CPU、GPU、FPGA、アクセラレーターを含む多様なアーキテクチャーでの開発に対応した開発ツールスイートの最新版「インテル oneAPI ツールキット 2022」の国内提供が開始された。インテル oneAPI ツールキット 2022は、業界標準仕様「oneAPI」に対応した開発ツールだ。インテルプロセッサー向けの最適化に加え、統一されたプログラミングモデルにより、インテルが提供するGPUやFPGAなど異なるハードウェアを並行利用できるようにする。これにより、インテルのプラットフォームを利用するソフトウェア開発のパフォーマンスを最大限に引き出し、開発者の負担を軽減する。
oneAPIをサポートした開発ツールキットの最新版が登場
oneAPIをサポートした開発ツールが求められる背景には、昨今のワークロードやソフトウェア開発がますます複雑になっているという事情がある。テクノロジーの進化とビジネス環境の変化に対応するように、CPU、GPU、FPGA、各種アクセラレーターなどのアーキテクチャーごとに個別のプログラミングモデルとツールチェーンが必要になってきた。また、開発にあたってはそれぞれの環境ごとに知見やノウハウ、人材が求められるようになってきた。
そうしたなか、利用するソフトウェアに関係なく利用でき、ハードウェアの価値を最大限に引き出すために業界イニシアティブをもとに開発されたのがoneAPIだ。
oneAPIは、C++およびSYCL標準ベースのクロスアーキテクチャー言語データ並列 C++ (DPC++) を定義している。C++、Python、SYCL、OpenMP、Fortran、MPIなどを含む既存の言語やプログラミングモデルと互換性があり、複数のアーキテクチャーとベンダーでコードの再利用が可能だ。また、ドメイン固有の関数を高速化できるよう設計された強力なライブラリーが提供される。
インテル oneAPI ツールキット 2022は、このoneAPIをサポートしたうえで、コンパイラー、ライブラリー、移植/解析/デバッグツールを統合した完全なセットとして提供される製品となる。
ベース・ツールキットに加え、3つの専門ツールが提供
インテル oneAPI ツールキット 2022は、基本機能を中心に提供する「インテル oneAPI ベース・ツールキット」と、ベース・ツールキットにHPCやIoT、レンダリングなど用途ごとのニーズを満たす専門ツールを加えた計4つのツールキットがある。
ベース・ツールキットは、データ並列 C++ (DPC++) アプリケーション、oneAPIライブラリー・ベースのアプリケーションを構築するための基本セット。DPC++は、使い慣れたC/C++構造と高い生産性と、The Khronos GroupのSYCLを継承し、データ並列処理とヘテロジニアス・プログラミングを実現するプログラミング言語だ。ホストコードとヘテロジニアス・アクセラレーター向けのカーネルを混在して同一ソースファイルに記述でき、ホストコードの実行時にカーネルの処理を実行できる。DPC++は、コミュニティーのプロジェクトを通じて、データ並列プログラミングを簡素化する拡張機能も提供される。
このベース・ツールキットに拡張機能をアドオンするかたちで、3つの専門ツールが提供される。HPC向けの「インテル oneAPI ベース & HPC ツールキット」、IoT向けの「インテル oneAPI ベース & IoT ツールキット」、レンダリング向けの「インテル oneAPI ベース & レンダリング・ツールキット」だ。
インテル oneAPI ベース & HPC ツールキットには、HPC用途で活用できるC/C++およびFortranコンパイラーと、各種ライブラリーが追加される。また、インテル oneAPI ベース & IoT ツールキットでは、カスタムLinuxカーネルを開発し、センサーとデバイスを素早く接続するための IoT開発ツールが含まれる。インテル oneAPI ベース & レンダリング・ツールキットには、高忠実度のビジュアライゼーション・アプリケーション開発を実現するレンダリング・ツールが提供される。
SYCL 2020機能を統合、ホットスポット視覚化機能などが追加
