現場力を高めるために1対1のOJTをまわす、育成スピードを高めるために指導の接触機会を増やす、……こうした "人材活用の定説" は、リモートワークが当たり前になったいまその効力を落としつつある。旧態依然とした手法を見直すために企業は何に臨むべきか。
本稿リンクにあるeBook「本物の人材活用を実現する9つの極意」は、企業が人材育成の在り方を変えていくうえで、有用な示唆を与えてくれる。同eBookは多数のベストセラー書籍で知られるHRストラテジー代表の松本利明氏と、HRテクノロジーを活用した組織開発コンサルディングを提供するユームテクノロジージャパンの小仁聡氏が執筆したもので、人材活用に関わる9つのテーマを取り上げ、"いまある定説の誤り" と "有効な打ち手"について解説している。簡単にその内容をみていこう。
ユームテクノロジージャパン提供資料
[eBook] 本物の人材活用を実現する9つの極意
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本物の人材活用を実現する9つの極意
eBook「本物の人材活用を実現する9つの極意」では、以下の9つのテーマのもと、"これからの定説" を「極意」と称して解説している。
1. 人材を育てたい
[従来] eラーニングなど、誰でもどこでも学習できる環境を用意する
[極意] テクノロジーを学ぶだけでなく、練習やフィードバックの機会として活用する
2. 自学自習できる環境を整えたい
[従来] 良質のコンテンツを持つプロに任せる
[極意] 現場の仲間の知恵や工夫を資産に変えて広める
3. 現場の育てる力を高めたい
[従来] 1対1で丁寧に育てる
[極意] 現場の仲間の知恵や工夫を資産に変えて広める
4. 育成のスピードを上げたい
[従来] 指導の接触機会を増やす
[極意] 仕事のコツを可視化することで、育成のスピードと確度を上げる
5. 未来のリーダーを育てたい
[従来] MBA的に経営やマーケティング、リーダーシップに詳しくなる
[極意] 数字「で」考え、経営センスを身に着ける
6. パーパス・MVVを浸透させたい
[従来] 明文化し、目につきやすくさせ、繰り返し教え、テストする(暗記する)
[極意] 現場でYes/Noの判断基準に落とし込み、瞬時に判断できるようにする
7. 女性活躍を促進したい
[従来] 社内でロールモデルを探す。女性を昇進させてからフォローする
[極意] ロールモデルや働き方は社外の緩い繋がりを活用する
8. ベテランを最大限活躍させたい
[従来] 学び直し、シニアモチベアップ等、シニア層に寄り添う
[極意] ベテラン層を束ね「古田新太」モデルで自分らしく活躍してもらう
9. 改革を早く確実に進めたい
[従来] 根回しで合意形成を得てアンバサダーを育成し全社展開する
[極意] のったもん勝ちアプローチで進める
個々の詳細は資料を参照されたいが、ここでは冒頭にも挙げた「3. 現場の育てる力を高めたい」の極意についてみていこう。
従来の定説となる「1対1による丁寧なOJT」には、上司・先輩が部下を指導するというセオリーがある。しかし、ここには「縦のOJT/指導:上司・先輩から受講者への指導」という観点で罠が存在する。長年の勤務経験から上司や先輩の持つスキルやノウハウというのは、新人には伝わりづらい属人性を帯びがちであり、結果「指示が曖昧か細かすぎてよくわからない」「そもそも上司や先輩の仕事の仕方が古く時代にあっていないのでは?」といった声が受け手側から挙がってしまうのである。リモート環境ではこうしたマネジメントの難しさに拍車がかかり、多くの組織が、1対1というこれまでの定説に限界を感じている状況だ。
ここで持つべきなのが、「横のOJT:講師からの指導と他の上司・先輩の指導、事例の共有、他の受講者の指導・行動からの学び」という視点だ。「縦のOJT」に「横のOJT」を加えた「クロスOJT」によって、組織は、上司・先輩・部下を同時に鍛えて強くしていくメカニズムを現場のマネジメントの中に組み込むことが可能。小さくても成果を出しながら進めていくことで、「このノウハウを活用したほうが、今までのやり方より良いのかも」という空気が生まれ、自然な流れで組織全体のスキルが向上していく。
* * *
では、実際にクロスOJTを組織に根付かせるためには何をすればよいか。eBookではそのためのポイントについて詳しく解説。また、そのほか8つの極意についても、"いまある定説" と "これからの定説"、それを根付かせるポイントを説明している。人材活用の在り方を見直していくうえでは必見の内容となっているので、人事担当者や人材育成に携わる方にはぜひ手にとってみてほしい。
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