日立システムズは、幅広い規模・業種にわたる業務システムの構築に加え、データセンター、ネットワークやセキュリティの運用・監視センター、コンタクトセンター、全国約300カ所のサービス拠点といった多彩なサービスインフラを活かしたシステム運用・監視・保守を強みとするITサービス企業だ。そんな同社で梁恩慧(リョウ オンケイ)氏は、新たな業務改善手法・プロセスマイニングの普及推進を通じて、企業や組織が抱える業務課題の解決に取り組んでいる。入社後、数多くの新規事業の立ち上げに携わってきた経験・スキルを生かし、プロセスマイニングの普及推進に取り組む彼女のストーリーを紹介しよう。

梁恩慧氏

金融事業グループ金融DX事業部第一本部

プロセスマイニングサービス部第一グループ

主任技師

中国出身。2008年に日本へ留学し、2011年に日立システムズへ入社。入社後、金融事業グループにて主に新規事業の立ち上げ業務を担当する。これまでに、リース事業の中国市場展開、海外ベンダーのコンタクトセンター向けCTIサービスの日本市場展開などで実績をあげる。海外と日本の文化・商習慣の違いを理解したうえで新規事業の立ち上げをスムーズに推進できる実力が評価され、2019年よりドイツCelonis SE社が提供するプロセスマイニングツールの日本市場展開プロジェクトに参加。現在は「プロセスマイニングによる業務DX支援サービス」の拡販業務を担当しており、プロセスマイニングの普及推進に尽力している。

業務改善コンサルタントとして顧客の業務課題の解決に貢献する梁氏の取り組み

「プロセスマイニングを通じて、企業・組織の課題解決に貢献したい」

そう語る梁氏は、デジタルデータを活用した新たな業務改善手法「プロセスマイニング」の普及推進に取り組んでいる。

プロセスマイニング*1とは、現行の情報システムのログをもとに業務プロセスを網羅的にマッピングし業務の課題を発掘、モニタリング、改善するデータドリブンな業務改革手法のことである。シーメンスやBMW、Uberなど名だたるグローバル企業が導入し、成果を上げていることで大きな注目を集めている。

イベントログデータの収集対象となるシステムには、SAPやOracleなどのERPをはじめ、SalesforceやConcur、Aribaといった業務システム、さらには自社開発の業務システムなども含まれる。データが「アクティビティ(どのような業務のどの作業か)」「タイムスタンプ(いつアクティビティが実行されたか)」「ケースID(業務の流れを表し、各アクティビティを紐づける一意のID)」といった要素を保持していれば、業務システムを横断して網羅的、統合的に、手戻りや遅延、重複、ボトルネックなどの改善ポイントを特定することができる。

*1参考文献:Celonis Japan (セロニス)「プロセスマイニングとは?

日立システムズは2019年、プロセスマイニングの分野で大きなグローバルシェアを持つツール「Celonis Execution Management System(以下、Celonis EMS)」を社内導入し、プロセスマイニングによる業務改善プロジェクトに着手した。この取り組みによって得られたノウハウ・ナレッジを顧客の業務改善につなげるため、2020年には「Celonis EMS」のリセラー契約を締結し、新規事業として「プロセスマイニングによる業務DX支援サービス」の提供を開始した。これらのプロジェクトに開始当初から参画しているのが梁氏である。

  • 株式会社日立システムズ 金融事業グループ金融DX事業部第一本部 プロセスマイニングサービス部第一グループ 主任技師 梁恩慧氏

梁氏は中国出身。2008年に日本の大学院に留学し、大学院修了後はIT業界で企画系の仕事に携わりたいと思い、2011年に日立システムズに入社した。入社以来、数多くの新規事業プロジェクトを手掛けてきたが、海外ベンダー製のシステムを日本国内に展開するプロジェクトでは特に大きな貢献を果たした。日本語だけでなく英語にも長けており、IT知識を持ったうえで海外ベンダーと商談や交渉ができる彼女はまさに「Celonis EMS」の日本展開プロジェクトの適任者だった。

梁氏はこのプロジェクトに参画する直前まで約2年間の出産休暇を取得しており、休暇中には「職場復帰後、果たして自分に仕事はあるのだろうか?」と若干の不安を抱いていたという。しかし、それは杞憂に終わった。彼女のような経験とスキルを持つ人財は貴重であり、職場復帰とほぼ同時にプロセスマイニング関連プロジェクトのメンバーに選出された。

日本企業のDX改革に貢献するこのプロジェクトに大きなやりがいを感じた梁氏は、これまで数々の新規事業プロジェクトを手掛けてきた経験をフルに生かして業務に取り組んだ。日立システムズ社内での「Celonis EMS」価値検証プロジェクトへの参加をはじめ、サービスメニューの策定、提案資料作成、デモンストレーションコンテンツの考案、新サービスのPoC(Proof of Concept:概念実証)に参加する企業の開拓、プレスリリースの作成支援など、企画・広報から営業的な業務まで幅広く担当した。

