文系出身者でも無理なく学べる、AIのトレーニングプログラムとは

IT人材の不足が叫ばれていることは知っていても、自分には無関係だと考えている文系の学生は多いのではないだろうか。IT人材は現状約17万人不足しており、今後さらに拡大すると予測されている。そこには、データやデジタル技術を活用して人々の生活をよりよいものに変革していこうという動きの広がりと、それを実現するAI(人工知能)が注目を集めている背景があり、AIを扱うことのできる人材の需要が急速に高まっている。

AIの知識はもはやコンピュータやソフトウェアのエンジニアを目指す人だけが身につけるべきものではなく、文系理系にかかわらず、すべての職種において必要だ。しかし、文系の学生がAIについて学ぶ機会はほとんどなく、「AI=難しい」「AI=理系」というイメージは根強い。本記事では、AIは文系だからと言って理解できない領域ではなく、むしろ文系だからこそ気づける点やおもしろいと感じる側面があること、そして文系出身でもスキルを身につけて活躍している人がいるということを紹介したい。

「超」文系学生がIT業界を目指した背景とは?

高校生の頃から文系で、大学進学後も歴史の研究に没頭していた西村まりな氏は、理系の牙城とも思われているIT業界への就職を決めた。2021年に新卒で日本マイクロソフト株式会社に入社し、AI(人工知能)やデータに関連するトレーニングを受けて認定資格まで取得したという。なぜ文系学生がIT業界に興味を持ったのか。西村氏へのインタビューを通してその理由を解き明かしながら、文系学生がこれから持つべき興味や知識に関するヒントを探っていきたい。

西村まりな氏

2021年 日本マイクロソフト入社

大学や教育委員会などの大規模な学術・教育機関を対象に、よりよい学びの実現や教職員の働き方改革に向けて提案を行う営業チームに所属。

──西村さんは学生時代にどんな勉強をしていましたか?

私は高校生の頃から大学院修士課程までずっと人文社会系で、特に日本の「戦後」の歴史について研究をしていました。出身が広島で、平和教育を受けて育ってきたこともあり、小学生の頃から自然と戦争や、戦後の歴史に興味を持ち始めました。将来は学術研究の道に進みたいなと考えていたんです。高校時代の得意科目は日本史と英語で、数学はとても苦手でした(笑)。

──それがどういうきっかけでIT業界に進むことになったんですか?

特に人文社会系の学術研究の世界って、研究者の方々はすごく「アナログ」な方法で研究をしているんですよ。全国各地の図書館、公文書館、時には個人をあたって文献を探したり、古文書を読み込んだり、分類したり。もちろんそれは研究には不可欠の作業なのですが、より効率的に研究を行う方法は無いのかな?とか、語弊があるかもしれませんが、もっと研究者が「ラク」になる方法は無いのかな、と感じるようになったんです。どうしたらそれを実現できるのか考えた時に、ITの力を使うしかないと思うようになったのが背景ですね。そのため、就職活動ではIT業界ばかり受けました。本来やりたいことは歴史の研究なんですけど、取り組むための道具をもっと良くしたいというのがIT業界を志望した理由です。

──そんな西村さんがプログラミングなどの一般的なITではなくAIの勉強にチャレンジしたのはどうしてですか?

AIは今、社会の中でごく当たり前に使われていますよね。YouTubeの動画を見ていて次にこれはどう?ってサジェストしてくれるのもAIですし。でも、なんとなく使うのではなく、それがどういう仕組みで動いているのかについて理解したいなと思ったんです。AIって、人文社会系研究者の道具としても使えるはずだと思っていましたから。

──人文社会系の研究のどういった場面にAIが使われると思いますか?

たとえばひとつひとつの学術論文の重要さは研究者がしっかり読み込めば理解できると思うんですけど、時間が掛かりますよね。その重要度をはかるひとつの指標として、他の論文への被引用数がわかればとても参考になりますし、文献を探す際に関連する文献や研究者のネットワークなど個別最適化された情報が提供されれば、研究がはかどるのではないかと思います。

──西村さんが理解・把握している「AI」とはどういうものだと思いますか?

ちょっとお腹が痛くなる質問ですけど頑張ります(笑)。人間の知能を模倣する技術というのが、AIの定義だと思っています。機械学習のおもしろいところは、人間がプログラミングして「この場合はこう」と動き方を教えなくても、膨大なデータを使ってその中から特徴を抽出したり何かを判定したりすることができるところです。AIは人間の知能を模倣すると言いましたが、実際には人間の能力をはるかに超えた情報量を処理できるところが強みだと思います。

文系出身者でも無理なく学べる?マイクロソフトのトレーニングプログラムとは

──今回はマイクロソフトが提供している教育プログラム、学生向けMicrosoft Learnを使って勉強したということですが、受けてみていかがでしたか?

