AIやIoTといった最先端のテクノロジーにより、製造業は大きな変革の時を迎えている。その根幹を成すのが「データ」の存在だ。企業が保有するデータは年々増大しており、今後もその流れは加速する一方だろう。
そのようななかで浮き彫りになってきた課題が、「データ保管の問題」である。どこに、どんな形で保管すればいいのか。セキュリティやガバナンスの問題にどう対応すればいいのか。ほかにもコストやデータ転送性能など、考えなければならない課題は山積みである。
そうした複数の課題を解決できるソリューションを提供するのが、エクイニクスである。6月23日に開催された「TECH+EXPO 2022 Summer for データ活用 データから導く次の一手」に、エクイニクス・ジャパン セグメントマーケティング デジタル戦略日本地域担当 村上 愼一 氏が登壇。製造業におけるデータの保管と利活用のあり方について語った。
240を超えるデータセンターを展開するグローバル企業
エクイニクスは1998年、米国カリフォルニア州にて創業されたデジタルインフラストラクチャ企業だ。「インターネットを発展させる」ことを理念に掲げ、データセンターサービスを提供。現在では、240を超えるIBX(International Business eXchange)データセンターを27ヶ国に展開している。エクイニクス(EQUINIX)とは、Equality(平等で)、Neutrality(中立的な)、Internet(インターネット)、Exchange(接続場所)の頭文字をとった社名。単なるデータセンターではなく、国境を越え顧客同士が取引や協業を行い、新たな価値を生み出す場所を提供することを目指している。
同社の顧客は、ネットワークサービスプロバイダが2,200超、クラウドやITサービス企業が3,000超、金融サービス系企業が1,250超、デジタルコンテンツ系企業が500超、さらにそれ以外の一般企業も4,700超存在する。
AWSやAzureのようなクラウドサービスや、デジタル金融サービス、ストリーミングビデオサービスなどを提供するグローバル企業が名を連ねていることからも、「安全で高性能なデジタルインフラストラクチャ」を求める企業から支持されていることがわかるだろう。
こうした幅広い分野の顧客からのニーズに応えるため、エクイニクスでは日々多くの投資を行っているという。
「創業時から提供しているデータセンターサービスに関しても、従来のIBXデータセンターだけでなく、クラウド事業を展開する顧客に向けて『xScale』という新たな規格のデータセンターサービスの拡張に努めています。また、インターコネクション(相互接続)サービスについても、新たなデジタルニーズに対応するため、ソフトウェア・ディファインドでオンデマンドな『Equinix Fabric』というサービスの提供も開始しています」(村上氏)
Equinix Fabricとは、データセンターにある物理および仮想デバイスと相互接続を可能にするプラットフォームである。多数の企業が利用しており、相互接続によりデジタルビジネスの成長を実現している。
増大するデータの保管と取り扱いが課題になっている
デジタルインフラストラクチャの提供を通して、インターネットの根幹に携わり続けてきたエクイニクス社。そんな同社の目線から、昨今の製造業におけるデータ保管と活用に関するトレンド、及び課題はどう見えているのか。
村上氏はまず、製造業の顧客に見られるトレンドについて、次のように説明した。
「生産現場の生産効率を高めるため、AIやIoTを活用したスマートファクトリーの実現が注目を集めています。また、RFIDやIoTを活用して、世界的に問題となっているサプライチェーンの再構築などもトレンドの一つです」(村上氏)
変化しているのは、生産現場やサプライチェーンだけではない。製品そのものについてもコネクテッド化が進んでおり、販売後のアフターサービスを充実させたり、保守を効率化したりする必要も出てきているという。
このようなトレンドのなかで、欠かせないのが「データ」である。すでに製造業の企業では、社内に保留されるデータが爆発的に増加し続けており、その勢いが収まることはない。IDCの調査レポートによると、2025年には世界中で取り扱われるデータが175ZBに達すると予想されている。
「製造業のお客様において、増加するデータの保存と取り扱いが大きな課題になっています」(村上氏)
データは保存するだけではなく、活用しなければならない。大量のデータを効率的に分析するには、AIや機械学習といった新しいIT基盤の整備や、分析結果を見やすく整えるBI基盤が必要になる。
こうしたIT基盤を実装するには、従来のアプローチでは非常に多くの時間と費用がかかってしまう。そこで、クラウドを活用する企業が増えているのは当然の流れといえるだろう。
総務省の調査によると、国内製造業の67.9%がすでに何らかの形でクラウドを利用しているという。そのうち、ファイルの保管、データ共有を目的としたクラウド利用は59.3%を占める。
