組織横断的にテクノロジーやデータを活用して、継続的に企業の稼ぐ力を向上させる「RevOps(レブオプス)」という取組みが、米国を中心に拡がっている。こうした活動のコアとなる営業部門に対し、「売上予測管理」、「報酬管理」、「営業計画」などのソリューションを提供するのが、Xactly(エグザクトリー)である。Xactly 代表取締役社長 福眞総一郎氏は、4月21日に開催されたTECH+セミナー「セールステックDay 2022 Apr. お客様を主語にセールスをアップデート」で、特にRevOpsに必要不可欠なビジネスの未来予測に関して、よくある課題と解決の方向性、ソリューションの詳細を解説した。
RevOpsが今求められる背景と何から着手すべきか
RevOpsとはRevenue Operationsの略であり、レブオプスと読む。福眞氏によると、RevOpsの本質は、営業組織だけが売上創出について注力するのではなく、営業部門以外もリアルタイムで営業活動の進捗を確認し、各部門の活動や計画に反映させて売上創出に貢献していくことであると話す。
「たとえば、特定の製品のパイプラインが急激に落ち込んでいることがリアルタイムに把握できれば、マーケティング部門でどのようにプロモーションを実施していけばよいかといった打ち手を考えることができる。また、カスタマーサクセス部門で既存契約のレートが減少したことがリアルタイムでわかれば、フィールドセールス側で新規契約を増やすというアクションを取ることができる。売上の見通しが明確になっていれば、財務部門による投資活動も自信を持って行うことができる。このように、RevOpsには関係チームが先手先手でアクションを打つことができるというメリットがある」(福眞氏)
RevOpsの実現に向けては、部門間で連携し、全社を挙げて収益の最大化に向けたアクションをデータドリブンに行っていくことが重要だ。特に、アジャイルに行動を変えていくためには、データに基づく精度の高い売上予測=フォーキャスティングが行われていることが不可欠である。
ところで、営業の現場では、直感・勘、気合に頼ったフォーキャスティングで精度が低い、他部門とフォーキャスティング情報が連携できていないなどといった課題をよく耳にする。結果として、期末の最終段階での商談の突然の遅延や失注、そして売上目標の未達といった影響が出ているケースも多い。
フォーキャスティングの現場で起きていること
フォーキャスティングのプロセスは大きく「量」「質」「着地予想」の3つに分けられる。
「量」を確保するプロセスで最も重要なのは、売上目標を達成するために、成約率から逆算して、十分なパイプラインが確保できているか確認できる状態になっていることだ。四半期〜1年といった長期スパンでのサイクル全体を考慮する必要があるほか、製品・テリトリーなどの多面的なカットでの分析も必要となる。ただし、こうした作業を表計算ソフトやCRMツールだけで行おうとすると、かなりの手間が掛かってしまう。
「質」を高めていくためには、受注のための諸条件が揃っているか、やるべきアクションが取れているかといった状況確認が必要なほか、リスクの洗い出しも求められる。しかし、実際には営業担当者の直感や希望的観測が含まれてしまい、本当に確度の高い商談はどれか見えにくくなってしまう課題がよく発生する。また、商談数が増えると、全体での質を担保するための管理が難しくなってしまう。
「着地予想」においては、「量」と「質」を勘案した上で、上振れまたは下振れする要素はないか、過去実績やトレンドを踏まえて、直感を排除し冷静に判断する。成約率が高い順番に積み上げていけばよいという単純な話ではない。
「フォーキャスティングは難しい業務であり、精度も上がりづらい。用いるツールがプロセスによってバラバラで、また担当者によって精度が異なってしまうため、特に慣れていない新人営業や新人マネージャーにはハードルが高い」(福眞氏)
「Xactly Forecasting」で売上50%以上アップも
そこでXactlyでは、フォーキャスティングツールとして、「Xactly Forecasting」を提供している。
Xactly Forecastingは、効率的なフォーキャスティングを実現するオールインパッケージであり、CRMツールとの連携が可能なだけでなく、Amazon S3のバケットも提供されるため、ERPやHCMなどその他システムとのデータ連携もできる。これらのデータは、スナップショットとしてデータベースに収められる。またMicrosoftおよびGoogleのカレンダー/メールツールの情報を読み取ることも可能なため、各営業担当者の動きも記録・把握できるようになっている。こうした営業活動に関するすべてのデータが、Xactly Forecastingに集約されるというわけだ。UIもシンプルで操作しやすいものとなっており、誰もがダッシュボード上からインサイトを得ることができる。
動的なパイプラインデータ分析機能は、「量」の観点から営業活動を支援する。福眞氏は、「成約率に基づき必要なパイプラインを表示できるほか、担当者ごとの成約率も個別に把握できるので、それぞれに求められるパイプライン量に落とし込むことも可能。高価なBIツールを用いることなく、新規契約、契約更新、パートナー商談などといったさまざまなカットから、パイプラインデータをセルフサービスで容易に分析できるため、次なるアクションに迅速につなげることができる」と説明する。
また、「量」と「質」を確保するため、パイプライン進捗をトラッキングする機能も強力だ。CRMだけでは過去のデータとの比較が困難なケースも多いが、Xactly Forecastingは過去の状態も保持しているため、どの商談が、なぜ、どのように動いたのか、過去から現在の遷移を可視化できる。進捗が見られない商談の整理や、大型の商談がいつの間にか失注してしまっていたという問題などへの対応も迅速にできるようになる。
さらに、全商談は、企業独自の基準を反映したスコアリングが行われるため、統一された客観的な目線で商談の確度分析を行い、フォーカスすべき商談やリスク商談を把握していくことができる。個別商談の管理については、先を見越して取るべきアクションを、各営業担当へ通知として自動でコーチングしていく。
そして、フォーキャスティングにはAI/機械学習を用いており、組織の全レイヤーの最新フォーキャスティングを一元管理し、AI/機械学習の分析に基づいたより精度の高い「着地予想」を提示していく。福眞氏によると、「CRM上に登録のない飛び込み商談がどれくらい見込めそうかといったデータも、機械学習の予測により反映することが可能」という。ノーコードでダッシュボードをカスタマイズできることも特徴の1つだ。
ここまで説明してきた機能を通じたアウトプットを、既存の表計算ソフトやCRM、BIツールでレポートを作り上げたり、システム連携したりして実現しようとしている企業も多いだろう。しかし、Xactly Forecastingは、このフォーキャスティング/パイプライン管理にフォーカスして開発された専門ソリューションであり、クイックに利用開始できるのが大きな強みだ。またRevOpsを推進する上で必要となるその他のXactly製品ともシームレスに連携できるのも、企業が収益力を上げていくための素地作りに貢献できる。
実際、Xactly Forecastingを導入した企業にセントルイス・ワシントン大学が導入効果を独自調査したところ、Xactly Forecastingを導入後、商談件数が19%増加、セールスサイクルが最大59%短縮、結果的に売上が50%以上アップしたという結果が明らかになっている。またそれが、導入後すぐに効果として現れたということも特筆すべき結果である。
「Xactly Forecastingを用いてフォーキャスティングに取り組めば、個人としても組織としても成長につなげられる。企業としては、これを社員へ還元することで、個人のモチベーションアップにもつながり、業績連動報酬制度の導入もしやすくなる。こういった報酬管理もXactlyの別製品で提供できる。フォーキャスティングを最初の一歩として始めれば、企業は自ずと稼ぐ力を高めるジャーニーを進むことができる。そのための支援をXactlyとして行っていきたい」(福眞氏)
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