1940年に福岡・北九州の地で創業した高田工業所は、基礎素材産業をはじめ、さまざまな産業設備の設計から調達、製作、建設、メンテナンスまでを手掛けながら、国内外問わず各種産業の発展に携わってきた。そして2020年に創業80年を迎えた同社では、これまで培った技術・技能を活かし、装置事業やエンジニアリング事業へと事業の範囲を拡大するとともに、ICTやデジタル化を積極的に取り入れつつ、時代の変化に対応した事業展開を図っている。

2040年の創立100周年に向け、地域連携の取り組みも

同社では、こうした変化の時を2040年の創業100周年に向けてのターニングポイントと捉え、「みらい」に向けた持続可能な企業となるべく「みらいプロジェクト」を立ち上げた。第5次中期経営計画(2022~2026年度)にも盛り込むなど、改革・成長を見据えた取り組みの強化を進めているところだ。このプロジェクトの一環として、SDGs推進の観点から、地域課題の解決に向けた自治体や大学等との地域連携の取り組みも進めているという。

  • みらいプロジェクト ビジョンマップ

    みらいプロジェクト ビジョンマップ

そんな高田工業所で、2020年の創業80年よりICT・デジタル活用による社内の各種改革をリードする役割を担っているのがデジタル改革推進部である。

株式会社高田工業所 デジタル改革推進部長 松本次郎氏

株式会社高田工業所 デジタル改革推進部長 松本次郎氏

デジタル改革推進部の部長を務める松本次郎氏は言う。「当部は昨年度までICT推進部という名称でしたが、これまでの取り組みをさらにステップアップ&スピードアップして全社的にデジタル改革を推進するべく、この4月にデジタル改革推進部へと改称しました。部内には、企画管理グループ、業務プロセス改善グループ、そして生産現場の改善を図る生産技術改善グループの3つのグループがあり、私は部長としてそれらのグループをマネジメントしています」

クラウド型Webデータベースであるサイボウズの業務改善プラットフォーム「kintone」をはじめ、データ連携ツール、RPAツール、BIツールなど、さまざまなデジタルツールを活用して業務改善に取り組んでいるのが業務プロセス改善グループである。

営業活動支援のための環境整備からのスモールスタートを決意

デジタル改革推進部がまず目指したのが、情報共有の基盤を整備することで企業風土の改革を促し、DX化の第一歩となるデジタル化を促進することだった。

業務プロセス改善グループのグループ長を務める讃井将司氏は次のように振り返る。「ICT推進プロジェクトの発足当初は手探り状態で色々な試みを検討していました。例えば、作業日報や仕入伝票などは紙で業務を行っていて毎月大量のデータ入力が発生しますが、そこに帳票OCRシステムを導入するなどです。しかしながら、これらの業務は内部統制に係わるということで、変えるためには長い時間や労力がかかることがわかりました。そこでまずは、解決しやすいと思われる管理部門の周辺業務の課題を拾い上げるようにしました」

株式会社高田工業所 デジタル改革推進部 業務プロセス改善グループ長 讃井将司氏

株式会社高田工業所 デジタル改革推進部 業務プロセス改善グループ長 讃井将司氏

松本氏もこう続ける。「そうした中、営業本部から要望を受けたのが、円滑なコミュニケーション環境と情報共有基盤を整備して業務効率化ができないかというものだったのです」

これを受けて松本氏らはまず、情報システム部に相談したものの、やはり既存業務が忙しいため、対応できるのはかなり先になるだろうということだった。

そこでデジタル改革推進部自らが、営業本部で活用できる営業活動支援のための仕組みづくりを実施することを決意する。

「実は営業本部の上長が以前ICTの推進に関わっていたことで、業務改善に向けて足並みを揃えてもらいやすかったのも追い風となりました。そして管理部門に受けて入れもらいやすいよう、大幅な業務改善ではなく、最低限出来るところからスモールスタートするように、営業日報の提出やスケジュール共有といった、営業活動に役立つ環境整備から始めようと判断したのです」

