環境配慮型の24時間365日ノーダウンのデータセンターを運営

データセンター業界のリーディングカンパニーとして、24時間365日ノーダウンを実現する堅牢で信頼性の高い設備を誇り、柔軟な接続サービスを展開する株式会社アット東京。データセンターは東京4カ所と大阪2カ所の計6カ所を運営し「つづく、つながる、生まれる」をコンセプトに、コロケーションから運用監視、メガクラウドへの接続、国内データセンター間の連携などで、さまざまな顧客のニーズに応えている。

そんなアット東京が設立時から実践しているのが、環境負荷低減への取り組みだ。設備の省エネルギー化や設備のリユース・リサイクルはもちろん、脱炭素社会の実現やサステナビリティに向けて地道に取り組んできた。

データセンターは、サーバやストレージが発生させる熱と電力の問題から切っても切り離せない関係にある。ビジネスとITが密接に結びついている昨今、ビジネスが活発化すればITの利用が増え、データセンター内にあるコンピュータが発する熱も増大し、冷却のための電力消費量は増えていく。データセンター事業者にとっては、企業を支えながら環境負荷をいかに低減するかがポイントだ。

アット東京が取り組んできたサステナビリティの柱は、大きく4つある。「電力削減」「水の再利用」「UPSのリサイクル・リユース」「環境指標の見える化」だ。

フリークーリングや高温冷却で電力を削減、冷却水は39%再利用

1つめの「電力削減」では、IT機器から発生する熱を空調でいかに効率よく冷却するかがカギになる。一般的には、サーバラックの配置や吹き出し口の位置を変えたり、サーバラックが並ぶアイルを囲うことで冷却効率を高めたりする。アット東京ではさらに、サーバルームの複数個所にセンサーを設置することで、室内温度を可視化し、空調を自動調整する仕組みを構築している。そして、電力の大部分を占める空調にもさまざまな工夫を凝らして、省エネを実現している。技術・サービス本部 設備運用部 設備運用グループの久保 真介 グループマネージャーはこう語る。

久保 真介氏

株式会社アット東京
技術・サービス本部 設備運用部
設備運用グループ
久保 真介 グループマネージャー

「冷却能力と消費電力のバランスを考慮したうえで、空調は冷凍機や冷却塔を使って水を冷やす『水冷式』を採用しています。一部のデータセンターでは、外気温度の低い冬期は屋外に設置した冷却塔だけで空調に必要な水の冷却を行う『フリークーリング』というシステムを用いて消費電力の削減を図っています。また、空調に必要な水の温度を通常よりも高い温度で冷却する高温冷水方式を取り入れることで冷却の負荷を軽減し、より省エネルギーな運転を可能にします」(久保氏)

  • 冷却塔

    冷却塔

長野 真樹氏

株式会社アット東京
技術・サービス本部 設備運用部
設備運用グループ
長野 真樹 主任

2つめの「水の再利用」は、前述した空調の冷却水を再利用する取り組みである。技術・サービス本部 設備運用部 設備運用グループの長野 真樹 主任は以下のように解説した。 「水冷式の空調では冷却塔で水を一部蒸発させ、その際の気化熱で冷却します。蒸発によって冷却水の含有物の濃度は高くなるため、給排水を行って濃度を調節します。このときに本来廃棄されるはずの冷却水(ブロー水)を高度なろ過装置で再利用しています。ブロー水は年平均39%で再利用され、そのぶん水の消費量も削減しています」(長野氏)

  • 高度なろ過装置

    高度なろ過装置で再利用

UPSの再利用を実施、創業時から環境指標を意識した運営

3つめの「UPSのリサイクル・リユース」は、利用期限を迎えたUPSを廃棄せずに蓄電池を再利用したり、廃棄時に資材としてリサイクルする取り組みで、技術・サービス本部 設備保全部 設備更新グループの稲葉 亨 課長はこう話す。

稲葉 亨氏

株式会社アット東京
技術・サービス本部 設備保全部
設備更新グループ
稲葉 亨 課長

「UPSの耐用年数は、鉛蓄電池が7年程度、UPS本体は15年です。年数を超えると通常は廃棄されますが、24時間365日ノーダウン運用を行う当社では、サーバ室と同様に電気室も温度・湿度を適正に管理しており、蓄電池は非常に状態の良いものばかりです。現在、廃棄される蓄電池のうち約3分の2がリユース蓄電池として再活用されています。その他の蓄電池やUPSは処理業者で材質ごとに選別し、金や銅などの貴金属やプラスチックなどを仕分けして、素材ごとにリサイクルしています」(稲葉氏)

  • UPS(無停電装置)

    停電などによって電力が断たれた場合にも電力を供給するUPS(無停電装置)

