企業の社会的責任としてガバナンスの強化やコンプライアンスの徹底が求められるようになり、契約書管理を適切な形で行うことの重要性は、これまで以上に高まっています。そうしたなかで鈴与株式会社が提供する「契約管理アウトソーシング」は、契約書の作成から締結後の契約書の管理・保管までをワンストップでサポートすることで、多くの企業における契約書管理の課題を解決してきました。
育児用品の老舗企業、ピジョン株式会社では、拠点、部署で各々契約書を管理していましたが「契約管理アウトソーシング」を導入することで、契約書の一元管理を実現しました。今回はソリューション導入の経緯や導入後の効果について、同社 経営戦略本部 法務部 法務グループ マネージャー 池田 望氏にお話を伺いました。
契約書管理のルールも保管場所もバラバラな状態から、契約書原本とデータの一元管理を実現
——まずはピジョンの事業内容についてお聞かせください。
当社グループでは、育児や介護に関する商品・サービスを提供しています。その中でも、当社の主力事業は哺乳器や乳首をはじめとした育児用品の製造と販売です。国内のみならず中国・欧州・東南アジアなどグローバルに展開し、特に近年では中国がその売上を牽引しています。 長年にわたり培われた基礎研究・ノウハウを活かして、赤ちゃん・ご両親の双方に寄り添いながら育児に関する困りごとを洗い出し、解決すべく製品を開発しています。
——法務部の主な業務内容について教えてください。
当社の法務部は、知財グループと法務グループに分かれており、私がマネージャーを務める法務グループでは、法律相談、契約審査、コンプライアンス教育、株主総会の準備・運営、SR、ガバナンス委員会事務局など、ビジネスリーガル・コーポレートリーガル業務のいずれも担当しています。また、法務グループは2年ほど前に総務部門から独立する形で立ち上がった部署ということもあり、社内規定および印章の管理といった業務も担っています。
——契約書管理についてお伺いします。鈴与の「契約管理アウトソーシング」導入前にはどのような課題がありましたか。
以前は拠点や部署がそれぞれ独自のルールで契約書管理を行っていました。そのため管理のレベル感はさまざまで、台帳をきちんと作成している部署もあれば、原本がどこに保管されているのか把握が不十分な部署もありました。そうした状況のなか、法務グループでは各拠点・部署がどのように管理しているのか、どういった取引先とどのような契約を締結しているのか、契約管理・契約状況の全体像を捉えられないという課題を抱えていました。
——「契約管理アウトソーシング」導入のきっかけを教えてください。
契約審査から稟議・起案、締結、契約書管理まで、契約書業務に関する一連の情報をすべて一元管理できるようにしたいと考えていました。一方で、稟議・起案のフローはすでに別のシステムが導入されていたため、それを活かせる仕組みも必要でした。どうしようかと悩んでいたところ、たまたま鈴与さんから届いたハガキで「契約管理アウトソーシング」というサービスがあることを知りました。ほかにも何社か問い合わせていたのですが、契約書の原本保管から契約書データの一元管理、期限管理までワンストップでおまかせできるところが決め手となり導入に至りました。また、鈴与さんとはもともと物流業務でのお付き合いがあったので信頼感もありましたね。
——導入はどのように進められましたか。
まずは、各拠点・部署における契約書の分量や管理方法などの現状把握から始め、システムの要件定義や最終ゴールの設定、導入に伴う各拠点・部署の作業スケジュールの調整といった流れで進めました。そして、システム設計とデータベースの構築が進んだタイミングで、鈴与の担当の方にも同席してもらいながら社内説明会を開催しました。
導入にあたっては、各拠点・部署との細やかな調整が多く発生しました。たとえば契約書の閲覧権限を部署ごとに設定する際は、各部署と調整しながら会社全体として最適なかたちになるよう進めていくのが大変でしたね。そうしたなかで、鈴与さんには他社事例を紹介してもらったり、アドバイスをもらったりと多くの場面で助けられながら、検討から約3年の期間を経て2021年1月に本格稼働に至りました。
従業員のコンプライアンス意識の向上や業務効率化──「契約管理アウトソーシング」がもたらした多くのメリット
——「契約管理アウトソーシング」の稼働後、契約管理はどのように変わりましたか。
