働き方改革やリモートワークの推進に伴い、場所や時間を問わずクラウドサービスの利用が増加している。また業務で使う端末もパソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなど多様化しつつある。たとえばシンクライアント端末を利用した業務環境の場合、ネットワーク環境などの制約から、音声による通話やWeb会議などをスマートフォンで行うケースが考えられる。
加えてクラウドサービスの急速な利用拡大も、モバイル端末の業務活用を後押ししていると思われる。オフィス内ならパソコンを使うのが通常だが、ほとんどのSaaSがモバイル端末に対応している現在、リモートワークにおいてスマートフォンやタブレットを手軽に併用することは自然な傾向といえる。
実際、マイナビニュースが会社員(従業員規模が500人以上の企業に務める方)を対象に実施したアンケート調査によると、業務で利用する端末が2台以上の割合は60.5%に達しており、多くの企業において管理すべき端末が増えていることがうかがえる。
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ゼロトラストネットワークの重要性と現状の不安
かつてはシンクライアントを使い、デバイス内にデータを残さない方法や、社内ネットワークからのアクセスを安全とすることで、セキュリティは守られてきた。しかし社外で業務を行う機会が増えている現状を鑑みると、必ずしも社内ネットワークが安全とはいえなくなる。パフォーマンス面でも、社外のさまざまな場所から中央のサーバーへとアクセスが集中するため、各種サービスの利用時に遅延が発生し、業務効率も低下してしまう。
そのため、いまや多くの企業がゼロトラストセキュリティの思考に基づいたネットワークを構築することで課題の解決を目指している。それは単に情報システム部門の話ではなく経営課題として認識されており、中期経営計画に「ゼロトラストネットワークの推進」を掲げる企業も珍しくなくなってきた。
その一方、主にIT関連技術職を対象としたアンケート結果を見る限りでは、業務利用システムの認証において約7割がIDとパスワードのみの利用であり、そうした現状に対して約6割が不安を感じているようだ。
以上のことから、多くの企業がゼロトラストネットワークの必要性について理解してはいるものの、実際のデジタルワークスペースには十分なセキュリティが施されていないといった課題が見えてくるだろう。
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