ニューノーマル時代に向け、働き方改革をどのように進めていけばいいのか模索している企業は多いはずだ。富士通は制度・カルチャーといった組織変革とICT活用で、働き方改革に先行して取り組んだ。 ここでは2020年11月26日にLIVE配信された「マイナビニュースフォーラム 働き方改革 Day 2020 Nov. 変化に対応して成果を出し続ける組織とは」で、富士通株式会社 国内ビジネス推進統括部 プロモーション推進部 部長の丸子正道氏が行った講演「実践から得られたノウハウと、働き方改革を成功に導くITツール」の模様を紹介する。
テレワーク推進で富士通が実践したこと
富士通は、新型コロナウイルスの影響で東京都から“不要不急の外出自粛”要請が出されたのを受け、3月27日から首都圏全域で原則在宅テレワーク勤務をスタート。政府の緊急事態宣言中の5月には、経営トップから宣言解除後の働き方に関する具体的な施策検討の指示が出され、そこから人事・総務・IT部門における取り組みが始まったという。
富士通ではコロナ禍前から働き方改革としてテレワーク制度を導入していた。一部社員を対象とした制度はそもそも2010年に開始。2017年度からは本格的なテレワーク制度を段階的に始めている。他社に比べ大きく先行していた同社だが、それでも緊急事態宣言前のテレワーク実施率は48%にとどまっていた。
「正直、この程度が限界と思っていました。ところがコロナ禍でテレワークを余儀なくされ、緊急事態宣言中は90%となり、現在も常時80%の社員が自宅やサテライトオフィスでの勤務を続けています」と丸子氏。
5月の社内調査では、「今後最適と思う場所」として85%以上が「自宅・サテライト」もしくは「事務所・工場等と自宅・サテライトの両方」と答え、従来の事務所勤務ではなく多くの社員が働く場所の選択を望む結果が出たという。 こうした声を受け、同社では社内施策にクイックに反映。「Work Life Shift」というコンセプトのもと、さまざまな取り組みを実践した。緊急事態宣言解除後の時期、富士通が社内でどのような施策を実践していったのかについて丸子氏が説明した。
「取り組みの柱として、Smart Working(最適な働き方の実現)、Borderless Office(オフィスのあり方の見直し)、Culture Change(社内カルチャーの変革)の3つを設定しました。 まずSmart Workingでは、毎日オフィスに出勤することを前提としていた勤務制度、各種手当、福利厚生、IT環境を全面的に見直し、場所や時間にとらわれない働き方実現を目指しました」(丸子氏)
具体的には、コアタイム撤廃とフレックス勤務の原則化、及び通勤定期券廃止を7月に実施。テレワークで必要となる通信・光熱費やデスク・イス等の環境整備サポートとして1人月額5000円の支給も7月からスタートした。
働く場所と組織の仕組み、そしてICTによる変革
2つ目のBorderless Officeでは、働く場所をCollaborate(協働)のための「ハブオフィス」、Connect(つながる)のための「サテライトオフィス」、Concentrate(集中する)のための「ホーム&シェアードオフィス」の3カテゴリーでとらえる。多くの業務をリモート化しつつ、リアルな対面で社内・顧客とのディスカッションや共創を行う場であるハブオフィスについては、出勤率を30%に設定して面積の見直しや快適な空間づくりを進めているという。
そして3つ目のCulture Change。「場所や時間にとらわれない働き方を実現するには、社員の高い自律性と、会社が社員を信頼するというマネジメントの高度化が重要と考えています。会社はこれを実現するために制度やルール、プロセスを見直し、シンプルな仕組みをつくって、コントロールではなく一人ひとりの自律を支援し、相互の信頼関係も築いていきます」と丸子氏は話す。
こうした新しい働き方を支える仕組みとしてジョブ型人事制度を導入したほか、社員個々の役割・期待を共有し、適切な評価を行うため、富士通のAI「Zinrai」を活用した働き方可視化ソリューション「Zinrai for 365 Dashboard」を運用(この詳細について丸子氏は後半で解説した)。
さらに、超軽量薄型のモバイルノートPCも社員は活用している。
紹介している超軽量薄型のモバイルノートPC「LIFEBOOK U9310」は軽さ約777g・薄さ約15.5mmでありながら頑丈設計、第10世代インテルCore i5/i7のハイパフォーマンスと不正利用・情報漏洩対策等のセキュリティ機能も備え、モバイルでも安心して活用できる。