こうした数字からも見て取れるように、国内製造業においてもデータ保存のあり方は大きく変わってきているといえる。
セキュリティ、ガバナンス、データ主権などの諸問題を解決
「ただし」と村上氏は続ける。
「製造業などの企業においては、単純なクラウド利用だけでは解決できない問題も出てきています」(村上氏)
たとえば、サイバーセキュリティの問題だ。製造業の大手企業がサイバー攻撃を受け、生産ラインをストップさせた出来事は記憶に新しい。いまやサイバーセキュリティはビジネスの継続性にも関わる問題であり、セキュリティを担保したデータ保存方法が強く求められているのだ。
世界的に大きな動きが見られる「データ主権」の問題にも対処しなければならない。データ主権とは、データの収集や保管に関するガバナンスを意味する。
「データ主権は、データの保存場所について、コンプライアンスの観点から大きな課題を投げかけました」(村上氏)
最後に、「マルチクラウド環境におけるデータ保管」の問題である。本来、データは効果的に活用するため、極力1ヶ所で保管することが望ましい。そして、特定のクラウドサービスにデータを統合保管する環境を構築した場合、他のクラウドからデータを利用する際には仮想マシンやインスタンスからアクセスすることになる。
このアクセスにインターネットを活用することは可能だが、「いくつかの観点において、あまり望ましい方法とはいえない」と村上氏は指摘する。
理由の1つは性能の問題だ。
インターネットは元来、ベストエフォート型の通信であり、帯域や速度は保証されていない。遅延も大きい上に、経路変化が発生した場合はデータの転送性能にも悪影響を及ぼすことがある。
コストの問題もある。一般的にクラウドサービスでは、下り方向のトラフィックに対して従量課金が行われることが多い。よって、前述の方法ではデータ保管に利用しているクラウドサービスのコストが増大してしまう懸念がある。加えて、セキュリティの観点からも、あまり望ましくない方法だと村上氏は言う。
そこで、このような場合、実際にはVPNを利用することが多い。VPNを利用したネットワークでは、クラウド間のトラフィックは一度ユーザーの拠点まで戻り、そこから再度クラウドへと戻るようなパターンとなる。セキュリティや運用の観点から、一度拠点に戻して通信させる形態が一般的になっているというわけだ。
しかし、このようなトラフィックパターンには別の問題が発生すると村上氏は言う。
「クラウド間で共有されるデータは二重に拠点のアクセス回線を通過することになります。すると、拠点側のアクセス回線の帯域幅が通信速度やシステム性能に影響を与えるのです」(村上氏)
このような問題を解消するために、エクイニクスは画期的なソリューションを提供している。
それが、通信事業者などが提供する閉域ネットワークを利用してクラウドに接続する方法だ。公衆網を利用するインターネットと異なり、セキュリティや性能の観点から、企業システムでは特に望ましい方法といえる。
もっとも、一見するとこの方法では、マルチクラウド環境の問題やクラウド間トラフィックの問題は解決できていないように思えるかもしれない。
しかし、「それはまったくの誤解」だと村上氏は強調する。
「実際の閉域ネットワークを利用したクラウド接続は、クラウド接続サービスを提供する接続事業者を経由しています。このクラウド接続サービスをグローバルで提供しているのが、我々エクイニクスです」(村上氏)
エクイニクスとクラウド間のネットワークは最新技術による光ファイバーで構成されており、低遅延かつ広帯域の接続が可能となっている。具体的には、遅延は数ミリsec、ネットワーク帯域は100Gbpsにも到達する。
また、クラウドに対して上り方向のトラフィックを主とすることも可能なので、コスト面の問題もない上に、エクイニクスが提供するデータセンター上でコロケーション形態によりデータ管理が行えるため、データ主権問題にも対応できるのだ。
加えて、エクイニクスは全世界240ヶ所にデータセンターを保持しており、地域の法や商慣習に完璧に準拠したデータ保存環境を実現できるという。
将来を見据えたエクイニクスの次なる展開
現在、エクイニクスでは、「プライベートクラウドで従来のオンプレミス環境と同じように資産を保有しなければならない」という顧客のニーズを受け、“Storage as a Service”を実現する新たなサービスも開発中だ。
また、顧客が取り組むカーボンニュートラルを支援する方向性も打ち出している。同社の多くのIBXデータセンターではすでにカーボンニュートラルを達成しており、同社のIBXデータセンターを活用すること自体が、カーボンニュートラルに貢献することにつながるというわけだ。
本ウェビナーで語られたように、エクイニクスのサービスは様々な面で時代を先取りし、製造業のユーザーが直面する問題を解決に導いてきた。
データ活用を進める上で、データ保管は避けては通れない大きな問題の一つだ。対応に頭を悩ませている方は、ぜひ一度エクイニクスのサービスを検討してみてはいかがだろうか。
[PR]提供:エクイニクス