4つめの「環境指標の見える化」は、原単位やPUE(Power Usage Effectiveness)などの指標に基づいたデータセンター運営の取り組みである。原単位は、省エネ法で定められたエネルギー消費原単位のことで、PUEは業界団体のグリーン・グリッドやJDCCが定めたデータセンターの電力使用効率を表す指標だ。

伊藤 久氏

株式会社アット東京
技術・サービス本部
伊藤 久 理事

技術・サービス本部 伊藤 久 理事は、「データセンター事業者にとって電力、広い意味でいえばエネルギー全般、を効率的に利用するのは使命である」と力説する。「原単位をどう設定し、毎年どのように下げていけるか、2003年から取り組んできました。現在は、PUEなどの環境指標に沿って取り組みを強化し、炭素量削減や水の再利用なども、CUE(Carbon Usage Effectiveness)やWUE(Water Usage Effectiveness)といった指標を意識して運営しています」(伊藤 久氏)

  • エネルギー管理指標推移

環境価値を高めるために、再生可能エネルギー利用の証書を発行

アット東京はこうした4つの柱を軸に、環境に配慮した取り組みを長年続けてきた。そして2019年6月には、アット東京がバンキングしていたCO2削減クレジットのうち、11万トンを東京都へ寄付した。経営企画本部 伊藤 正裕 副本部長は、同社のサステナビリティに向けた取り組みについて以下のように語る。

伊藤 正裕氏

株式会社アット東京
経営企画本部
伊藤 正裕 副本部長

「国連が採択したSDGsの考え方からもわかるように、環境問題はすべての企業が取り組むべき課題です。特に大量の電力を消費するデータセンター事業者にとっては、電力の削減は至上命題でしょう。アット東京は国連採択の以前から省エネに取り組み、さらに水の再利用や廃棄物の再利用を進めてきました。限りのある資源は有効に利用する、廃棄せずにできるだけ利用するという『もったいない』という気持ちを社員一人ひとりが持っています。これは、アット東京の文化とも言えるものです。今後もこれまで通り取り組みを進めていきます」(伊藤 正裕氏)

アット東京では現在、脱炭素社会に向けて、2025年までの中期的なロードマップを描いているところだ。同社の脱炭素に向けた取り組みには、大きく2つのポイントがある。

1つは、再生可能エネルギーの利用を促進していくことだ。再生可能エネルギーで発電された電気は、その環境価値を証書化し取引する非化石価値取引市場が創設されており、小売電気事業者を通じて「非化石証書」を購入する仕組みがある。 「データセンターに対しても、再生可能エネルギーを利用したいという顧客ニーズが高まっています。そこで早期に取り組めることとして、非化石証書を利用して、顧客に環境価値を提供していくことを進めています。」(伊藤 正裕氏)

企業として当たり前のことを地道に取り組んでいく

脱炭素に向けたもう1つの取り組みは、これまでの行ってきた環境施策のより一層の推進だ。まず電力削減について久保グループマネージャーは「データセンターを設計した年ごとに設備は異なっており、空調システムや冷却システムは、全て最新のものではありません。今後は、サーバ負荷や空調、熱源を詳しく比較・分析しながら、古い設備を効率よく更新し、さらなる電力消費の削減と効率的な運用に努めていきます」と話す。

また、水の再利用について長野主任は「再利用の取り組みは東京中央センターからスタートしました。2021年度からは中央第2センターに広げていきます。また再利用の割合を現在の39%からさらに高めた60%を目指していきます。水の再利用を進めることは広域災害時にダウンし難いデータセンターをつくることにもつながります」と副次的な効果を高める狙いも明かす。

  • 2019年度実績を2020年度はじめに算出したもの

    ※上記は2019年度実績を2020年度はじめに算出したもの

UPS再利用の今後の方針について稲葉課長はこう語る。「リサイクルされた材料がどう活用されているかをマニフェストとして受け取っており、リユースの蓄電池も引き取りの際に状態を確認していただいています。こうした取り組みは継続したうえで、今後は、交換が必要な鉛の蓄電池だけでなく、より長寿命なリチウム電池の採用も広げていく予定です」(稲葉氏)

ビジネスのデジタル化が進む中、データセンター事業者のこうした環境負荷低減への取り組みは必要不可欠であり、企業活動を大きく支えている。もし、その土台が崩れるようなことがあれば、ビジネスに大きな影響を与えるとともに、環境への負荷も大きく高まるだろう。アット東京は「当たり前のことをコツコツやり続ける」という姿勢で、今後も脱炭素社会とサステナビリティの実現に向けて歩みを進めていく。

関連リンク
アット東京の環境への取り組み

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