今、にわかに注目を集めている新しい通信規格「Wi-Fi 6」。これまでの規格と比較し、どんな違いがあり、企業で導入しようとした場合、どんなメリットがあるのだろうか。無線LAN機器の製造販売を手掛けるフルノシステムが行ったウェブセミナー「DX時代につながる!Wi-Fi 6と無線LANクラウド管理」より、Wi-Fi 6の基本とメリットについて、また、同セミナーで講師を務めたフルノシステムズの中山 裕隆氏にうかがった話をもとに、Wi-Fi 6導入のポイントを紹介したい。
「Wi-Fi 6」5つのポイント
中山氏があげたWi-Fi 6のポイントは主に5つだ。最も大きなポイントは、"実行スループット"と呼ばれる、実際の使用シーンでどれくらいの速度が期待できるのかを表す伝送速度の実測値がWi-Fi 5の4倍に向上している点にある。Wi-Fi 5の最大通信速度は6.93Gbps。対するWi-Fi 6は9.6Gbpsと実数値ではおよそ1.4倍程度だが、チャネル幅は変わっていない。つまり、効率化により通信量が向上し、実際の使用シーンでは、20~30Gbpsクラスの高速通信を提供できるというわけだ。
2つ目は、2.4GHz帯と5GHz帯の2バンドに対応していること。Wi-Fi 5では、5GHz帯にのみ対応だったが、Wi-Fi 6では状況に合わせて2.4GHz帯と5GHz帯を組み合わせた安定的な通信が可能で、2.4GHz帯自体の速度も向上している。
3つ目は、複数端末のアクセスに強いことがあげられる。「MU-MIMO」と呼ばれる複数の端末にデータを送信できる技術が向上し、Wi-Fi 6では最大同時接続数がWi-Fi 5の4ユーザーから8ユーザーに倍増しているほか、"High Efficiency Wireless"と呼ばれる設計により、スピードが落ちにくくなり、多台数接続時にもより安定した端末の稼働を実現する。
4つ目の特長は、消費電力の抑制。効率的なビーコン起動による省エネ設計となったことで、子機側のバッテリー消費が抑えられるようになった。
5つ目は、セキュリティの向上だ。新しいセキュリティ規格である「WPA3」が標準仕様として採用されたことで、安全性がより高まった仕様へとバージョンアップされている。
Wi-Fi 6の普及により、ますます広がりを見せる通信網だが、いまやビジネスの世界におけるWi-Fiの整備は避けては通れない時代となった。とくに昨今では場所を選ばない働き方の普及や、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進など、あらゆるシーンでIT・デジタルが活用されるようになったことで、これを下支えする通信網の整備が、以前にも増して、重きを置くべきこととなっている。
通信網が発達することで、管理性が問われることに
一方、業務に使うパソコンやスマートフォンだけでなく、家電製品をはじめ何から何までインターネットにつながるというのが普通の時代になりつつある。どのような機器でもインターネットに接続するというのが標準で、インフラとしてのWi-Fi環境の整備は私生活においても欠かせないものとなっており、このことはビジネスにおいても同様のことが言える。
たとえば、流通小売業の世界では、コロナ禍を背景にしたECサービスの隆盛やAIの導入が進む。実店舗においても無人化が広がり、Wi-Fi接続されたオーダー端末が客席に備えられた飲食店や、カゴに入れた商品を自動で計算し、決済まで無人で行うという小売店も登場している。
物流業もDX化が進んだ業界だ。ピッキング業務や倉庫管理、配送に至るまで機械による自動化や効率化が行われる"スマートロジスティックス"がすでに実用化されている。
加えて、教育現場や、企業においてもフリーアドレス、ペーパーレスが進んでおり、個々人が端末を手にし、場所や時間に捉われないスタイルが定着しつつある。
そのほか、観光地などにおいても地元情報や災害情報、施設でのSNS投稿などといった新しい取り組みにも、インフラとして無線LANが活用されている。
このような流れが社会全体で進むなか、それを下支えしているのは、Wi-Fiの普及だ。インフラとしてのWi-Fiの整備がここ数年で加速度的に充実した結果、それにつながる端末の数が増え、家庭内とは違い、企業や組織においては管理しなければならない数は桁違いに増加している。こうした背景を踏まえ中山氏は、「相応にアクセスポイントの数も増え、当然ながら、管理漏れや、設定変更時の作業漏れ、死活監視が手に負えなくなり、管理システムの導入を検討する企業が増えている」とセミナーのなかで説明した。
Wi-Fi 6に対応したフルノシステムズのサービス・製品ラインアップ
こうしたなか、フルノシステムズが昨年11月から提供を開始したのが「UNIFASクラウド」だ。UNIFASクラウドは、同社のネットワーク機器「ACERA(アセラ)」シリーズのユーザー向けに提供していた無線ネットワーク管理システム「UNIFAS」をクラウド環境で提供するSaaS型のサービスだ。サーバー構築が不要で、アクセスポイント1台から利用できるライセンス体系を採用し、いままで採用が難しかった中小規模の用途にも導入しやすいのが特徴。UNIFASの基本機能を網羅し、遠隔管理もVPNが不要で、複数拠点の一元管理もシンプルに行うことができる。
Wi-Fi 6で対応する周波数帯が増えることにともない、当然ながら規格に沿ったアクセスポイントも必要となる。フルノシステムではWi-Fi 6対応製品として「ACERA1320」を展開している。
Wi-Fi伝送速度2976Mbos(理論値)の高速通信を実現しているほか、有線LANの通信速度は2.5Gbpsのマルチギガビット・イーサネット(IEE802.3bz)に対応。アンテナを内蔵した設計で、設置環境との調和を考慮したデザインも特徴となっている。
Wi-Fi 6の導入をITインフラ見直しの契機に
講演後に中山氏が改めて強調したWi-Fi 6のポイントは、一般的に企業などで使われる5GHz帯と、2.4Ghz帯を高品質に併用できる点。併用しやすい業態としては、PC向けの5GHz帯と、スマホやエッジデバイスなど含むハンディ向けの2.4GHz帯とが混在するシーンだ。具体的には、物流倉庫や飲食店などの店舗、IoTデバイスなどが組み込まれた工場などがあげられる。周波数帯を切り分けて使うことで、双方の環境においてより高品質な通信を提供することができることが最大のメリットだという。
Wi-Fi 6を活用するには、通信規格にきちんと適応した機器を使うことも不可欠だ。中山氏は、「ネットワークにつながる端末の数は自ずと増えていく、あるいは通信量が増えていくものなので、それらを前提に、通信をしっかりと管理する術が必然的に求められる。ネットワークだけでなく、ITインフラそのものも大量に流れてくるデータを捌くという点で、きちんとした整備が必要になることも忘れずに」と助言した。
中山氏によるセミナー、コメントにもあるように、通信規格としてのWi-Fi 6を導入するだけでは、Wi-Fi 6のメリットを享受するどころか、管理上のリスクも発生しかねない。これらを踏まえ、Wi-Fi 6を導入する際は、自社のITインフラそのものを見つめ直すところから取り組み、メリットをしっかりと享受できる、安全で快適な通信環境を実現してほしい。
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