契約書情報をすべてシステム上で確認できるようになったことで、法務グループとしては契約管理の全体像を把握できるようになりました。また、導入前は他部署の契約書情報を把握する術がなかったため「今、〇〇社と契約していますか?」といった問い合わせが法務グループに入ることが多かったのですが、現在では同じ本部内では契約書が検索・閲覧できるようになって問い合わせ対応が減ったことによって、法務グループの業務効率化にもつながり、契約審査もスムーズになりました。
各部署においても問い合わせの手間や、契約書原本を管理する手間が減ったことにメリットを感じてもらえていると思います。また、これまであやふやになっていた契約締結後の業務フローや契約書管理のルールが明確になったことで、迷わず正しいやり方で契約書管理業務を進めていけるようになったという側面もあります。
今回の導入をきっかけに、契約書の意義の理解や期限管理の徹底など、従業員のコンプライアンス意識も高まっているように感じます。たとえば、契約期限が迫ると担当者に通知されるのですが、これまで期限管理を意識できていなかった人でも通知がきたら法務グループへ問い合わせるという流れができたため、期限切れを防げるようになりました。
——導入後の鈴与のサポートはいかがでしたか。
組織変更や追加機能の相談にも迅速に対応していただいています。やはり実際に運用してみて気づく点も多く、そのたびに参考事例を紹介してもらうなど、細やかなサポートにいつも助けられています。すぐに相談できる相手がいるという安心感もありますね。
コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化のカギは、システム活用のレベルの向上
——新たなソリューション導入など、今後の展開をお聞かせください。
昨今の働き方の変化に対応するため、電子契約システムの導入および「契約管理アウトソーシング」との連携を今まさに進めているところです。また「契約管理アウトソーシング」を当社グループ会社に展開することで、将来的にはグループ全体で契約書を一元管理していきたいですね。
——最後に、同じ課題を抱える企業に向けてメッセージをお願いします。
コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化は、事業推進の根幹となるものです。事業部門にとっては負荷になる側面もあるかもしれませんが、事業をスムーズかつ正しく進めていくためには、きちんと仕組みやルールを整備していく必要があります。そして、仕組みやルールを整備するだけではなく、しっかり機能・運用させる必要がありますし、さらにはその仕組みやルールのレベルを常に上げていくということも重要だと思います。
今回のお話ですと、適切に契約書管理を行うには管理システムを導入するだけでなく、運用ルールを周知徹底し、さらにはグループ会社への展開や、電子契約システムとの連携などシステム活用のレベルを上げていくことになるでしょうか。
このように、コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化のためには、その仕組みやルールを整備させて終わりではなく、しっかり機能させるためにルールの周知徹底など何度も同じことを言い続けて従業員に理解してもらう、そしてその仕組みやルールを常に向上させていくことが大切だと考えています。大変なことではありますが、事業を支えるために必要なことであるという意識を持ち、共に頑張っていきましょう。
■ピジョン株式会社
https://www.pigeon.co.jp/
本社所在地:東京都中央区日本橋久松町4番4号
設立:1957年(昭和32年)8月
資本金:51億9,959万円
事業内容:
育児・マタニティ・女性ケア・ホームヘルスケア・介護用品等の製造、販売および輸出入、ならびに保育事業
■鈴与株式会社
https://www.suzuyo.co.jp/
本社所在地:静岡県静岡市清水区入船町11-1
創立:1936年(昭和11年)
資本金:10億円
事業内容:
港湾運送事業、海上運送事業、内航海運事業、自動車運送事業、自動車運送取扱業、自動車回送事業、通関業、保税上屋業、海運貨物取扱業、航空運送代理店業、船舶代理業、物件の賃貸業(リース)、防除業、埠頭業、倉庫業、情報処理事業、不動産の媒介代理業、廃棄機密文書の回収および機密消滅業務、製造業(医療機器・動物用医療機器・化粧品・医薬品・医薬部外品・体外診断用医薬品) 他
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