日本ユニシスグループのICTインフラトータルサービス企業であるユニアデックスは、カスタマーリレーションセンターで運営するコールセンターシステムを「Salesforce Service Cloud」で刷新した。EOL(End of Life)の迫った旧システムのマイグレーションニーズに加え、同社が中期経営計画における主要テーマのひとつに掲げる「カスタマーサクセス」の強化を視野に入れたもので、構築パートナーにはSalesforceのICT連携に多数の実績があるテラスカイを選定した。
今や、企業活動だけでなく社会全体を滞りなく運営していくうえで、ITインフラの存在は欠かすことができない。1997年に設立されたユニアデックスは、多様な業種、業界において、ITインフラの設計、構築、運用、サポートを手がけてきた。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークといったITインフラの構成要素をマルチベンダーでアレンジし、顧客のニーズに最適な形で、構築から運用までをワンストップで提供するICTサービス企業である。
ユニアデックス株式会社 エクセレントサービスリレーション本部 カスタマーリレーションセンター センター長の村上公朗氏は、次のように語る。
「お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みを適切にサポートできるよう当社では数年前から専門部隊を組織化し、いち早くDX支援に取り組んできました。2021年にスタートした中期経営計画の中では、『カスタマーサクセスの強化』を主要テーマのひとつに掲げており、企業としての構造改革を含め、そのためのさまざまな取り組みをスタートしています」(村上氏)
エクセレントサービスリレーション本部は、ユニアデックスと顧客、およびパートナー間のコミュニケーションを円滑に行うためのコンタクトポイントとしての役割を担う。その役割を果たすうえで、重要な業務のひとつとなっているのがコールセンターの運営だ。
同社では、カスタマーサクセスの実現につなげるため、このコールセンター向けの業務システムを「Salesforce Service Cloud」で刷新した。新システムの構築にあたってはテラスカイをパートナーとして選定し、プロジェクトを進めた。
「現在のベストな選択肢」としてSalesforceを採用
刷新のきっかけとなったのは、2021年3月に迫っていた旧コールセンターシステムのサポート切れ期限だった。同社では、これまで独自開発による「UniCall」と呼ばれるコールセンターシステムで業務を行ってきた。構築以来、必要な機能を随時盛り込みながら、10年以上使い続けてきたものだ。
「顧客の問い合わせを受け付け、情報を適切なチームへエスカレーションする」という基本業務を進めるうえで、UniCallは十分な機能を持ったシステムだったという。エクセレントサービスリレーション本部 アドバンスドサービスセンター センター長の斎藤智氏は「前システムは、少しずつ手直しや機能拡張を行いながら発展させてきました。しかし、2021年にハードウェア、ミドルウェアがそろって更新のタイミングとなり、そのタイミングでこれからの展開を見据えつつ手直しして使い続けるか、根本的に刷新するかを再度検討する必要が出てきました」と話す。
具体的な検討がスタートしたのは2019年の春ごろだった。検討にあたっては、クラウドサービスだけではなく、オンプレミスのものやスクラッチ開発も含めて「現在のベストな選択肢」を模索したという。結果として選ばれたのは「Salesforce Service Cloud」だった。
候補の中には「UniCallを改築して使い続ける」というアイデアもあった。しかし、UniCallは現在の標準業務をこなすうえでは十分なものである一方、この先ユニアデックスが強化していこうとしている“カスタマーサクセス”にどれだけ寄与できるかを考えた場合、発展性の面で限界が近いと判断された。
Salesforceを選択した理由について、斎藤氏は「DXに取り組むお客様を支援するうえで、コールセンターの役割や業務の進め方、コールセンターシステムの使われ方も変化していく可能性があります。それを見据えたうえで、将来性、拡張性、コスト感、加えて、他社でのCTI連携における実績が決め手になりました」と話す。
現場の担当者を巻き込んでプロジェクトを進行
ユニアデックスでは、過去にSalesforceを本格的に導入した経験がなく社内にも技術面、活用面でのノウハウが少なかった。そこで、Salesforceを活用したコールセンターのシステム構築で多くの実績を持つテラスカイをパートナーに選定した。両社による新システムの構築プロジェクトは、2020年6月に開始された。
新システムの構築にあたっては、クラウドパッケージとしてのSalesforceのメリットを最大限に引き出すため「標準機能をベースに構築し、カスタム開発は避ける」という方針をとった。これは、構築時の工数削減だけでなく、継続的に行われるSalesforceそのもののアップデートが業務に及ぼす影響を最小限に留めるうえでも合理的な指針だ。
実際の構築作業においては、現場でコールセンター業務に関わる主要な担当者にもプロジェクトに参加してもらい、機能や画面を作り込んでいった。