これまで、日常生活の中で、なんとなく「これはAIでやっているのかな?」と思っていたことが、「具体的にこういう技術で作られているのか!」と明瞭に整理されていく感覚がありました。プログラムの中では、たとえば機械翻訳はこうやって言語を検出するなど、AIが、身近な利用例に結び付けられて説明され、イメージがわきやすかったです。また、要所で「演習」として簡単なデモが用意されていて、実際に手を動かしながらコースを進めることができるので、資格を取るために勉強しているという感覚はなく、AIについて勉強する過程そのものが面白いと感じました。全体を通して、これまでぼんやりとしていたAIのイメージが具体化され、かつ体系立てられて整理されていったので、最後まで楽しくコースを完了することができました。

>西村氏が受講したプログラムはこちら

  • トレーニングに取り組む西村氏

    トレーニングに取り組む西村氏

──逆にこれは分かりづらかった、苦労したという部分はありましたか?

苦労したのはやはり普段使わないような用語が出てくることですね。最初は、機械学習に関する一般的な用語も、それを実現するためのサービスの固有名詞も知らなかったので慣れませんでした。しかし、先述のとおり、「演習」で手を動かすことで具体的な操作とともに学習内容が身についてゆき、また、不明点はその都度コース内容をさかのぼって復習できたので、挫折することはありませんでした。

──勉強を始めてから資格を取得するまでにどれくらいかかりましたか?

私が受けたAI の基礎を学ぶ「Azure AI の基礎」というコースは9時間で完了するラーニングコースで、それを1日で完了してからマイクロソフトのAIの基礎的な資格である、「AI-900(*)」という認定資格試験に挑戦しました。初学者向けの内容でコーディングなどもなく、とてもコンパクトにまとまっていてとっつきやすかったです。コースでは、セクションごとに小テストが用意されているので、AI-900の試験直前にも小テストの設問・回答を一通り見直して、知識のおさらいに活用しました。

(*)AI-900 機械学習 と人工知能 (AI) の概念や関連する Microsoft クラウド サービスの基礎知識を有することが証明できる資格。

──AIのトレーニングを受けて新たな発見はありましたか?

技術的な部分だけではなく、AIはどのように使われるべきかといった倫理に関わるような内容も含まれていて、良い意味で驚きました。人間の生活に密接に関わる技術だからこそ、その技術を担う責任を理解しておくことは必須だと考えます。AIが人間の暮らしを豊かに便利するテクノロジーであるためには、AIの担い手がアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)やダイバーシティ(多様性)について常に考えることが重要だと思っています。そういう意味で、特に「責任あるAIの原則」は個人的に関心が高かったので、勉強できてよかったと思います。

──AIを学んでみたいという文系の学生に対して、西村さんはどういうアドバイスをしますか?

私がそうだったように、AIやITに専門的に触れてこなかった人のなかには、それらに対して苦手意識を持つ人も多いような気がします。それって、自分の課題意識とテクノロジーとの間につながりが見えていないからなのではないかと思うんです。普段使っているアプリケーションやツールの中には実はAIが使われていて、無駄な手間を省いてくれたり、ヒントをくれたりするということを知れば、自分が本当に実現したいことのためにどのように技術を使うことができるかを考えられるようになるはずです。そのための第一歩として、AI-900の勉強はよい入口になるかなと思います。もし私が就活前にこの勉強をしていたら、就きたい職業や目的に対するアプローチの仕方や具体的なテクノロジーの使い方などがもっと明確になっていたと思います。

文系、理系を問わずAIの素養は将来の可能性を広げる

AIを学ぶためにはコンピュータへの深い理解が必要という固定観念が、これまでITに触れてこなかった人たちにとって高いハードルだったかもしれない。しかし、AIへのアプローチとして必要なのは、問題の本質を捉え、常識や既成概念にとらわれず新しい考え方を試してみること。そして失敗したら別の角度から考え直してみることだ。求められているのは、文系・理系、性別に関係なく、大胆な発想で課題を解決する人材なのだ。西村氏のように、まずは学んでみることで視野が広がり、自分が本当に実現したいことへの近道が見えてくるかもしれない。

また、ITに触れる機会をなかなか持てないという社会課題があることも事実だ。そうした課題に向き合い、STEM教育に特化した教育プログラムを提供するなど、理系学生に限らず幅広い人材開発のために力を注いでいるのがマイクロソフトだ。今回、西村氏が挑戦したのは、そのマイクロソフトが提供する学生向けMicrosoft Learnで、認定試験を取得するとLinkedIn などにスキルを掲示して採用担当者などにアピールすることもでき、キャリアを広げる助けになるだろう。大学発行のメールアドレスで登録すれば学生割引で資格が受けられるので、文系だからとITやAIを敬遠するのではなく、その中身を知る最初の一歩を踏み出すことをお勧めしたい。

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