レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(以下、レノボ)が主催のカンファレンス「Lenovo Tech Week Spring 2021」が2021年6月15〜18日にオンラインで開催。スペシャルコンテンツ2では、「【事例セッション】導入事例の裏話とその後を突撃取材!」と題して、レノボのデータセンター製品を導入した企業の導入担当者の生の声を紹介しました。ここでは多摩大学と日本ビジネスシステムズの事例を取り上げます。
学生向けにVDI環境を提供し、約3年にわたって安定運用
「現代の志塾」を教育理念と定め、幼稚園、中学校、高等学校、大学、大学院など合計15校による一貫教育の体制を敷く学校法人田村学園。その頂点にあたる教育機関として1989年に設立されたのが多摩大学・大学院です。
多摩大学では、2002年度から新入生全員に1人1台のPC配付を開始し、2015年度の新入生向けには2 in 1タイプのタブレット「ThinkPad 10」を配布。また、学生向けにVDI環境を提供するために、2018年からはレノボのVMware vSANベースのHCIソリューション「ThinkAgile VX」を運用しています。
事例セッションでは「ThinkAgile VXについて管理者に聞いてみたー!」と題し、多摩大学の導入担当者である教務課 情報責任者 公平正一氏に、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社 マーケティング本部長 中野雅由氏らが取り組みの詳細をインタビューしました。
公平氏は導入の経緯について「これまでノートPCを配布していましたが、今後、先進的な取り組みやサービスを学生に提供していくことが念頭にありました。そこでバーチャルデスクトップとして学生のPC環境を提供する新サービスを検討したのです」と話します。
VDIイメージファイルは2つあり、1つは通常のレポートや課題で使うOfficeソフトの利用を念頭にしたライトな環境で、もう1つは負荷の高い作業を行うヘビーユーザー向けのハイスペックな環境です。通常の使い方以外でも、PCが壊れた場合にVDIに必要なデータを退避するなど、さまざまな使い方がされているといいます。 「コロナ禍においてオンライン授業を受けるなか、VDIの使い方も変わりました。自宅からVPN経由でVDIにアクセスして、自宅にいながら大学のシステムを使って課題をこなせるようになっています。自宅や旅行先などさまざまな場所からアクセスできるVDIによって学びの選択肢の幅も広がりました。システム側でも学生のニーズに応えられるよう力を入れています」(公平氏)
中野氏も「学生時代からデジタルネイティブ、VDIネイティブな環境が提供されており頼もしい」と感心した様子でした。
PCが必須になりVDIにはヘビーな利用が求められるようになった
VDIの利用は当初の想定から変化しつつあるようです。もともとは、ライトな環境の利用が多いと考えられていましたが、ここにきてヘビーな環境の利用が大きく増えてきています。 「特定の学生がアクセスして利用しているということでもあります。VDIのシステムを必要と思っている学生は一定数いて頻繁に利用している状況です。また、コロナ禍でPCがペンやノートと同様に授業を受けるための必須の文房具になり、PC購入をためらっていた学生も自分のPCを買いそろえるようになりました。そのためライトな環境を使う必要がなくなったという側面もあります」(公平氏)
中野氏はこれに対し「VDIにすることで利用率が見える化でき、管理しやすくなることはメリットの1つです」と述べました。また、これまで3年ほど運用してきていますが、トラブルなく安定運用しているとのことです。
「サーバもそうですが、新入生向けに配布していたときからレノボのPCを導入していましたし、信頼性については最初からまったく心配していませんでした。今回もノントラブルなので安心しています。2年後にはシステム更改が控えており、しばらくはこの状態で使っていく予定ですが、拡張することを考えています。昨年からHDDやCPUを増やしており、そのなかに学内の基幹システムのイメージも入れて、学部におけるサーバ等のインフラのメインとして使っていこうと考えています」(公平氏)
多摩大学には、経営情報学部のある多摩キャンパスと、グローバルスタディーズ学部のある湘南キャンパスがあり、2学部3学科制をとっています。湘南キャンパスもPCを使うことに重きを置いており、今後は共通の仕組みで運用していく方針です。
最後に公平氏は「ここで仕事をして15年くらい経ちますが、個人的にもレノボ製品は馴染み深いです。実際に運用してみても、信頼がおけるメーカーだと実感しています。引き続きお力添えをいただければと思っています」と述べました。
日本ビジネスシステムズのMicrosoft MVPが明かす、Azure Stack HCIの魅力
