企業・組織が業務で使う多様なシステムのクラウド移行を進める中、従来のように単一ベンダーのクラウド利用にとどまらず、適材適所で複数クラウドを使い分けるマルチクラウド環境のニーズが高まっている。その流れにおいて、とりわけデータ分析やアジャイル開発に強みを持つGoogle Cloudへの注目度も増す一方だ。本記事では、Google Cloud専業のシステムインテグレーターとして設立されたG-gen(ジージェン)の立ち上げの経緯や強みについて、代表取締役の羽柴孝氏に話を聞いた。

強力なバックボーンのもとでG-genが誕生

G-genは、Google Cloudの請求代行と、それに紐づくシステムインテグレーション、運用代行を3本の柱とする企業だ。Googleとの直接契約よりも安価なリセールサービスによるコスト最適化、クラウド移行のシステム構築や内製化支援、さらに運用のサポートまで、顧客のニーズに応じた幅広いサービスを提供している。

昨今はクラウド技術の進化を背景に、クラウドサービスを提供する各社が差別化を推進。ユーザー企業側でもニーズに合わせた適材適所のクラウド活用を進めるため、マルチクラウド環境が注目されている。とりわけSaaSやPaaSの領域では、Google Cloudが存在感を示し始めている。AWS専業インテグレーターとして広く知られるサーバーワークスは、この動きに着目し、Google Cloudのプレミアパートナーである韓国のベスピン・グローバルとパートナーシップを締結。2021年8月に合弁会社を設立してGoogle Cloud事業に参入した。その会社こそがG-genである。

サーバーワークスにおけるAWS事業の立ち上げから関わってきた羽柴氏は、G-gen設立に至る経緯をこう語る。

  • 株式会社G‐gen 代表取締役 羽柴孝氏

    株式会社G‐gen 代表取締役 羽柴孝氏

「昨今のマルチクラウド化の流れの中で、今後はデータ分析のニーズがさらに増してくると想定していたのですが、AWSだけでは顧客が実現したいITシステムを実現しきれないという課題感を抱いていました。その点、GoogleにはBigQueryという高度なデータ分析技術やKubernetesのコンテナ技術があり、AWSのIaaSとの親和性も高い。にもかかわらず、サーバーワークスにはGoogle Cloudのノウハウがないことが悩みだったのです」

ちょうどそのタイミングでベスピン・グローバルから声が掛かり、同社から供与される高度なノウハウと、サーバーワークスという強力なバックボーンを有するG-genが誕生した。

コロナ禍中の業務提携からスタート

羽柴氏は、社会に出た当初は食品メーカーで製品の企画営業に従事し、その後サーバーワークスに営業として転職。当時のサーバーワークスはまだ小規模であったため、営業を手掛けながらシステム開発にも携わってきたという異色の経歴を持つ。2007年に同社がAWS事業を立ち上げる際、営業・技術両面の責任者となり、同社のAWS事業を牽引してきた。現在もサーバーワークスの取締役を兼任している。

2021年8月のG-gen設立時は、コロナ禍の真っただ中ということもあり、ベスピン・グローバルとの交渉から業務提携開始まですべてオンラインのみでやり取りを済ませたという。「実を言うとベスピンの方とは、今年4月に初めて直接会います」と笑う羽柴氏。もちろんオンラインという制約がある中での会社設立は初めての経験であり、言語の壁もあったことから、意思疎通には苦労したとのことだが、「当社もベスピンもクラウドネイティブな会社なので、オンラインだけでも成功にうまく導くことができました」と振り返る。

Google Cloudのインフラにまつわるサービスを提供するのが同社の事業だが、インフラは業種業界にかかわらず利用されるものであるため、明確なターゲットは絞らず、多様な顧客に使われることを目指しているという。その前提のうえで「Google Cloudの強みであるBigQueryとコンテナサービスがマッチしやすいエンタープライズ系企業のデータ分析基盤、ゲームやキャンペーンなど高負荷になりやすいサービスを提供する企業、さらにはスタートアップ企業には、とりわけ親和性の高さを感じています」と羽柴氏は話す。

クラウド活用の課題解決にアドバンテージを発揮

クラウドを利用する企業側の課題として、以前はクラウドというインフラ自体への理解不足、それに起因するセキュリティへの不安が多かったものの、現在これらはほぼクリアされた実感を持っていると羽柴氏。一方で、クラウドサービスは技術の進化が極めて速いため、そのスピードに追いついていくのが困難になっていると指摘する。