業務改革の基盤として「kintone」を選んだ理由

営業活動に役立てる仕組みづくりを筆頭にした新たな環境の整備に当たっては、基幹システムに保管されている案件情報をうまく活用できること、大がかりなパッケージではなく依頼された部門の課題にすばやく応えられ、新しい業務イメージが体現できる仕組みであること、そしてノンプログラミングで構築できる仕組みを検討していった。

松本氏は言う。「基幹システムを担当する情報システム部門に頼るのではなく、基本的にはデジタル改革推進部で主体的に進めていこうと考えました。スピード感をもって対応できるよう内製化したいという思いはもちろんのこと、さらに一歩進めて各部門でも改善に向けた環境が自ら整備できるようなものが理想的でした」

そんな折、高田工業所の課題解決に役立つソリューションとして着目したのがkintoneだった。松本氏は早速サイボウズのオフィスを訪問し、働き方改革における先進的な取り組みを目の当たりにしたことで、kintoneが社内の風土改革に資する環境づくりに役立つと考えたという。

「実際にkintoneを触ってみて、サイボウズのさまざまなツールやWebサイトと連携した活用ができ、しかも概念実証的にいろいろと試せることを実感しました」と松本氏。

その後kintoneのセミナーに参加した讃井氏も「わずか2時間で、システムの構築に携わったことがない業務部門のスタッフでも一通りのことができるようになり、驚きを隠せませんでした。これだけ簡単に作成できてしまうことに正直驚きました」と、SEとしての自身経験も踏まえて当時の印象を語る。

営業活動支援での実績が全社活用につながる

実際にkintoneを用いて営業活動支援のための新たな環境を構築するに当たって、アプリ自体はわずか数日でプロトタイプをつくりあげることができた。そして営業部門に確認してもらいながらブラッシュアップしていったのである。

こうして完成した「営業活動支援システム」では、基幹システム内の案件情報をkintone側に取り込んだ「受注情報マスタ」をはじめ、5000枚以上の名刺情報をハンモックの名刺管理クラウドサービス「HotProfile」と連携することでkintoneに取り込み、組織で共有化している。営業担当者が名刺裏に手書きしていたメモも、kintoneの「名刺個人メモアプリ」にて管理されており、また「営業活動報告面談メモアプリ」には、活動実績のほかにスケジュール共有サービス「Garoon」に入力した面談予定のスケジュールもシームレスに連携し、二重入力の手間を省いている。

「これまで個人で管理していた営業活動情報をkintoneで一元管理し、見える化することで、チームの営業活動に最大限生かすことができているという声が寄せられています」と松本氏は話す。

kintoneを用いて開発した営業活動支援システムの成功を受けてデジタル改革推進部では、引き続き色々と社内の課題をヒアリングしながら、ICT活用を通じて業務の効率化を図るためのプロジェクトを進めていった。これまでに役員向けの「スケジュール管理システム」や「固定資産管理システム」、「技術標準検索システム」といった、さまざまなシステムをkintoneをベースとして展開してきたのである。

「我々がkintoneの良さを実感して社内で説明会を開いても、関心は示してくれるもののそこで終わってしまいがちでした。しかし営業活動支援システムが実際に運用されるようになって現場に多くのメリットをもたらし、その評判が全社に広まったところ、一気に他の部署でもkintone活用が浸透していったのです。今では現場でのさまざまな課題をヒアリングしながら、まずはkintoneでアプリを数日で作成し、実際に現場で使ってもらいながらどんどん改善を図っていく、といったアプローチがすっかり定着しています。そうしてユーザーの意見をすぐに反映できるので、さらに使いやすくなって利用が浸透していくのです。こうした開発側と利用者とのWinWinの関係こそ、業務改善には大切なのだと実感しています。今後も2040年の創業100周年に向けて、kintoneと基幹システムを上手に共存・連携させながら更なるDX推進を進めていきたいですね」と松本氏は力強く語った。

関連情報

・サイボウズの業務改善プラットフォーム「kintone」
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・高田工業所公式サイト
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・みらいプロジェクト
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[PR]提供:サイボウズ