「これまで長い期間をかけて、自分たちにとって使いやすく作り込んできたシステムと比べれば、SaaSの標準的な機能でできることはどうしても限られます。それは承知のうえで、現在の業務プロセスは変えず、かつ、できる限り作業の負担が増えないようなシステムにするためにはどうすればいいかを現場の担当者と、テラスカイの担当者を交えて、知恵を出し合いながら考えました」(斎藤氏)
要件の確定にあたっては、現場の求める要件に対して「Salesforceの標準機能で実現可能か、テラスカイがジャッジする」というプロセスが何度か繰り返された。実現が難しい要件については、再度別の方法を考えるか、作業方法を変更して対応するかという判断を行っていった。
「テラスカイは、Salesforceでできることだけでなく、われわれが使っていた旧システムの技術的な仕様も熟知したうえで、現場の求めることができるのかどうかを的確に判断してくれていたと思います。また、実際の開発フェーズに入ってからは、具体的に目に見える成果物をこまめに提示してもらいながら作業が進みました。もちろん、現場の要求をすべて反映できたわけではなく、どうしても実現が難しい部分もありましたが、結果的にシステムを利用する現場の担当者が納得できる形で、新システムをリリースできたと思います」(斎藤氏)
「データ可視化」のパワーを実感 使い勝手の改善も継続的に実施
ユニアデックスでは、2021年4月にSalesforce Service Cloudによる新しいコールセンターシステムの本稼働を開始した。現在370ライセンスで利用している。
稼働を開始してから、以前と比較して特に便利だと感じているのは「レポーティング」「ダッシュボード」といったデータ可視化の機能だという。エクセレントサービスリレーション本部 アドバンスドサービスセンター サービス基盤部で部長を務める日吉忠之氏は「こうした機能がSalesforceの魅力のひとつだということは知っていたが、実際に使ってみてそのパワフルさを実感している」と話す。
「UniCallでは、コールセンター業務の全体的な状況を確認したい場合、それぞれの担当者が個別に必要なデータを抽出し、複数のアプリケーションを駆使して可視化をしていました。Salesforceでは、レポートやダッシュボードによって、簡単に必要なデータをリアルタイムで可視化できます。可視化の作業に時間を取られず、データから気付きを得て問題の把握と分析を行い、現場での行動や戦略に生かすという、カスタマーサクセス向上に直結する仕事に注力できるようになったことは、以前と比べて大きな進歩です」(日吉氏)
同社では新システムの稼働開始以降、現場へのアンケートを通じて今後の継続的な改善の方向性についても検討を行っている。既に、レポーティングにおけるデータロード機能の改善なども行ったという。
「稼働を続ける中で、システムの洗練は継続的に行っていきたいと考えています。例えば、UniCallでできていたことが新システムではできなくなって、以前よりも担当者の作業負担が増えてしまっている部分もあります。これは、より効率的で使いやすい仕組みにしていく必要があると思っています。また、コールセンターシステムは、顧客情報や契約情報、機器情報など、いくつかのデータについて基幹システムと連携しています。新システムでは、データ構造の違いなどもあり、そのすべてを連携することはしなかったのですが、業務の中で必要なデータを見極めながら、使い勝手の良い連携の方法を考えたいです」(日吉氏)
変化に適応する「カスタマーサクセス」の強固な基盤づくりを目指す
ユニアデックスでは、今回構築した新コールセンターシステムの適用範囲の拡大や、現在並行して稼働しているシステムのSalesforceへの統合なども視野に入れているという。
「新システムはカスタマーリレーションのコールセンターで主に利用していますが、実はフィールドサービスにも同様の業務を行う別システムがあります。将来的にはそちらも、今回と同じSalesforceの基盤上へと移行していくことを検討しています。また、社内にはこれまで部署単位で利用してきた顧客情報管理に関連した個別のシステムがいくつか存在しています。ITガバナンスの観点からも、同じような機能を持つサイロ化したシステムについては統合していく方向です。その際には、営業の情報管理など、Salesforceが得意な領域についてはSalesforceに集約していくことを視野に入れています」(日吉氏)
「Service Cloud以外にも、Sales CloudやCommunity Cloudなど、われわれがデータドリブンにカスタマーサクセスを追求するうえで有用なサービスについては、積極的に活用を検討したいと思っています」(斎藤氏)
多くの企業や組織がDXを指向し、ITの導入や活用のスタイルを変化させている中で、それを支えるパートナーとしてのユニアデックスの役割も変化していく。サービスとしてのITを、競争力を生みだすエンジンにするノウハウを洗練させていくにあたって、同社がテラスカイに寄せる期待も大きいという。
「今回のプロジェクトでテラスカイには、われわれの業務を理解してもらうところから誠実に寄り添ってもらえたと感じています。構築、運用のフェーズでも、高いスキルを持ったエンジニアに安心して相談ができました。Salesforceによる新システムは、今後カスタマーサクセス強化の基盤として進化させていきたいと考えています。テラスカイには、より効果的なSalesforceの使い方について、豊富な知見に基づく具体的なアドバイスや提案をしてもらえることを期待しています」(村上氏)
[PR]提供:テラスカイ