不確実性が高まり、レジリエンスが当たり前に求められるようになるニューノーマルな社会では、リアルとオンラインとのハイブリットワークが定着していくものと見られている。2月24日〜25日に開催されたオンラインセミナー「ビジネス・フォーラム事務局 × TECH+ EXPO 2022 for LEADERS DX Frontline ——変革の第一歩を」で、NTTデータ コンサルティング&ソリューション事業本部 デジタルビジネスソリューション事業部 統括部長 遠藤由則氏は、利便性とセキュリティが両立したハイブリットワークを支えるデジタルワークスペースの仕組みと企業実例を紹介した。

  • NTTデータ コンサルティング&ソリューション事業本部 デジタルビジネスソリューション事業部 統括部長 遠藤由則氏

テレワークの普及で明らかになってきた3つの課題とその解決策

世界中で気象災害が相次ぐ。この原因となっている気温上昇による気候変動は、人間活動による二酸化炭素放出の影響が大きいといわれており、対応に向けてカーボンニュートラルの取り組みが世界的に広がっている。NTTデータとしても、国内外のさまざまなイニシアティブなどに積極的に参画するほか、顧客や社会に対してデジタルの活用や共通化を進めることで、グリーンイノベーションの実現を目指している。自社としても、グリーン化を見据えた次世代テレワークの推進や、エンプロイー・エクスペリエンス(EX)向上を目指したリアルとオンラインとのベストミックスによる働き方改革を進めているところだ。

変化の激しい環境においては、レジリエンスの重要性がより一層高まり、事業継続だけでなく事業創造も踏まえた独創性ある経営理念が求められる。特に、働き方にレジリエンスを取り入れることが、優先度の高い経営課題となる。コロナ禍によって急速にテレワークが普及した一方で、対面でのコミュニケーションの価値も見直されている。さらに、自宅やサテライトオフィス、出張先も含めさまざまな場所でさまざまな人がチームを組んで仕事をするのが当たり前になるなか、今後はリアルとオンラインとのハイブリットワークが一般的になっていくと考えられる。

しかし、この約2年間のテレワーク推進の流れから、新しい働き方における具体的な課題も明らかになってきた。大きく分けると、「セキュリティの確保」、「コミュニケーションの不足」、「設備・制度」の3つに集約できる。特にセキュリティに関して言えば、情報処理推進機構(IPA)が公表している「情報セキュリティ10大脅威 2021」の第3位に「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」がランクインしている。リモートデスクトップへの攻撃やVPNの脆弱性を狙う攻撃が増加する一方で、対策が十分でない企業も多い。

これらの課題をどのように解決していくべきだろうか。アフターコロナの世界では、リアルとデジタルの主従が逆転し、デジタルを前提とした働き方が一般的になる。遠藤氏は、そこに対してリアルの考え方をどう挟み込んでいくかという視点を持つことが必要であるとする。

「企業の業種・業態、特性によって異なるが、新しいワークスペース、ニューノーマルでの働き方として、セキュアかつ集中できるテレワーク環境、オフィス環境のさらなるデジタル化を進める必要がある一方で、それにより分散した働く環境間/異空間同士でのコラボレーションの見直しなどリアルとの融合を進めていくことが求められる」(遠藤氏)

EXを高めることによる従業員エンゲージメントの構築も重要なポイントの1つとなる。テレワークが常態化し、社内の一体感が失われるなかでは、「個」の力を引き上げ、1人1人の従業員のやる気や帰属意識を最大化させるための視点が求められる。そしてこうした視点は、採用や人材の定着、ひいては会社の存続や業績向上に直結する。遠藤氏は「セキュリティを担保しながらも、従業員の利便性は損なわないようEXを意識しながら社内環境をどう構築するかという視点も、ニューノーマルを考えていくなかでは必要」と説明する。

ニューノーマルに対応した理想の「デジタルワークスペース」とは

NTTデータは、利便性とセキュリティという相反するものを両立させながらこうした課題を解決し、人を中心とした働く場所やITツール、社内インフラを実現できる「デジタルワークスペース」という考え方を提唱している。デジタルワークスペースは、PCやスマートフォン、タブレットなど多様なデバイスによる時間・場所を問わない仕事を前提としている。ここで重要となるのが、ゼロトラストネットワークの考え方だ。

働く場所が分散しクラウドの利用が進むなかでは、従来型の境界防御は通用しなくなりつつある。そこで、すべてのトランザクションをその都度管理・監視・認可するゼロトラストネットワークが昨今注目を集めている。

ゼロトラストネットワークは、さまざまなセキュリティ要素を持つクラウドサービスを複数組み合わせて構築することが必要となる。NTTデータとしては、SaaS利用の監視・分析、ID基盤整備、デバイス管理に取り組み、境界防御とのハイブリットという形から始めることを推奨している。

「STEP1としてまず、CASB、IDaaS、UEMを活用しクラウドシフトへの対応に取り組み、境界防御+ゼロトラストをスタート。STEP2で、DMaaS、SDP、EDRの導入を進めて、価値を生み出す企業データの保護を目指す。そして、STEP3でUEBA導入、社内ネットワーク撤廃によりゼロトラストをフル導入するという進め方がある。ただし、あくまでお客様の環境を踏まえてカスタマイズしていくことが必要であるため、必ずしもこの順番である必要はない。お客様にとって最適なゴールが必ずしもSTEP3であるとも限らないし、STEPの順番が前後することもある」(遠藤氏)

遠藤氏はSTEP1とSTEP2を組み合わせた例として、大規模公共分野の導入事例を紹介する。クラウドのアクセスコントロール、IDaaSによるID管理、SSO認証などにより利便性を向上させつつも、散在するデータのバックアップ、AIを活用したログ分析、EDRでの未知のマルウェア検知など、セキュリティ強化を実現。さまざまなサービスを上手く組み合わせることで、ゼロトラスト環境を構築している。

「BizXaaS Office」で利便性とセキュリティを両立したデジタルワークスペースを

デジタルワークスペースの実現には、仮想デスクトップ環境も欠かせない。NTTデータは、仮想デスクトップ+ゼロトラストネットワークで利便性とセキュリティを両立させるデジタルワークスペースのソリューションとして「BizXaaS Office(BXO)」を提案している。

BXOは、仮想デスクトップを中心とする「BVDI」、ゼロトラストネットワークを実現する「BMWS」、プロダクト選定前のコンサルティングやグランドデザイン、セキュリティポリシーの策定、運用支援などを行う「BPCS」で構成される。

  • BXOのサービスラインナップ

BVDIでは、複数のサーバータイプと接続・展開方式を提供しており、組織の状況や規模などに合わせてオンプレミス型、クラウド型、ハイブリッド型をはじめとするあらゆる組み合わせが可能となっている。

BMWSは、複数のセキュリティ製品で構成されており、ゼロトラストネットワークの概念を取り入れた最適な組み合わせで提供される。

BPCSは、BVDIやBNWSの導入・運用を統合的にサポートするもので、具体的なプロダクトを熟知した技術者が提案を行う。

「コロナ禍で大変な状況が続くが、企業が事業継続を念頭に試行錯誤することで、従業員がいきいきと働け、生産性を高められる自社の最適な働く環境を考えるよいきっかけとなった。ぜひこれを機に、デジタルワークスペースという考え方や、デジタルとリアルのベストミックスを検討していただきたい」(遠藤氏)

▼「BizXaaS Office」の詳細はこちら▼

https://www.bizxaas.com/application/office/

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