個人でRed Hatトレーニングを受講し、複数の認定資格を取得、いまや最上位の「Red Hat認定アーキテクト(RHCA) - Infrastructure -」まで取得したというアーキテクトがいる。それが富士通クラウドテクノロジーズ株式会社 クラウドインフラ本部 ネットワークサービス部の佐藤 学 氏だ。複数のカリキュラムを受講できる「Red Hatラーニングサブスクリプション」を活用している佐藤氏に、認定資格を取得する意図や学び続けるためのポイントを聞いた。

  • 富士通クラウドテクノロジーズ株式会社 クラウドインフラ本部 ネットワークサービス部 佐藤 学 氏

    富士通クラウドテクノロジーズ株式会社
    クラウドインフラ本部 ネットワークサービス部
    佐藤 学 氏

「No Boundary」「WAKU×2 IKIIKI」な企業文化を醸成する

国産パブリッククラウドサービス「ニフクラ」や、オンプレミスとの連携に優れたクラウドサービス「FJcloud-V」、AI技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)向け「データデザインサービス」などを展開する富士通クラウドテクノロジーズ。2010年に提供を開始したニフクラは、Webサービス基盤としてはもちろん、業務システムやIoTなど幅広い用途・顧客に採用され、2020年9月時点で7,500社以上への導入実績を誇る。

そんな富士通クラウドテクノロジーズの風土について、佐藤氏はこう話す。 「ニフクラやFJcloud-Vのクラウド基盤はVMware vSphereベースで構築されていますが、その基盤を運用するためにさまざまなツールが活用されています。たとえばサーバやネットワークの運用自動化にはAnsibleが使われていますし、周辺ツールのOSやミドルウェアとしてはLinuxをはじめとするさまざまなOSS(オープンソースソフトウェア)が使われています。こうしたツールは、エンジニアそれぞれが持つ知見やノウハウを生かして、自由に使い方を提案できるようになっています。業務以外で学びの場を持つことが奨励されていて、個人のスキルや能力を業務に生かしやすいカルチャーがあります」

実際に佐藤氏も、学びの場を作ることに積極的に取り組んでいる。ベンダーが提供するさまざまなトレーニングを受講しながら、新しい知見の獲得や自身のスキルアップに役立てている。そんな佐藤氏が活用しているのが、Red Hatのトレーニングと認定資格だ。

Red Hatトレーニングで得た知識やノウハウを業務でフル活用

Red Hatのトレーニングと認定資格は、Linux管理者、アプリケーション開発者、クラウドアーキテクト、OpenShift管理者といった職種ごとにコースとカリキュラムが設定され、自分に合ったラーニングパスを選べるのが特徴だ。

佐藤氏は2015年からトレーニングの受講を開始し、まず「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)7」に関する「Red Hat認定エンジニア(RHCE)」と「Red Hat認定システム管理者(RHCSA)」の資格を取得した。

また、その2年後には、分散ストレージ「Gluster 3 Storage」に関する「Red Hat認定スペシャリスト(RHCS)」と、インフラ構築基盤「OpenStack 8」に関するRHCSAを取得。さらに、翌年の2018年にはコンテナ管理プラットフォーム「OpenShift 3」と、「Ansible 2.3」のRHCSをそれぞれ取得した。

RHCE認定取得者は、追加の認定試験の5つ以上に合格することで、最高レベルの認定となる「Red Hat認定アーキテクト(RHCA)」を得ることができる。佐藤氏は2019年にインフラ管理についての「RHCA - Infrastructure -」を取得。OSからプラットフォーム、ストレージ、コンテナ、自動化まで「インフラ管理のアーキテクト」として認定されるに至った。

5年にわたってトレーニングを継続してきた佐藤氏だが、その成果は直接的に業務に生かされているという。佐藤氏が主に担当しているのは、ニクフラやFJcloud-Vのクラウド基盤を支えるネットワークの構築と運用管理だ。

「ネットワークの構築と運用管理でいま力を入れているのが自動化を中心としたオペレーションの効率化です。自動化のためにAnsibleを採用し、Excelベースの手順書からPlaybookへの移行を行って、さまざまな領域に展開しはじめています。たとえばAnsibleのPlaybookでネットワーク機器のBGP設定を自動化したり、ニクフラのネットワーク運用に必要な管理サーバの構築や設定変更を自動化したりしています」

