MATLABとSimulinkの総合カンファレンス「MATLAB EXPO 2021 Japan 」が、6月7日(月)から11日(金)にオンラインで開催される。今年のテーマは「進化を加速させるテクノロジー」で、機械学習やAI、自動運転、ロボティクスなど、ビジネスに不可欠になりつつある技術を多角的に紹介する。見どころをMathWorks Japanに聞いた。
今年のテーマは「進化を加速させるテクノロジー」、オンラインならではの企画も
MathWorks Japanが主催するMATLABとSimulinkの総合カンファレンス「MATLAB EXPO 2021 Japan」が6月7日(月)~11日(金)にいよいよ開催される。2回目のオンライン開催となる今回は、1日1トラック計5日間の構成で、機械学習・AI(人工知能)から、自動運転・ADAS、モデルベースデザイン(MBD)、ロボティクス・自律システム、パワーエレクトロニクスまでを幅広く網羅。オンライン環境を生かしたハンズオン・セッションやQ&Aセッションの実施など、新たな企画も目白押しだ。今年の見どころをMathWorks Japanの阿部 悟 氏と宅島 章夫 氏にご紹介いただいた。
今年のテーマは「進化を加速させるテクノロジー」だ。機械学習やAIに代表されるように新しいテクノロジーの進化は急速で、登場から数年で実用フェーズに入り、ビジネスの進化を支える基盤になっている。
MATLABにおいても、機械学習やAI向けの機能がアドオン製品として提供され、さまざまな領域で活用されている。MATLABとSimulinkを用いると、AIモデリングの領域はもちろん、その前段階であるデータ準備からモデリングの後工程、ビジネスに生かすためのシステム設計やアプリケーションへの展開までをエンドツーエンドで実施することが大きな強みだ。
「『進化を加速させるテクノロジー』というテーマで、さまざまな領域での技術の進化を着実にビジネスに適用していく方法をあらためて紹介したいと考えています。特に今年は、COVID-19の影響でデジタル化が加速し、緊急を要する状況の中で、短時間でいかに目的を達成するかがカギになってきています。技術をどうビジネスの進化につなげられるかを感じ取っていただけるセッションを用意しました」(阿部 氏)
初日の基調講演には、MathWorksのRichard Rovner氏が登壇。「世界を救う科学者やエンジニアたちの挑戦」と題して、COVID-19のバンデミックにおいて、世界中の科学者やエンジニアがどう問題解決に取り組んできたかを紹介する。
「検知から緩和、治療に至るまで、人々を助けるためデジタルトランスフォーメーションの中で急速な革新を行いました。その軌跡を辿りながら、MATLABやSimulinkなどのツールがどう活用されたのかをご紹介します」(阿部 氏)
2日目のゲスト基調講演には、SUBARUの樋渡 穣 氏が登壇。「“ぶつからないクルマ?” スバルが生んだアイサイトの秘密」と題して、アイサイトの30年の開発の歴史とこれからの自動運転技術について解説する。
いずれも、技術とビジネスの進化を実感できる講演であり、ぜひ聴講したいところだ。
あらゆる業界で課題解決に生かされる機械学習とAI、注目セッションは
5日にわたって実施される各日のテーマは、Day 1(6月7日)「機械学習とディープラーニング」、Day 2(6月8日)「自動運転とADAS開発」、Day 3(6月9日)「広がるモデルベースデザイン適用」、Day 4(6月10日)「ロボティクスと自律システム」、Day 5(6月11日)「パワーエレクトロニクス」となる。
「合計25セッションのなかで、お客様による事例講演が17セッションあり、今年もユーザー事例を中心に構成しています。自動車、機械、電機、精密機器、エネルギー、医療、学術研究機関などさまざまな領域のお客様から、参考になるお取り組みをご紹介いただきます」(宅島 氏)
機械学習やAIという観点で見れば、Day 1「機械学習とディープラーニング」、Day 2「自動運転とADAS開発」、Day 4「ロボティクスと自律システム」が注目トラックといえそうだ。ここでは、この3トラックを中心に見どころを紹介しよう。
Day 1「機械学習とディープラーニング」では、いすゞ中央研究所、三菱電機、広島大学のユーザー事例セッションが実施される。
いすゞ中央研究所では、実路での排ガス試験(RDE)に対応したエンジン開発において、MATLABを活用。機械学習を用いて、欧州のRDE法規要件を満足する走行パターンをランダムに自動生成するツールを開発し、排出ガス規制への適合が困難となる走行パターンを見出したという。
三菱電機のセッションでは、無線通信機における非線形補償にディープラーニングを適用した事例が紹介される。無線通信機ではアナログ回路の特性により信号品質が劣化するが、三菱電機では、この特性を補償して信号品質を向上できる歪み補償技術を、ニューラルネットワークを用いて開発したという。