2020年12月に「プロセスマイニングによる業務DX支援サービス」のリリースが一段落すると、梁氏の業務内容はプレセールスへと変わった。これは、サービスの利用を検討している顧客向けに、提案やデモの実施、検証プロジェクトの推進をメインとした業務である プレセールスに必要な知識を得るため、梁氏はドイツCelonis SE社が認定する「インプリメンテーションプロフェッショナル」「ソリューションプロフェッショナル」の資格を取得した。資格試験ではCelonis製品以外の分野についても幅広い知識・理解が求められるため、彼女はプロセスマイニングの基本的知識、プロジェクトの実施方法、ビジネス価値創出の方法論、データエンジニアリングの知識などを貪欲に学び、吸収していった。

  • 株式会社日立システムズ 金融事業グループ金融DX事業部第一本部 プロセスマイニングサービス部第一グループ 主任技師 梁恩慧氏

ここで、梁氏が関わったプロセスマイニングのPoCプロジェクトの事例を一つ紹介しよう。これは、保険会社の保険金支払い業務において、契約者に対して期限内に保険金が支払われない支払遅延案件の特性や原因を分析し、改善策を立案するための検証プロジェクトであった。

梁氏のチームはクライアントから対象システムのデータを受領し、可視化・分析を行ったところ、遅延案件では業務管轄部署が想定している業務フローとは違う順番で処理が行われているケースがあることが判明した。

この結果を受けて梁氏やプロジェクトメンバーは、最も効率的な業務フローの通りに業務処理が進むよう、システムの利用促進強化や、遅延が発生しやすい条件を満たす案件についてはアラートを上げるなどの対策を立案した。対策によってもたらされる効果は、年間で数百万円のコスト削減が期待できるという結果が得られた。

今回のケースのように、プロセスマイニングの分析結果を見ながら、問題箇所の原因を議論したり、また、問題箇所の深堀分析の中で、業務を熟知する現場社員が想定してない“発見”を得られたりなど、ファクトベースで議論を深めることができる。プレセールスとして検証プロジェクトの各種ワークショップに参加し、お客さまのリアクションを直接受け取る機会を数多く経験したことで、梁氏はますますプロセスマイニングの価値を感じ、より多くのお客さまにその価値をお届けしたいという決心がついたという。

そして、プロセスマイニングに携わりはじめて4年目を迎えた現在、梁氏は新たな目標を自分自身に課した。それは、プロセスマイニングをはじめとするさまざまな業務改善手法を駆使して、顧客の業務課題の解決に貢献する業務改善コンサルティングのプロフェッショナルになることだ。

目標について梁氏はこのように語る。「業務プロセスの中に潜むボトルネックを発見し、それをお客さまと二人三脚で解決していく今の仕事に大きなやりがいを感じています。当面はプロセスマイニングの経験やスキルをさらに高めることを目標としていますが、業務改善の手法はプロセスマイニングだけではありません。その他の業務改善アプローチも組み合わせながら、より多くのお客さまの、より複雑な業務課題にも対応できるようになりたいです」。

ゆくゆくは、「日立システムズ社内に事業部や部門の枠を超えた“業務改善コンサルタント”のポジションを確立したい」と語る梁氏は、プライベートでは4歳になる子供の母親としての一面を持つ。家族や同僚のサポートに加えて、在宅勤務制度や育児休暇などの福利厚生制度を積極的に利用することで、現在は週5日フルタイムの勤務を実現している。これからも周囲の協力や理解に支えられながら、仕事と生活の両面に全力で取り組んでいく。

業務改善コンサルタントのプロフェッショナルをめざす梁氏の新しい挑戦は、今、始まったばかりである。

  • 株式会社日立システムズ 金融事業グループ金融DX事業部第一本部 プロセスマイニングサービス部第一グループ 主任技師 梁恩慧氏

梁氏のミッションとは

■プロセスマイニングの普及推進

プロセスマイニングは日本ではまだあまり知られていない業務改善アプローチである。「Celonis EMS」を活用した業務プロセス分析・業務改善サービス「プロセスマイニングによる業務DX支援サービス」の拡販活動と同時に、プロセスマイニングがもたらすメリットを実感してもらうための情報発信や、企業・組織とのワークショップ開催など、さらなる普及推進に向けた活動を積極的に行っていく。

■プロセスマイニングを核にした、組織や部門の枠を越えたシナジーの創出

プロセスマイニングは、あらゆる業種、あらゆる業務に適用できる業務改善アプローチである。日立システムズ社内の公共、社会インフラ、金融、産業・流通など各事業部との連携はもちろん、日立グループ各社との連携により、さらなる顧客課題の解決が期待できる。梁氏は組織や部門の枠を越えたシナジーを生み出すため、積極的な情報提供、情報発信を社内や日立グループ各社に向けて行っていく。

■業務改善コンサルタントとしてのさらなる研さん

プロセスマイニングの経験・スキルをさらに高めていくのと同時に、プロセスマイニング以外の業務改善アプローチも積極的に吸収することで、企業・組織の業務課題を解決するプロフェッショナルとしてさらなる研さんを積んでいく。そして、そのノウハウ・スキルを積極的に社内に還元することで、日立システムズ全体の課題解決力の底上げを図っていく。

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※本内容は2022年3月時点の情報です。本コンテンツに記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

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