ライセンス管理(ソフトウェア)は重要です。しかし、管理対象のデバイス数に加えて膨大な量のインストール済ソフトがあり、エクセルによる管理は負担が大きいのではないでしょうか。この記事では、ライセンス管理を効率化する方法や運用を成功させるポイント、IT資産管理ツールの導入メリットについて解説します。

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ライセンス管理とは

ライセンス管理とは、自社で購入・利用しているソフトウェアが、使用許諾契約書に沿って利用できているかを管理することです。ライセンス管理のポイントは契約管理であり、使用許諾契約書通りの利用でないと刑事罰の対象にもなります。

ライセンス管理は、企業としても非常に重要な業務ですが、さまざまな課題があり、管理業務は煩雑になりがちです。

ライセンス管理にかかわる6つの課題

ライセンス管理を煩雑にしてしまっている6つの課題について、順番に紹介します。

1、膨大な量・種類のインストール済ソフトウェア

第1の課題は、ライセンス管理の対象となるソフトウェアの数が膨大な量である点です。

各従業員の使用端末はPCばかりではなく、スマートフォンやタブレットなどもあります。各端末にはそれぞれソフトウェア(アプリ)をインストールしているため、管理対象のソフトウェア数はかなり増加しています。

これらのインストール済ソフトウェアすべてについて、正しい使い方とかどうか確認をするだけでも大変です。

2、ライセンス形態が複雑

ソフトウェアのライセンス形態が複雑化している点も、ライセンス管理をより難しくしている要因です。各ソフトウェアについて、正しい使い方かどうかを確認するにはとても手間がかかります。よく見られるライセンス形態は以下の通りです。

  • 買い切り型(パッケージソフト)
  • ユーザーライセンス(複数デバイスで利用可能)
  • サブスクリプション(月額料金を継続して支払う)

さらに、ボリュームディスカウントやプラン別でライセンス形態が異なるソフトウェアもあります。ライセンスについてはすべて使用許諾契約書に記載がありますが、管理者がすべてを確認・チェックするのは作業量的に難しく、おざなりになりがちです。

3、ソフトウェアにかかるコスト管理

ライセンス管理をしないと、ソフトウェアにかけているコストが適切かどうかの判断ができません。ソフトウェアのライセンスを精査すると、必要数に対する使用料を支払えていなかったり、逆に支払い過ぎていたりする場合もあり得ます。

4、ライセンスの管理工数

ライセンス管理にかかる工数も課題の1つです。管理するべき従業員数やデバイス数、部門が増えると、管理工数は大幅に増えてしまいます。各部門で定期的にソフトウェアの棚卸しをして、管理部門で集計する工数も大きく、本業にかけるべきリソースが奪われてしまいます。

5、専門知識のある人材の確保

ライセンスに関する知識は専門性が高いため、ライセンスを管理するには専門知識のある人材が必要です。自社内部で人材を確保できない場合は、アウトソーシングか専門の人材を採用するかを検討する必要があります。

6、従業員のライセンス管理に対する意識の低さ

ライセンス管理は、管理部門だけが努力をしてもうまくいきません。各従業員もライセンスは管理が必要なものであるという意識を持つべきです。しかし研修などで根気よく伝えていかないと、なかなかライセンスを守ろうという意識が育ちません。

ライセンス管理を行うメリット5つ

ライセンス管理を行うことで、ライセンスに関わる問題のいくつかを解決できるなどのメリットがあります。具体的なメリットについて、順番に解説します。

1、ライセンス利用の最適化

全社でライセンス管理を行うことで、ライセンス違反をなくし、適切な数のライセンス契約をする、という最適化が可能です。不正利用を長く続けていると、ライセンス監査で指摘を受けて罰金を支払わなくてはならないケースも出てくるでしょう。

2、セキュリティの強化

ライセンス管理を行うことで、セキュリティの脆弱性を抱えている古いバージョンのソフトウェアの把握がしやすくなります。問題のあるソフトウェアの洗い出しができれば、最新版に更新するなどの迅速な対応が可能に。結果として、自社環境のセキュリティ強化に貢献できます。

3、ソフトウェアにかかるコストを削減

ライセンス管理を進めると、必要以上にライセンスを所有して無駄にコストがかかっていたケースも洗い出せます。余分なライセンスを整理することで、ソフトウェアにかかっていた無駄なコストも削減可能です。

4、社会的・金銭的リスクの低減

ライセンス管理が適切にできていないことが対外的に知られてしまうと、企業として社会的な信用を失いかねません。また、正当な対価を支払っていないことをソフトウェアの提供会社に把握されると、損害賠償などの訴訟リスクもあります。これらのリスクを低減できるのも、ライセンス管理のメリットです。