まさにインフラ管理のアーキテクトとして、トレーニングで得た知識やノウハウをフル活用している状態だ。

実技試験として行われるため業務に生かしやすいことがメリット

佐藤氏がそもそもRed Hatのトレーニングに興味を持ったのは、業務でRHELを扱う機会が増えたことにあったという。

「当時は富士通のインフラエンジニアとして、サーバやネットワークを中心にインフラ全般を扱っていました。サーバはRHELで構築するケースが多く、システム管理をより深く知るため、効率的に勉強する方法を探していました。調べているときにRed Hatが提供しているトレーニングを知り、公式な認定資格であること、受講しやすいメニューであること、自分が学びたいことに合致していたこと、学んだことを業務に直接生かせることなどにメリットを感じ、受講を決めました」

実際、RHELのトレーニングは、業務で行っていたサーバ構築やシステム管理に大きく役立ったという。

「認定試験は実技試験として行われるため、非常に実戦的です。トレーニングの内容をそのまま業務に生かすこともできますし、現時点で直接関わらなくても今後必要になりそうなスキルを先行して身につけることで業務改善や新しいアーキテクチャの提案などの貢献ができるようになります。商用製品だけを提供するベンダーとは異なり、すべての製品についてOSSのコミュニティ版が提供されていて、トレーニングの環境を自分で整えやすいことも魅力でした」

トレーニングを受講し始めたときは、自宅に設置したPCでサーバ環境を構築し、実際に手を動かしながら知識やスキルを身につけたという。もっとも、これまで業務で扱ったことのなかったコンテナ関連の技術については、内容が難しく学習進度が追いつかなかったり、学習のための時間がうまくとれず試験に落ちてしまったりすることもあった。

「試験のためにまとまった時間が取れず、苦労しました。トレーニングや試験を受ける際は、業務に支障がないように仕事の調整も必要です。上司と相談しながら、すきま時間を見つけて勉強していたのですが、コースを増やすことで、それにかかる時間や費用も無視できなくなりました」

インフラ全体について幅広い知見で設計、構築、管理できるアーキテクトを目指す

そこで活用したのが「Red Hatラーニングサブスクリプション」だ。これは1年間トレーニングのカリキュラムに無制限でアクセスできるうえ、クラウド上で展開されるラボ環境を利用してソフトウェアやサービスを自分で手を動かしながら学べるサブスクリプションプログラムだ。

「学んだことが業務に生かせることを実感し、より広い領域について知識やスキルを身につけていきたいと感じるようになりました。そこで、ラーニングサブスクリプションを利用して、さまざまなカリキュラムを包括的に効率的に学ぼうと思ったのです。実際に、トレーニング受講や試験のための時間調整や、その都度発生する費用に気を使わないで済むようになりました。また、クラウド上に自由にアクセスできるラボ環境があるため、ハイスペックなPC環境を揃える必要がありませんし、製品そのものに自分の都合のよいタイミングで自由に触れて試すことができます。最上位のRHCAを取得できた背景には、ラーニングサブスクリプションをうまく活用できたことが大きいと思っています」

佐藤氏は、今後も「Red Hatトレーニングと認定資格を活用して、さまざまなスキルを身につけ、業務に活用していきたい」と話す。ネットワーク機器においてもLinuxベースのものが多くあり、トラブルシューティングなどの高度なノウハウも求められるようになってくる。また、運用管理サーバにおいても効率化が求められるためコンテナ活用の検討や、高品質化のためのパフォーマンスチューニングやセキュリティに関する知識も必要になる。

「ラーニングサブスクリプションの活用によって、新しい領域についても効率よく学ぶことができます。コンテンツも随時アップデートされるので、学んだことが無駄になりにくいですね。インフラ全体について幅広い知見で設計、構築、管理できるアーキテクトを目指し、これからも学び続けたいと思っています」

富士通クラウドテクノロジーズの企業文化と上司・同僚とのよい関係のなかで、自らのキャリアを設計している佐藤氏。最後に「学びのコツ」を聞いてみると、次のようにアドバイスしてくれた。

「いま自分が携わっている業務をより深く知りたいと思うことではないでしょうか。効率よく学ぼうとすれば、トレーニングや認定試験などがよい手段になります。ふだん自分が使っている製品の資格を取得できれば、さらに知識が深まり、業務を進めやすくなります。そのうえで新しい技術を知りたい、チャレンジしたいという気持ちで次に臨んでいけばいいと思っています」

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