2020年3月、日本でも5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが開始した。すでにハイエンド製品だけでなくミッドレンジでも5G対応端末が登場している。一方、ネットワークの整備はまだ4G/LTE並みになっておらず、5Gは第一世代の状況にある。

発展途上にある5Gだが注目度は高い。特に地域・産業のニーズに応じて企業や自治体等が個別に利用できる5Gネットワーク「ローカル5G」として利用できる周波数帯も合計1.2Ghzとなり、アクセスエリアを広くとれるSub6(4.7Ghz)とより超高速・大容量通信が可能なミリ波(28Ghz)を使い分けることが可能だ。このためか令和4年3月時点で106と多くの団体・企業がローカル5Gの本免許をすでに取得している。

2030年を目標としてBeyond 5G(6G)と呼ばれる次世代移動体通信システムの研究も進んでいるが、5Gに利用される新技術に対応するキーパーツがある。

5Gをデバイスへ提供する場合の相互接続の課題

5Gは商用化されたが、5Gが4G/LTE並の可用性に到達するためにはまだまだ時間がかかる。現在は5G第一世代でアーリーアダプターの状況だ。

おおむね10年で移動体通信システムの世代が変化するが、LTEを思い出せばわかるように10年の間にもアップデートが続く。5Gに求められているのはLTEを上回る性能だ。現在利用されているNRZ変調よりもより効率的なPAM4(4値パルス振幅変調)による56Gbpsおよび112Gbpsが5G網で利用される。

このような高速通信で重要になるのは信号の品位だ。大気中であれ、導体を通る場合でも高周波信号にとって品位向上は永遠の課題だろう。5Gを構成する基板レベル、基板間、基板のコンポーネント間でPAM4 56Gbpsおよび112Gbpsの高周波信号に対応しなければならない。PAM4の場合、NRZよりも高いSN比が要求される。

5Gに課されたeMBB(enhanced Mobile Broadband:高速大容量)、URLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications:超高信頼低遅延)、mMTC(massive Machine Type Communication:超大量端末)を実現するためにはミリ波伝送や小型で多数のセル、ビームフォーミングやMIMOアンテナ技術などの手法を利用する。またMIMOの性質によって送信機のアンテナ密度は増加し、アンテナアレイの密度を最大256素子まで押し上げる。信号品位を向上させるだけでなく、密度向上に適した部品が求められている。

高速通信という意味では将来のBeyond 5G(6G)でさらに拡張されるという。Beyond 5G推進コンソーシアムの資料には5G比でアクセス通信速度と同時接続数は10倍に遅延は1/10と記載されている。

光ファイバー接続は5Gネットワークの多くの場所で使用されるが、銅線接続技術もまだ重要な役割を果たす。Molexのグローバル製品マネージャーであるマイク・ハンセン氏は、銅線接続ソリューションの主な重要な需要は基板間と基板内ルーティングにある、と説明している。Twinaxケーブルアセンブリを使用することにより、高速信号を伝送できると同時にPCBトレースに伴う損失を回避するという。

ハンセン氏は、アクティブアンテナ装置(AAU)の開発で5Gが変化を生み出したと説明している。AAUは大規模なMIMOアーキテクチャおよび大量の処理を特徴としており、非常に狭い面積で実現されているため、 高密度の銅線接続はシステムアーキテクチャに不可欠だ。

新しいネットワークにおける高速5G信号のルーティング

一般に使われているガラスエポキシ基板は高周波信号に対して損失が大きい。もちろん、高周波向けの基盤素材もあるが、全面的に採用するのはコスト高だ。

そこで5G信号の伝達のみ高品位のケーブルを使うことが解決策の一つとなる。高度な超小型コネクタによって、信号品位を高く保ち、かつ必要な密度を得ることができる。改良版のエッジコネクタは電力に加えて差動もしくはシングルエンド信号を一つの超小型コネクタに詰め込む密度をもっており、ツイン同軸ケーブル(バイパスケーブル)を介してPCBから他のPCB、あるいはI/O部から信号処理LSIへ高速信号を直接届ける。信号の質を保持しつつコストと遅延を最小限に抑えることができる。

PAM4の56Gbps、あるいは112Gbpsに対応したソリューションとしてはMolexのNearStack 100オームおよび85オームファミリーがある。また、32GbpsのNRZ信号をサポートするNearStack PCIeコネクタがある。

さらにNearStack On-the-Substrateシステムなどのソリューションでは、ダイレクトチップ基板Twinax接続を使用して接点をASICの表面に置き、56Gbpsおよび112Gbps PAM4をサポートしている。

5Gシステムのケーブルコネクションに関する、より詳しい内容はアヴネットの公式サイトを確認するとよいだろう。

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