インテル oneAPI ツールキット 2022の新機能と機能強化ポイントは900以上に及ぶ。 まず、コンパイラーである「インテル oneAPI DPC++/C++ コンパイラー」にプログラミングの生産性を高める「SYCL 2020」機能が追加。また、Python実行環境「インテル ディストリビューションの Python」ではデータ並列 PythonテクノロジーによりインテルのGPUをPythonから活用できるようになった。
解析ツールについては「インテル VTune プロファイラー」にホットスポットを視覚化するフレームグラフ機能が追加。これにより、アプリケーションの時系列の動作をさらに把握しやすくなった。また設計支援ツール「インテル Advisor」では、オフロードのモデル化が拡張され、アプリケーションの実行をCPUからGPU、あるいはGPUからほかの世代のGPUへ移行させたときのパフォーマンスをコードの変更前から詳細にシミュレートできるようになった。
また、ライブラリーについては、乱数ジェネレーター(RNG)の多項分布、ポアソンV分布、超幾何分布、負の2項分布、2項分布において、DPC++とOpenMPオフロードAPI によるGPUサポートが追加された。
HPC向け機能では、LLVMベースの新しい「インテル Fortran コンパイラー」が搭載された。Fortran 2003/Fortran 2008の汎用的な機能と、インテルのGPUへのオフロードのための OpenMP 5.x 機能がサポートされる。また、「インテル MPI ライブラリー」ではAmazon Web Servicesに加えてGoogle Cloud Platform向けのパフォーマンス最適化が行われた。
レンダリング向け機能では、オープンソースのレンダリング・ライブラリーが拡充され、各コンポーネントでより新しいレイトレーシング・テクノロジーやハードウェアのサポートが追加された。
エクセルソフトが充実したサポートサービスを提供
このほか、第12世代Core(Alder Lake)を含む最新のハードウェアや、次世代Xeon(Sapphire Rapids)向けのプレリリース・ソフトウェア開発への対応、Windows 11、WSL 2 (Windows Subsystem for Linux 2)、 Microsoft Visual Studio 2022 などの新しい開発環境のサポートなども行われている。
インテル oneAPI ツールキットは正式リリースから1年ということもあり、既存ツールからの移行や最新バージョンへのアップグレードで課題を抱えるケースも想定される。そこで、インテル oneAPI ツールキットを国内展開するエクセルソフトでは、充実したサポートサービスを提供している。サポートサービスを利用すると、技術サポート、最新および過去バージョンのソフトウェアのダウンロード、追加の日本語コンテンツへのアクセスなどが提供される。
追加の日本語コンテンツとしては、インテルが提供する製品や関連ツールの日本語訳を閲覧できる「製品ドキュメント」、インテルによるウェビナーを日本語化した「技術ウェビナー」、エクセルソフトが2021年以降開催したセミナーのコンテンツを紹介する「セミナーコンテンツ」、同様にイベントのコンテンツを紹介する「イベントコンテンツ」など。このほか、個別トレーニングの実施や導入支援、機能要求レポートの提供、不具合報告なども対応する。
なお、過去に購入し旧バージョンの「インテル Parallel Studio XE」や「インテル System Studio」のサポートサービスが有効な場合、残りのサポートサービス期間を維持したまま、対応するインテル oneAPI ツールキット製品のライセンスへの無償アップグレードも可能だ。
企業のデジタルトランスフォーメーションの取り組みが活発化するなか、HPCやIoT、レンダリングなどに関する開発の重要性も高まってきている。生産性と開発効率の向上のために、CPU、GPU、FPGA、各種アクセラレーターに対応したインテル oneAPI ツールキット 2022は力強い味方になるはずだ。
お問い合わせ先
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Email: intel@xlsoft.com
お問い合わせフォーム: https://www.xlsoft.com/jp/services/xlsoft_form.html?option2=Intel
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