5、従業員へのライセンス管理の意識づけ

ライセンス管理には、従業員の理解も欠かせません。従業員への定期的な研修によって、ライセンス契約の重要性と管理の意識づけを進めることもできます。

ライセンス管理を行うことで、ライセンスにまつわる問題やトラブルを回避して、適切なコスト管理もできるようになります。ただ、ライセンス管理業務は煩雑で、手作業で進めると大変です。そこで、ライセンス管理を効率化する方法についても確認し、実践するようにしましょう。

ライセンス管理を効率化する方法4つ

ライセンス管理を効率化する基本的な方法について4点にまとめて解説します。自社に合った効率のよいライセンス管理を目指しましょう。

1、管理対象と管理レベルの設定

ライセンス管理における管理対象と管理レベルは、以下のように整理できます。

管理対象 ソフトウェアをインストールおよび利用している資産(PCなど)
ソフトウェアをインストールおよび利用している部門
管理レベル 管理対象の資産別・部門別にどのレベルまで管理するかを規定

管理対象の資産は、パソコンはもちろん、アプリをインストールしているスマートフォンやタブレットも対象です。パソコンの周辺機器(ハードディスクやDVDドライブなど)に付属しているソフトウェアも、使用しているなら管理対象となります。管理レベルは、管理対象の種別ごとにどの程度管理するかのレベルです。

すでに組織が多く、管理するべき資産や部門が多い場合、現状把握だけでも大変な工数になります。そこで、管理工数を効率化するために次の方法に進みましょう。

2、利用可能なソフトウェアを必要最低限にする

次に行うべきライセンス管理の効率化施策は、利用可能なソフトウェアを最低限に絞り込むことです。不要なソフトウェアはアンインストールし、業務に不要なフリーソフトウェアも削除します。

ソフトウェアの精査ができたら、エクセルを使用するか、ツールを導入してのライセンス管理に進みます。

3、組織が小規模ならライセンス管理台帳で管理

組織が小規模な場合、オフィスのパソコンにインストールされている、表計算ソフトのエクセルを使い、ライセンス管理台帳を作成して管理しましょう。

ライセンス管理には、ライセンスそのものを管理する「ライセンス台帳」とライセンスの許諾に関する情報を管理する「ライセンス関連部材台帳」の2種類が必要です。各台帳で管理する項目は以下の通りです。

ライセンス台帳 インストールしている資産の番号
管理部門
管理責任者の従業員番号
ソフトウェア名称
購入日
ライセンス種別
ライセンス形態
利用目的
など
ライセンス関連部材台帳 インストールしている資産の番号
管理部門
管理責任者の従業員番号
ソフトウェア名称
CDキー
など

定期的に従業員の管理するデバイスの情報を収集し、取りまとめ部門(情報システム部門)が取りまとめてライセンス台帳やライセンス関連部材台帳に反映します。

4、組織が大規模ならライセンス管理を行うツールを導入

組織が大規模になると、エクセルでの管理は、工数的に難しくなります。ライセンス管理が手に負えなくなることが見込まれる場合は、ライセンス管理専用のツールの導入を検討しましょう。

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ライセンス管理を成功させる5つのポイント

エクセルやツールを使うことで管理工数は削減できます。しかし、ツール導入だけではライセンス管理を成功させることは難しいものです。ツール導入後、ライセンス管理を軌道に乗せて成功させるための施策を5点紹介します。

1、ソフトウェアの利用実態とライセンスの保有状況をツールで把握

ソフトウェアの利用実態とライセンスの保有状況は、従業員からの自主申告だけでは把握しきれません。特に大組織の場合は、インストールソフトウェア情報を自動収集する仕組みが必要です。

ライセンス管理ツールの中には、自動収集機能を持つものもあるので、活用を検討します。インストールソフトウェアの情報を一覧化し、利用目的を従業員自身が入力できるようにすると、効率よく情報収集を進められます。

2、ライセンスの適合状況を確認(専門知識が必要)

ライセンス情報を収集した後は、ライセンスの保有状況と利用実態を確認し、ライセンスの適合状況を確認しなければなりません。

適合状況の確認は、ソフトウェア辞書だけでは難しい部分があるため、専門知識を持った人材が必要です。自社でライセンス管理に詳しい人材を確保できない場合は、アウトソーシングなども検討しましょう。

3、ライセンスの差分と割り当てを管理

ライセンスの適合状況を確認した後は、ライセンスの差分を確認し、必要に応じてライセンスの追加購入や契約解除等を行います。現状にフィットしたライセンス状況が整ったら、この状態を維持管理するようにします。

4、ネットワークに接続していない機器の対応

ネットワークに接続していないパソコンなどの機器(スタンドアロン端末)があると、ツールでのライセンス情報収集対象から漏れてしまいます。そのため、スタンドアロン端末に関しては、別途情報収集のルール作りが必要です。

定期的な職場の見回りで資産管理対象外の機器がないかを確認することで、スタンドアロン端末がないかをチェックしましょう。スタンドアロン端末がある場合は専用のライセンス情報収集ツールを使って、収集した情報を情報システム部門に渡す仕組みを検討しましょう。