「クラウドの進化にキャッチアップしていないと、最適なクラウド活用ができず、運用コストにも跳ね返ってしまいます。例えば、クラウドサービスをそれほど必要でないところにまで導入してしまうと、当然高くつくので、サイジングをしっかり検討することが重要になります。さらには、マネージドサービスを活用してクラウド環境を設計していくこと、複数クラウドを適材適所で使っていくことも大切です。ただ、サイジングやニーズに合ったクラウド設計、適切なクラウド選択にはノウハウが必要ですので、最新の情報をきちんと理解し、知見と技術も持ち合わせたパートナーの伴走支援が求められると考えます」

マルチクラウドについては、とりわけエンタープライズ系企業では情報システム基盤にAWSを使っているところが多いが、そのデータを活用する分析基盤にGoogle Cloudを導入することで、まさに適材適所の活用が可能になると羽柴氏はアイデアを示す。対して規模が小さなスタートアップなどであれば、あえてマルチクラウド環境を採用することなく、Google Cloudだけですべて賄うのも効果とコストの両面で有用だという。

このマルチクラウド対応、あるいはGoogle Cloudの徹底活用という点で、G-genが提供できる価値について伺った。

「やはり、アジア地域で最も強力なGoogleパートナーであると考えているベスピンの技術力やノウハウがそのまま供与され、当社自体もGoogle Cloudのプレミアパートナーであることが最大の強みになります。加えて、AWSについて国内有数の技術力を有するサーバーワークスという母体を存分に活かし、Google+AWSの最適なマルチクラウド環境を提供できるところも大きな強みです。伴走支援の部分では、自社にITやクラウドの知識が不足していると悩む顧客にも、ニーズにフィットした形で最適な支援を提供できるのが強みです」

現時点での代表的な支援先事例としては、人材サービス企業のディップや、データ収集に特化した画期的なソリューションを開発しているHogetic Lab(ホゲティックラボ)などが挙げられる。ディップはAWSとGoogle Cloudを併用するマルチクラウド環境を構築し、ニーズに合わせてシステムを両クラウドに分散することを考え、AWSをサーバーワークスが、Google CloudをG-genが伴走しながら取り組みを進めている。同様の案件は他の企業でも動き始めているようだ。一方、Hogetic Labはサービス展開のクラウド基盤としてGoogle Cloudを選んだ。G-genとは単なるユーザー・SIerの関係にとどまらず、今後は両社のノウハウを共有し、協業も目指しているという。

多くのエンジニアが集まり、未来に向け飛躍する

設立から間もない会社とはいえ、いまG-genには有能なエンジニアが続々入社しており、スキルとノウハウのレベルがどんどん高まっているという。エンジニア、とりわけクラウドエンジニアは世界的に不足している現状を顧みれば、新たなタレントが同社に興味を持ち、集まってきているのは驚きともいえる。その理由について、羽柴氏はこう話す。

「すべてのシステムは、結局はデータのやり取りです。だからこそデータ分析への関心が高まっており、そのデータ分析に強いGoogle Cloudへの注目度も高まっていることが、G-genへの期待度に結びついているのだと思います。加えて、当社自体がまだまだスタートアップですので、先進技術を扱うスタートアップ企業で新しいものをゼロから立ち上げていきたいという意欲を持つ人が大勢いることも大きいのではないでしょうか」

同社にはこれに加えて、クラウド専業であることから基本的にフルリモートで稼働しており、地域を問わず全国から応募しやすいという特徴もある。働きたいという思いが地理的な理由で阻害されないうえ、親の介護などの事情で在宅勤務をしたいエンジニアにとっても有力な選択肢となる。結果的に現在のメンバーは全国から集まり、ダイバーシティも実現されているという。

今後について羽柴氏は、次のように語る。 「まず直近の話では、やはりG-genという会社とGoogle Cloudをもっと知ってもらうこと。そのうえで、中期的にはGoogle Cloudの世界でトップベンダーになることを目指しています。Google Cloud専業の会社として、Google Cloudによって顧客のビジネスを根本から変革していくため、より良い環境、最適な環境を提供していきたいと思います」

関連情報

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