今度は日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)の事例を紹介しましょう。JBSは、マイクロソフト プロダクトを中心とした情報系インフラの構築、アプリケーション開発、システム保守・運用までワンストップで提供する独立系システムインテグレータです。同社では、マイクロソフトのHCI環境であるAzure Stack HCIを活用したソリューションの提供も強みにしています。
事例セッションでは、「Azure Stack HCIってまだまだなんじゃないの? 胡田さんのぶっちゃけトーク」と題して、JBS コーポレート戦略本部コーポレート戦略企画部 エグゼクティブエキスパート(Microsoft MVP for Microsoft Azure)の胡田昌彦氏に、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ チャネルビジネス統括本部 黒木祐介氏が話を伺いました。
まず、Azure Stack HCIに対して顧客からどのような要望が寄せられているのかについて、胡田氏はこう説明しました。 「サーバ、ストレージ、ネットワークスイッチで構成された既存の3Tierの仮想環境から、Azure Stack HCIのような新しい環境に移行したいという要望が多くあります。仮想環境に乗せるワークロードは、SQL Serverなどのデータベースをはじめ、SharePoint Serverを含めたさまざまなアプリケーション基盤など、物理環境で稼働していたどんなワークロードでも安心して動かせるようになっています」(胡田氏)
実際に移行した顧客の事例を見ても、移行前に狙った通りのメリットを得られているケースがほとんどだと言います。 「まず既存のものが動くのかどうかという点はバッチリです。新しい基盤で新しいものを作ることも問題ありません。ただ、お客様から『これは気づいていなかった』と指摘されるポイントもあります。それは、運用への影響です」(胡田氏)
拡張性、発展性が高いうえ、安く高パフォーマンス、中小企業にも使いやすい
運用面で課題になるのは、たとえばノードのメンテナンスです。3Tierの場合、共有ディスクのため、ノードのメンテナンス中もディスクは継続的に変化し続け、メンテナンス終了後は最新のディスク情報にアクセス可能です。これに対し、Azure Stack HCIではディスクがノードに内蔵されているため、ノードのメンテナンスにともなってディスクも停止し、他のノードのディスクの状態と差異が発生します。そこで、メンテナンス後にディスクを同期する必要があります。 「毎月のWindows Updateにともなってノードのメンテナンスと同期を1台ずつ実施する必要があり、待ち時間が長く負担になります。ただしこの課題は、Windows Updateや同期を含めたメンテナンス作業を全自動化するオーケストレーションの仕組みで解消できます」(胡田氏)
こうした自動処理を行うための仕組みとして、管理ツールのWindows Admin Centerには、クラスター対応更新機能が用意されています。Windows Updateだけでなく、ハードウェアのファームウェアやドライバーのアップデートにも対応できます。「レノボのサーバはこれらにも対応しており、安心して全自動化が可能です」と胡田氏は強調します。
長期的な利用で気をつけたいのはリソース不足ですが、Azure Stack HCIはノードの追加が容易であることが大きなメリットになるといいます。さらに長期に利用する場合、同じハードウェアを長期間調達できるかどうかが重要です。ハードウェアメーカーが同じハードを継続的に提供できるか、世代が違っても互換性、相互運用性が高いかがポイントになるとのことです。これに対し、黒田氏は「メーカーとして検証を行い、お客様が長期的に利用できる機器を提供していきます」と述べました。
そのうえで胡田氏は「Windows Admin Centerを使うと、Azureの機能やAI、コンテナなど、新しい使い方や運用方法を提案してくれます。まずは今のものを動かしたいというニーズを満たしながら、新しい使い方に発展させていくことができます」とおすすめの利用方法をアドバイスしてくれました。最後に「手組みの3TierよりもAzure Stack HCIのほうが安く、高パフォーマンスで提供できます。中小規模企業にも導入しやすいソリューションです」とまとめ、スモールスタートしやすいシステムであることを強調しました。
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https://www.lenovo-techweek.jp/
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