昨今のコロナ禍はビジネスに大きな影響をもたらし、変革を余儀なくされた。とりわけ物流業界は大きな影響を受けた業種の1つだ。自由な外出が制限される状況のなか、巣ごもり需要の高まりによりネット通販のニーズが急速に拡大。物流量の増加にくわえて、ネット通販事業を強化する企業も増加したことで、配送や倉庫業務など物流が追いつかないという課題が顕在化した。

さらにWeb決済の普及に合わせて迅速な配送が求められるようになっている。これによりプロセス全体の見直しが急務となった物流事業者も少なくないだろう。また、あらゆる業界で課題となっている労働者の高齢化や人材不足は物流業界においても喫緊の課題となっている。2021年に閣議決定された「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」ではシステムの最適化と労働者不足対策、物流ネットワークの構築が掲げられている。

本稿では、こうした課題に直面している3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業者を例に、「WMS(倉庫管理システムまたは在庫管理システム)」の導入から将来的なDXを見据えたシステム整備を実現したケースを紹介。物流業界におけるIT活用の最適解を確認していく。

  • (イラスト)ネット通販のニーズ増加や人材不足などにより、物流業界に業務負荷がかかってる様子

3PL事業者のA社が抱える課題──業務効率化を阻むシステム面の障壁とは?

物流業界の現場では、老朽化したメインフレーム上の基幹システムが改修の繰り返しにより複雑化しているといった課題を抱えているケースが多い。これではデータ・システム連携といったDXに不可欠な要件を満たすことは困難だろう。また、IT導入をリードする旗振り役も不在で、業務の自動化・効率化を図りたいといった現場の要望が反映されないこともめずらしくない。

ネット通販のニーズ増大にともない、忙しい日々を送る3PL事業者のA社でも、こうしたシステム面での問題に直面していた。倉庫管理を主体とする同社では、取引先(荷主)に合わせて個別にWMSを構築しているため、他の案件(現場)で流用できないといった課題が顕在化しているのだ。そのため現場のスタッフが別の現場や案件を対応する際はイチからWMSのオペレーションを修得し直す必要があり、多忙な案件の応援に回ることもできない状況に陥っていたという。これでは人的負荷や教育コストが増大してしまう。

  • (イラスト)現場が忙しいのでほかの倉庫からヘルプを回してもらいたいが、WMSがネックになっている様子

また、改修が必要になった場合も荷主ごとに開発されたWMSに対して個別に対応する必要があるため、運用にかかるコストも大きな負担となっていた。新たなシステムを構築するのにも時間がかかるため、新規取引先の迅速にネット通販ビジネスを開始したいといったニーズに応えることも難しく、機会損失にもつながっていた。

こうした運用課題にくわえて、個別のWMS運用ではDXに不可欠なデータ連携もままならないと判断したA社は、共通化しやすいWMSのリプレースに踏み切った。「いかにすばやく、顧客の要件に適合できるか」を念頭に置き、採用を決めたのが、20年以上にわたり物流業界におけるIT活用を支援してきたTIS株式会社(以下TIS)が提供する「在庫管理システム(WMS)」パッケージとなる。

A社が選んだ解決法とは? 業務効率化と顧客満足度アップを後押しする、WMSの最適解

TISのWMSは、Sierとして多様な業界のDXを支援し、培ってきたノウハウが惜しみなく投入された完成度の高いパッケージとなっている。

A社のような3PL事業者をはじめ、倉庫業務を主体とした物流会社や商社・メーカーの物流子会社など、物流に関わる企業のニーズに応えるための基本機能を網羅しているほか、荷主ごとの要件には柔軟なカスタマイズで対応できる。すべての現場に同一のWMSを導入し、荷主の要件に必要な機能をアドオンするといった仕組みが構築できるため、オペレーションの共通化が実現する。これにより、先に述べたコストや人的負荷を軽減することができる。

  • (図版)荷主をまたいで在庫システムにファイルを取り込めることを表した図

    インターフェースマッピング機能も備え、ファイルレイアウトにかかわらず取込みが可能

実際、A社ではスタッフのトレーニングにかかる時間を大幅に短縮できただけでなく、多忙な現場に、他の現場のスタッフを迅速に割り振れるようになった。現場からは「業務が効率化できた」「楽になった」と喜ぶ声が聞こえてきているという。

  • (イラスト)WMSを共通化したことにより、倉庫をまたいだ人事配置が可能になった様子

迅速なシステム改修が可能になったため、荷主にとっても大きなメリットとなる。TISでは、経験豊富なエンジニアが荷主と直接やり取りを行い、荷主のニーズに合わせたカスタマイズ機能を実装してくれる。物流事業者の負荷を増やすことなく、荷主それぞれに適正化したシステムを構築することが可能だ。さらに新規取引先のWMSもスピーディーに構築できるようになったため、事業拡大にもつながったようだ。

TISのWMSは、マテハン連携にも対応するなど倉庫業務の効率化や生産性を向上させるための機能が充実しているのも特徴。機能の多くはWebブラウザで提供されているため、複数倉庫・複数拠点を一元的に管理でき、運用にかかるコストの削減にも大きな効果を発揮してくれる。

物流DXを見据えたシステム整備が、ビジネスの成功につながっていく

TISのWMSパッケージを導入することは、物流DX推進においても有効だ。というのもTISはハンディ端末の導入から運行管理システムの構築まで、物流業界の課題を解決するための幅広い支援を行ってきた実績を持っている。これらのソリューションとWMSを組み合わせることで、物流DXを一気に推し進めることができる。

たとえばトラックの予約状況や現在位置を可視化すると、適切な配車や荷物の積み降ろしで発生する待機時間を削減するなど、効率的な運行を実現できる。これはコスト削減・ドライバーの負荷軽減につながる。さらに近年の物流事業でとくに重要視されるようになった、配達時刻の遵守に関わる運行のマネジメントも行っている。このようにTISは「荷物を預かって配送するまで」をワンストップで支援してくれる。

もちろん、代表的なDXのアプローチであるペーパーレス化にも対応し、勤務記録・乗務記録などのあらゆる書類の電子化も手掛けてきた。また、オープン化・クラウド移行をふまえた基幹システムの段階的なモダナイゼーションも提案可能だ。WMSの共通化を起点にDXを推進したいと考えている物流事業者にとっては、まさに見逃せない選択肢といえる。

社会インフラの1つとされている「モノの流れ」を担う物流事業を、ITのスペシャリストであるTISは今後も積極的に支えていきたいという。具体的には集荷配送時の事務処理を電子化することでドライバーの負荷を低減させ、データがリアルタイムに反映されるため経営判断の迅速化に繋げていくことも可能だという。また、ロボットによる自動配送を用いたラストワンマイル発送を実現するスキルセットを持ち合わせている。このように、同社が培ってきた幅広い領域の経験・技術を活かした物流プラットフォーム全体のDX支援を構想しているそうだ。

  • (イラスト)TISが構想する物流DXとして、事務処理の電子化やペーパーレス、自動走行ロボット、配送の効率化

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いま抱えている課題は大規模なビジネス改革を遂げる糸口になるかもしれない。目の前の課題解決だけにとどまらず、これを機に物流システム全体に見直しをかけてみてはいかがだろうか。もしDX推進も視野に入れたシステム整備を行いたいのならば、ぜひ一度、TISに相談してみることをおすすめしたい。

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