5、従業員に対する継続的なライセンス関連の研修を実施

従業員に対しては、定期的にライセンス関連の研修を実施することも重要です。ライセンスにはさまざまな種類や形態があり、適切に管理しないと企業の社会的信用を失うことや、損害賠償請求を受ける可能性があることを伝えます。

ライセンス管理のためにIT資産管理ツールを導入する2つのメリット

ライセンス管理を効率的に進めるためには、やはり専用ツールの活用がおすすめです。IT資産管理ツールをライセンス管理のために導入するメリットについて解説します。

1、インベントリ管理業務を大幅に効率化

ライセンス管理におけるインベントリとは、管理対象の資産にインストールされているソフトウェア情報一覧のことです。各資産のインベントリ情報を収集・管理するインベントリ管理業務は、手作業で行うと大変で、入力ミスなども避けられません。

IT資産管理ツールは、インベントリ情報の自動収集・一覧表示・インベントリ情報の編集などが可能です。そのためインベントリの管理業務を劇的に効率化できます。

2、不正行動の防止

禁止されているソフトウェアのインストールや海賊版の使用など、不正な行動を取っている従業員もいるかもしれません。IT資産管理ツールで情報を自動収集することを全社に周知することで、従業員の不正行動を未然に防げます。

IT資産管理ツールの基本機能6つ

IT資産管理ツールにはどのような機能があるでしょうか。基本的な6つの機能を紹介します。

1、インベントリ収集

ネットワークに接続されたIT資産の情報を自動収集する機能です。自動収集した情報はライセンス管理の台帳に反映されます。

2、統合運用管理

ネットワークに接続されたIT資産の稼働状況を監視し、それらの運用を統合的に管理する機能です。エンドユーザーの不適切な操作、ネットワーク上の異常、資産の稼働状況などで異常を発見した場合に管理者に知らせるアラート機能も、統合運用管理に含まれます。

3、台帳管理

インベントリ機能で収集したIT資産の情報を管理する機能です。主に、台帳の一覧表示、必要な情報の入力と反映などの機能があります。インベントリからの情報と、管理しているライセンス情報に矛盾が発生した場合に警告を出すのも台帳管理の重要な役割です。

4、ライセンス管理

ソフトウェアの自動インストール・更新とライセンス情報の管理を行う機能です。デバイスにインストールされているソフトウェアのライセンス全般を管理し、ライセンス数の最適化を行うためには欠かせません。

5、ソフトウェア辞書

従業員数や管理対象のIT資産が増えれば増えるほど、インストールソフトウェアの種類と対応するライセンス形態の把握は大変な作業になります。ソフトウェア辞書は、ソフトウェア資産の管理工数を大幅に削減する機能です。

ソフトウェア辞書を使えば、インストール時の名称にブレがある同じシリーズのソフトウェアも統合して1つのソフトウェアとして管理できます。この機能は「名寄せ」と呼ばれます。

6、契約管理

IT資産は高額なものも多く、レンタルやリース契約をしているものも多く見られます。契約管理は、IT資産だけでなく、レンタル・リース契約も管理する機能です。これらの契約を可視化・一元管理することで、契約の見直しや整理を行い、さらなるコスト削減を目指せます。

IT資産管理ツールの選定ポイント4点

IT資産管理ツールの選定ポイントは以下の4点です。

1、自社に必要な機能を精査する

ライセンス管理機能だけでなく、その他の機能で自社に必要な機能があるかどうかを精査してください。情報漏えい防止機能やセキュリティパッチ配布機能など、セキュリティに強い製品もあります。

2、オンプレミス型かクラウド型か

IT資産管理ツールの提供形態は、主に自社環境内に設置するオンプレミス型か、インターネット上の提供サービスを利用するクラウド型かに分かれます。機能が豊富なオンプレミス型か、低コストで導入までの期間が短くて済むクラウド型か、自社の状況に合わせて選択してください。

3、自社に合った対象規模か

製品によって、対応できる組織規模には差があります。対象規模を1,000名以上としている製品もあるため、自社の規模に合った製品を選びましょう。

4、エージェントレスでのインベントリ収集が必要か

パソコンの中には、運用上の制約で、IT資産管理ツールのエージェントをインストールできない場合もあります。そのようなIT資産が多い場合は、エージェントレスでのインベントリ収集が可能な製品を選ぶようにしましょう。

ライセンス管理の効率化にはIT資産管理ツール導入の検討を

ライセンス管理は、非常に重要ですが手作業だと手間のかかる業務です。特に一定以上の従業員規模がある場合、ライセンス管理の効率化にはIT資産管理ツールが欠かせません。

IT資産管理ツールの導入を検討する場合は、以下より気になる製品の資料を入手し、比較検討資料としてお役立てください。

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