現代のビジネスにおいて、効果的なデータ利活用は最優先のミッションといえる。金融機関においても同様で、データの分析・活用による収益改善を目的としてデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業は増加の一途を辿っている。こうした状況のなか、シミュレーション・HPC・AIの3つの領域を融合して企業のビジネスを支援するアルテアエンジニアリングは、収益改善に直結するDXを実現したい金融機関向けのセミナーに登壇。
DX推進を阻む課題と、その解決を支援するソリューションについて話を展開した。本稿では講演の内容をレポートし、データ利活用におけるIT資産の運用コストを最適化するためのアプローチについて解説する。
収益改善に直結するDXの実現を阻む3つの課題と、解決するためのアプローチ
AI/データ分析の活用がビジネストレンドとなった現在、データ利活用を軸にDXを推進する企業は多く存在する。金融業界においてもDX化の波が押し寄せており、先進的な金融機関は以前よりデータ分析プラットフォームの構築に取り組んできた。
金融業に限らず、DX化を推進する企業の多くは、収益改善に直結する“即効性のあるDX”を目指している。1985年に米国で設立され、25カ国86拠点でグローバルにビジネスを展開するアルテアエンジニアリング株式会社。データアナリティクス事業部に所属する片山 健太郎氏は、即効性のあるDXの実現を阻む課題として「サイロ化したITシステム」「限定的なデータ利活用」「企業内IT人材の不足」の3つを挙げる。
「ITシステムを部門ごとに構築・運用している企業にとって、収益改善に直結するDXの実現は容易なものではありません。データ利活用に必要なシステムの統合には膨大なコストと手間がかかるため、システムを棚卸する段階で断念する企業も少なくない。また、業務貢献を想定して導入したデータ分析プラットフォームが見直されないまま放置され、高額なライセンス料金が収益に影響を与えているケースもめずらしくありません。導入したソフトウェアによってはプログラミング言語の制約が発生し、他の製品への置き換えが困難となる“プログラムロックイン”のリスクも内包しており、収益改善の実現を困難にしています。さらにIT人材の不足もDX推進の妨げとなっており、教育コストの増大や転職・退職による現行システムのブラックボックス化といった課題が顕在化しています」(片山氏)
こうした即効性のあるDXを阻む課題を解決するためには、負荷なく短期間で実現することが大切であり、ROIとして明確にメリットを確認できる必要があると片山氏。いきなり全社的なDXに取り組むのではなく、スモールサクセスから領域を広げて横展開していくというアプローチを推奨し、さらに伴走型で人的サポートにも対応してくれるパートナーを選ぶことも重要と解説する。アルテアエンジニアリングでは、即効性のあるDXを実現するため、「IT資産の低コスト運用」と「業務・オペレーションの効率化」の2つの観点からソリューションを展開。特にIT資産の低コスト運用を実現するソリューションは、SAS言語を導入したものの、高額なライセンス料金を有効活用できていない企業にとって有効な機能を備えていると片山氏は語る。
「アルテアエンジニアリングが提供するソリューションは、IT資産の低コスト運用を支援するための機能を網羅しています。金融機関をはじめ多くの企業で大きな負担となっているSAS言語プログラムの運用コストを大幅に軽減することができるほか、データ分析で主流になりつつあるPythonやRのコードを含むプログラム開発やデプロイにも対応。プログラムロックインを解消できるだけでなく、システムのサイロ化を解消するための機能も備えており、即効性のあるDXの実現を強力に支援します」(片山氏)
SAS言語に対応した製品群で構成されるAltair ソリューションがIT資産の低コスト運用を支援
IT資産の低コスト運用を支援するAltair ソリューションは、「Altair SLC」「Altair Analytics Workbench」「Altair SmartWorks Hub」など、SAS言語に対応した製品群で構成されている。
