具・ホルダ形状の図形取り込みも可能となっている。異形工具のシャンク形状は多段テーパーやR形状、ホルダは多段ホルダの定義が可能であり、より正確な干渉チェックが行えるようになっている。

さらに、CAM-TOOLは高精度ストックによる未加工領域の自動認識も行うことができる。中荒取りなどにおいては、前工程の取り残りエリアを正確に把握し、いかに効率よく加工するかがポイントとなってくる。そこでCAM-TOOLでは、取り残り領域をシステムが自動検出する「ストック演算」により、加工完成形状と加工途中のストック形状の差異から未加工領域を自動検出しパスを出力する。ここで検出した未加工領域は、異なる方向からも認識するため、5軸加工を行う場合にも有効となる。

そして5軸加工においては、工具ベクトルの変化が切削面の品質にも大きく影響を及ぼすことになる。CAM-TOOLでは、工具姿勢が急激に変化する箇所においては、傾斜・旋回軸を緩やかに変化させる「スムージング」機能により、テーブルが滑らかに回転し高品位の加工面を得ることができる。システムが自動で傾斜軸・旋回軸を制御し干渉を回避する「自動干渉回避」においても同機能が効果を示すことになる。

シリーズラインアップを拡充しモノづくりの新たなニーズに応える

他にもCAM-TOOLには、高送りラジアスによる効率的な荒取りや、指定ツーリング形状により干渉しない領域の加工など、他のCAMシステムとは一線を画する多くの特徴的な機能が備わっている。このため各種製造業からの評価も高く、町工場から自動車メーカー、医療機器メーカーなど、導入している製造業の業種は多岐にわたっており、金型や試作部署で利用されている。ある製造業では、CAM-TOOLを導入したことにより、トータルでの納期を3割も削減することに成功している。

また、冒頭で述べたように、昨今の製造業では部門の統廃合が進んでおり、開発・製造工程に関する十分なノウハウを持っていない担当者も増えている。しかしC&Gシステムズでは、東京本社に豊富なノウハウと経験を有するエンジニアが複数おり、導入企業のもとへ直接出向いてサポートも行っている。

さらに、CAM-TOOLシリーズの製品拡充にも注力している。その1つが2020年1月に提供を開始した「CAM-TOOL for NX」だ。同製品は、Siemens Digital Industries Software社が開発するハイエンド3D CAD /CAMシステム「NX」の操作に準拠した、金型/金属部品加工向け 5軸対応CAMモジュールであり、そこにはCAM-TOOLで培った30年以上にも及ぶ豊富な加工実績とサポートで培われた技術が反映されたCAMソルバーが搭載されている。これにより、微細・超精密形状加工から大物形状加工まで、工具の負荷変動を抑制した高品位かつ高効率な切削を実現するのである。

もう1つは2019年7月にリリースされた「CAM-TOOL AM」である。CAM-TOOL AMはCAM-TOOL に、LMD(Laser Metal Deposition)方式または、FDM(Fused Deposition Modeling)方式の積層造形パスを生成する新加工モードを搭載した同時5軸制御対応の複合CAMシステムだ。 積層造形(付加加工)と従来の切削加工(除去加工)を組み合わせた新たな工程設計を1つのシステムで行うことができるのが大きなメリットとして挙げられる。積層工程では、これまでの切削加工と同様のオペレーションを実現するとともに、オペレータは形状設定からパス出力まで特別な操作を行うことなくデータ作成が可能となる。

活用の決め手となるハードウェアに求められることとは

CAM-TOOL は、金型加工を幅広くサポートするため、穴加工、2軸加工、3軸、固定5軸、同時5軸をラインナップしている。システムの拡張性を高めるため、「モジュール」を追加する方法で、業務に合わせたシステム構成/要件への変更が可能だ。これらは操作性が一貫しており、立ち上げの工数負担もない。

そんなCAM-TOOL を最大限に活用するために欠かせないのが、ベースとなるハードウェアだ。当然ながら十分なCPUパワーと高速・大容量のメモリが求められるうえ、独自の演算処理のためのGPUの性能にもこだわりたいところだ。このためワークステーションは必須要件になってくる。

もしもハードウェアの性能が満たされていなければ、計算に時間がかかってしまい、いつまでも加工が終了しないといった事態も生じかねない。ジャストインタイムが至上命題であり、さらに最近ではモノづくりにスピードが求められる製造業にとって、こうした事態は絶対に避けなければならない。加えてハードウェアに不具合が生じた際の修理対応など、アフターサポートがしっかりしていることも重要になってくる。

そこでCAM-TOOLを稼働させるハードウェア環境として推奨しているのが、高性能かつ充実したサポートで定評のあるHPのワークステーションだ。昨今のサイバー攻撃はファームウェアをはじめとしたハードウェアに準ずるレイヤーまでも攻撃の対象としている。こうしたセキュリティの面においても、「セキュリティ・バイ・デザイン」にいち早く取り組み、業界をリードしているHPのワークステーションであれば最先端の対策が施されているので安心だ。

こうした点を重視するC&Gシステムズでは、HPの最新ワークステーションにCAM-TOOLをバンドルしての提供も行っている。2022年モデルである「HP Z2 Tower G9 Workstation」は、タワー型エントリーワークステーションであり最新CPUでの高速なマルチコア処理と、高性能なグラフィックス・パワーで、大量の作業負荷の処理が可能となっている。これ1台あれば、今すぐにでもCAM-TOOLを安心・安全かつ快適に活用することができる。また、クライアントPCではインテルが定めた次世代のノートPC指標である、インテル® Evo™ プラットフォームに準拠したHP Elite Dragonfly G3も取り扱っている。

このようにC&Gシステムズは、これまで切削で培ってきた確かな技術と先進のテクノロジーとの融合により、新たなモノづくりに貢献している。興味のある製造業の担当者の方々は、ぜひ相談してみてはいかがだろうか。

[PR]提供:株式会社日本HP