このほかテレワークを支えるインフラ基盤として、ゼロトラストネットワークのコンセプトのもと多要素認証やID統合によるシングルサインオンを実現した強固なセキュリティと、クラウドサービスにVPNレスで快適に接続できる環境を構築した。
続いて丸子氏は、「Work Life Shift」の効果として社内で起きている変化について「フレックス勤務は93%と一般的になり、在宅・サテライトオフィス勤務も8割に達しています。常時51000人が社内モバイルネットワークに接続し、オンライン会議の利用も1日5万件を超えています」と語った。
こうした取り組みについて、なぜこれほどの短期間で実現できたのか、多くの問い合わせがきているという。丸子氏はポイントとして「トップマネジメントの強いコミットメント」「総務・人事・IT部門が一体となった取り組み」「労働組合との協力」の3点を挙げ、「こうした点をきちんと押さえていけば、皆様の会社も変えていけると思います」と話した。
新ソリューション「FUJITSU Work Life Shift」
富士通では、「Work Life Shift」の自社実践から得られたノウハウとテクノロジーを融合させたソリューション「FUJITSU Work Life Shift」の発表を10月9日に行った。
「FUJITSU Work Life Shift」は17のソリューション群で構成されている。単にツールを提供するだけでなく、コンサルティングや現場部門ノウハウの活用によるコラボレーションも加えて短期導入を実現し、導入後には教育や利用状況把握サポート、効果確認などのサービスも提供するのが特徴だ。
丸子氏は17ソリューションのうち主要なものについて解説を行った。まずは「Work Life Shift」の3本柱の一つであるSmart Workingに該当するものとして「Zero Trust Network」「Secure Remote Working」を紹介した。
「Zero Trust Network」は、従来の境界防御型では脅威を防ぎきれないことを前提に、ネットワーク上のすべてのアクセスを信頼しない“ゼロトラスト”の手法でセキュリティリスクを低減するソリューション。VPNレス、かつ複数認証でセキュリティを強化したスケーラブルなクラウド型サービスとなっており、テレワークで快適に業務ができる環境を提供する。
「Secure Remote Working」は、端末にデータを残さないセキュアなシンクライアント端末を、修理・サポートもセットにしてサブスクリプション型で提供するもの。従来に比べ導入コストが低い上、最短5営業日でテレワークを開始できる。
Borderless Officeのカテゴリーでは、エッジデバイスが故障した際、個人宅への引き取りを行い、15時までの依頼なら翌営業日に代替品を届ける「Workplace Support」がポイント。実際に提供するデバイスはモバイルPC、シンクライアント端末、タブレットから選ぶことができ、先ほど触れた薄型軽量モバイルPC「LIFEBOOK U9310」も含まれている。 「テレワークを始めると、移動・持ち運びで重い、分厚くてバッグに入れにくい、満員電車で壊れやすい、外で作業するときの情報漏洩や盗難が心配といったさまざまな困りごとが発生します。自宅で使う際も、画面が小さい、キーボードが打ちにくい、周辺機器をつなぐUSBが足りないといった声が聞かれます。LIFEBOOK U9310は、これらのすべてをストレスなく解決できる機能・性能を備えています」と丸子氏は強調した。
またCulture Changeについては「Visual Collaboration」と「Workforce Analytics」が紹介された。前者は富士通の空間ユーザーインターフェース技術を活用し、フェイス・トゥ・フェイスでホワイトボードを囲んで議論するようなコラボレーション環境をリモート会議で実現できるソリューション。画面への手書き書き込みやメモ共有などが可能になる。
そして「Workforce Analytics」は、前出のAIによる働き方可視化ツール「Zinrai for 365 Dashboard」で業務内容を定量的に見える化するもの。社員ごとやチーム全体の作業・負荷状況の把握、長時間労働防止などに寄与する。さらには分析機能により、業務改善で着目すべきポイントやアドバイスも提示するという。
丸子氏は最後に「当社は、ニューノーマル社会に適した持続可能で多様な働き方の実現に貢献していきます」と語り、プログラムを締めくくった。
FUJITSU Notebook LIFEBOOK U9310
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