SAS言語コンパイラ機能となる「Altair SLC」にはSAS言語変換機能が実装されており、既存のSASプログラムの移行や保守、実行、さらに新規プログラムの開発が可能。安価な価格設定でランニングコストやメンテナンスコストを大幅に圧縮できるだけでなく、コア言語はもちろん、統計解析、時系列解析、機械学習など幅広いSAS言語をサポートする。さらにPython、Rといったオープンソースのプログラミング言語を同一プラットフォーム内でシームレスに活用できることも見逃せないポイントとなる。
最新の統合開発環境を提供する「Altair Analytics Workbench」では、SAS言語プログラムを構築することができ、コードエディタやコードテンプレートをはじめ、プロジェクト管理からコード履歴まで必要な機能を網羅。SQLやPython、Rを混合したSAS言語プログラムを作成できる。これらの機能は、GUI操作の直感的インタフェースでワークフローを作成して実行できるため、スキルセットを持たないユーザーでもデータサイエンティストと同等の作業が行えると片山氏は解説する。
「Altair Analytics Workbenchに実行されたワークフロー機能では、アイコンを用いた効率的なコード作成が可能。データ分析に必要なほとんどの作業を網羅しており、データの抽出・加工・集計といったデータ準備の作業はもちろん、機械学習のモデル構築までをアイコンベースの直感的な操作で行えます。また、SAS言語はもちろん、Python、R、SQLといったプログラミング言語を組み込むことが可能で、作成したモデルをSAS言語に変換して他のプラットフォーム向けに出力することも容易です。」
アナリティクスエコシステムを管理でき、データやプログラムアクセスの一元管理を実現することでガバナンスの強化も実現する「Altair SmartWorks Hub」も、IT資産の低コスト運用において重要な役割を果たしている。さまざまなプログラミング言語を統合し、開発したモデルを簡単に運用・管理することが可能だ。スケジューリングも可能で、より業務に直結した支援が可能となっており、DevOpsユーザーにとっても非常に有効なサービスとなっている。
さらに片山氏はこう語る。 「オープンソース言語とSAS言語による統合開発環境を提供し、1つのプラットフォームでモデルの構築から管理・運用・展開までをボトルネックなしでスピーディに実現できるAltair ソリューションは、さまざまな立場のユーザーに対して大きな効果を発揮します」
アルテアエンジニアリングのソリューションは、金融機関のDXを加速させるためのカンフル剤となる
即効性のあるDXを実現するための、もう1つの観点となる「業務・オペレーションの効率化」においても、アルテアエンジニアリングのソリューションは大きな効果を発揮してくれる。セルフサービスデータ準備/データ変換の効率化および自動処理を実現する「Altair Monarch」は幅広いデータソース・データ処理に対応し、業務・オペレーションの効率化を図るうえでのさまざまな課題を解決する。個人業務はタスクを自動化する「Monarch Complete」、部門・チーム業務は「Monarch Server」とRPAを組み合わせた一括自動化で対応。Excelライクなインタフェースを採用し、データサイエンティストでなくても直感的に操作できるのもポイントとなる。
Altair Monarchは、すでに多くの金融機関で採用されており、本講演ではMasterCard社における導入事例が紹介された。13人のメンバーによる手作業で、毎週40~80時間かけて行っていた消込業務を、Altair Monarchの導入により大幅な工数削減に成功。その結果、メンバーはより戦略的な業務に注力できるようになったという。
またアルテアエンジニアリングの製品群は、ソフトウェアごとの加算方式ではなく、独自のトークン式ライセンスを採用。複数アプリケーション利用時のコストを最適化することができ、収益改善に直結する“即効性のあるDX”の実現を支援するソリューションに仕上がっている。
ここまで述べてきたように、「IT資産の低コスト運用」と「業務・オペレーションの効率化」の観点から、収益改善に直結する“即効性のあるDX”を実現するアルテアエンジニアリングのソリューションは、金融機関のDXを加速させるためのカンフル剤となるはずだ。コストの最適化や今後DXを推進したいという企業は、アルテアエンジニアリングのソリューション導入を検討してみてはいかがだろうか。
[PR]提供:アルテアエンジニアリング