広島大学のセッションでは、深層学習・GAN(敵対的生成ネットワーク)を使った治療効果の予測と放射線治療支援ツールの開発事例が紹介される。がん治療では、CTなどの画像検査や遺伝子、血液検査にAIを適用する取り組みが活発化している。広島大学では、画像生成アプローチであるGANの医療への応用と、GANの技術を使用した臓器の領域をセグメントすることに活用したという。
「AIは、あらゆる業界で課題解決に活かされています。PoC (概念実証)に留まることなく、AIによる変革として実現するには、実装を視野に入れた開発が重要です。医療、通信、自動車など、各分野で成功した取り組みにご注目ください」(宅島 氏)
Webブラウザで稼働するMATLABを使ったハンズオン・セッションも
Day 2「自動運転とADAS開発」では、基調講演のSUBARUのほか、ユーザー事例セッションとして京セラの事例が紹介される。また、「機械学習・ディープラーニング体験」をテーマにしたハンズオン・セッションも実施される。
京セラのセッションでは、ミリ波レーダー/センサーの研究開発事例が紹介される。ミリ波を利用したセンサーは、従来のレーダーとしての使い方だけではなく、物標の剛体運動や微細振動の検知に起因したマイクロドップラーの観測を行うことが可能だ。京セラではこれを活用し、人間や動物のバイタル情報や一般的な物体の振動の集録を行うアプリケーション開発に取り組んでいるという。
「仮想環境の活用と制御以外の自動運転アルゴリズム開発がテーマです。認識系アルゴリズムの開発や仮想環境用3Dシーンの作成、特に制御以外の領域でのMATLAB、Simulinkの進化に注目ください」(宅島 氏)
ハンズオン・セッションは、インストール不要でWebブラウザ上で利用できるMATLABを使って、機械学習とディープラーニングを実践するセッションだ。これまでの展示会場ブースでは時間や空間の制約で難しい操作体験も、Web環境ならばじっくり体感することができる。オンライン開催ならではの企画であり、ぜひ参加してほしい。
Day 4「ロボティクスと自律システム」では、ダイハツ工業、東北大学、東京大学の事例が紹介される。ダイハツ工業のセッションでは、自律走行が可能な搬送車(AGV)の自律化に不可欠な周辺物体の認識処理についての開発例を、東北大学のセッションではディープラーニング・3Dシミュレーションを用いたAIロボット制御の遠隔教育を、東京大学のセッションでは、レーザースキャナ(LiDAR)や画像による農業・林業分野での3Dデータ解析事例をそれぞれ紹介する。
「AGV開発やLiDARを使った物体認識技術や大学における授業利用など、企業開発から学術的利用までを広く紹介します」(宅島 氏)
このほか、Day 3「広がるモデルベースデザイン」では、三菱重工&IHI、グローリー、JAXA、Synspective、堀場製作所が登壇。Day 5「パワーエレクトロニクス」には慶応義塾大学、三菱電機、東海大学、ダイヘン、産総研が登壇するなど、見どころ満載だ。自身の研究・取り組みに関わる内容だけでなく、業種業界を超えてさまざまな取り組みを知ることは、大きな参考になるはずだ。
Day 1、Day 4、Day 5の最終スロットではライトニングトークも行われる。これはMATLABを使った面白いこと、「そんなことにMATLAB!?」という楽しい企画やプログラムをユーザーから紹介する人気のコーナー。それぞれ10分のセッションが次々と展開されていくので、こちらも見逃せない。
なお、例年の会場で行っていたブース展示もオンライン上にバーチャルブースとして開催される。数はパートナーが約20社、MathWorksが15展示で、40近いバーチャルブースが設置される予定だ。内容は、オンデマンドのビデオやドキュメントの配信に加え、エンジニアによるライブデモや、チャットによる質問受付など、ライブでのコミュニケーションも可能なブースも多く設けられる。また、一般公募によるポスターセッションもバーチャルブース内で開催される。MATLABを使って実施した研究や趣味で行ったプロジェクトなどをポスター形式で発表するコーナーで、来場者による投票も行われる。
例年よりもさらにパワーアップし、オンライン開催の魅力が増した「MATLAB EXPO 2021 Japan 」。「進化を加速させるテクノロジー」を知りビジネスを加速させるためにも、奮ってご参加いただきたい。
MATLAB EXPO Japan 2021
オンライン|6月7日(月)から6月11日(金)
MATLAB/Simulinkユーザー様による事例紹介やMathWorks社員による技術講演を通して革新的な最新技術をご紹介いたします。
[PR]提供:MathWorks Japan(マスワークス合同会社)