コンテンツマーケティングは、対象とするユーザーが価値を感じてくれるコンテンツを発信し、これを継続していくことが、成功に導くための前提となります。
ただ、"価値を感じてくれるコンテンツ" はどのように設計・作成すればよいのか、また実際にそのコンテンツに読者が価値を感じたかどうかをどう計測すればよいのか、不明瞭な方は多いはずです。
この記事では "価値を感じてくれるコンテンツ" を継続的に発信していくために必要な運用セオリーについて解説します。
なお、こちらの記事では、コンテンツマーケティングの概要や成功した事例について詳しく解説しているため、あわせてご覧いただくことをお勧めします。
参考:コンテンツマーケティングとは? 必要とされる理由と実践手順をわかりやすく解説
参考:コンテンツマーケティング成功事例10選 BtoB・BtoC別の紹介と最新動向
コンテンツマーケティングの運用で発生する作業
"価値を感じてくれるコンテンツ" の継続的な掲載を前提とする場合、コンテンツマーケティング運用の中では以下の作業を繰り返してPDCAサイクルを回していくことになります。
作業 | 内容 |
---|---|
(1)ペルソナ設定 | ターゲット群を代表する人物象を、ある特定の一人にまで絞り込み、ターゲットユーザーがどんな問題を抱えているのか、どんな情報をどのチャネルで提供すればそれが解決できるのかを明確化します。 |
(2)カスタマージャーニーの作成 | 認知、理解、比較、購入、エンゲージメントの各フェーズで「(1)のペルソナがどんな情報をどのチャネルで得るのか」を、時間軸で明確化します。 |
(3)キーワード、構成案の作成 | (2)のカスタマージャーニーに即して、コンテンツで含めるべきキーワードとコンテンツの構成案を作成します。 |
(4)コンテンツ作成 | (3)の構成案に即した記事を執筆。また、記事内で使用する画像や動画なども併せて制作します。 |
(5)公開・配信 | 記事内容を検収し、コンテンツとしての質を向上させた上で公開。この際、(3)のカスタマージャーニーで設定した「当該コンテンツに触れるチャネル」とイコールになっているかどうかに留意し、適切なチャネルを選択しましょう。 |
(6)検証 | アクセスやコンバージョンとの関連性を解析し、「ターゲットユーザーが訪れているか」「流入チャネルや導線は十分に機能しているか」を検証。改善が必要な場合には改善策を検討し、(3)~(6)を繰り返していきます。 |
(6)の検証にあたっては、アクセスやユーザー数、セッション数など多岐に渡る項目の下でレビューを行う必要があります。こちらの記事ではコンテンツマーケティングで見るべきKPIについて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
成功に導く5つのポイント
コンテンツマーケティング運用では、今挙げた作業のうち、(3)から(6)を絶えず繰り返していくことになります。1か月に公開するコンテンツの量は15記事から20記事が一般的ですから、ほぼ毎日、何かしらのコンテンツを公開していかなくてはなりません。
従って、コンテンツマーケティングを成功させる上では、以下の点に留意する必要があります。
・長期的な視点をもって運用にあたる
・実施体制を確立する
・必要な予算を確保する
・KPIと損益計算を明確化する
・経験者やプロをアサインする
長期的な視点をもって運用にあたる
コンテンツマーケティングは、蓄積したコンテンツを資産にして成果を出していく性質を持っています。コンテンツが充実しない間は中々成果が出ないため、効果がみえてくるまでに時間がかかります。失敗の多くは、「思ったより効果が出ない」とスタートから数か月で判断してしまうケースです。
「短期では成果が出ない取り組み」という前提の下、後述するKPIやPLを建てていく必要があります。
実施体制を確立する
コンテンツマーケティングでは毎日のようにコンテンツを公開し、検証と改善を繰り返していく必要があります。別の業務との兼任で勤まる作業ではありません。実施にあたってはしっかりと組織内にチーム体制を構築し、役割もメンバー内で明確にしたうえで臨みましょう。主な役割としては、「リーダー(責任者)」「編集者(コンテンツ制作)」「アナリスト(検証)」が挙げられます。
必要な予算を確保する
コンテンツマーケティングで掲載していくコンテンツは、多くはライティング会社に外注して用意することとなります。毎月15記事~20記事掲載する場合、ライティング費用だけでも30万円前後が発生することとなります。また、サイトデザインやアクセス解析などにもプロを起用するならば、外に出ていく費用はさらに増していきます。少なくとも毎月30万円は人件費以外で発生することを念頭にして、次のポイントとなるKPIを定める必要があります。
KPIと損益計算を明確化する
コンテンツマーケティングは長期的な視点が必要な取り組みですが、どこかのタイミングで投資額と成果額の関係性を「投資額>成果額」から「成果額>投資額」へ変えなくてはなりません。毎月幾らの予算を投じるのか、どのような推移で成果額が伸びていくのか、いつ損益が分岐するのか。まずはこれらを損益計算書としてまとめましょう。そして、損益計算通りにいくためにアクセスやユーザー数といったKPI指標を各月でどの数値達する必要があるのかを明確化する。これをチームの共通認識とすることで、運用の中で「上手くいかない」となった場合にも、何がボトルネックなのかをすぐに突き止めて対処できるようになります。
経験者やプロをアサインする
「解析ができる人がいない」「編集できる人がいない」など、既存の社員ではタレントがいないケースというのは往々にしてあります。未経験の社員を担当に据えることが悪手なわけではありませんが、しっかりKPIを達成していくのであれば、外部の経験者・プロをアサインするのが安全です。自社にどんなタレントが不足しているのか、自社リソースではできないことに何があるのか、これらを明確化した上で、然るべきプロへ外注するようにしましょう。
コンテンツマーケティング運用でよくある疑問
運用セオリーと成功のためのポイントを解説してきましたが、いざ実践するとなった場合、まだまだ疑問は尽きないことでしょう。ここからは、コンテンツマーケティングを運用する上でよく耳にする疑問について、Q&A形式で5つお答えします。
月にどれくらいのコンテンツを公開するべき?
月の公開記事数は、まずは15記事から20記事を目安にすると良いでしょう。もちろん、掲載数が多いほど「資産となるコンテンツの総量」が増えるため良いのですが、コンテンツマーケティングは何よりも "コンテンツの質" が重要です。品質の担保するためにも、まずは15記事から20記事程度を目標にするのがおすすめです。
キーワードはどう選ぶべき?
検索エンジンの検索ボリュームやサジェストを参照し、BtoC領域ならば月間の検索ボリュームが3桁から4桁のものを、BtoB領域ならば2桁から3桁のものを選ぶのがおすすめです。検索ボリュームが多いキーワードを優先した方がいいように思えますが、競合が多いためにユーザーとの接触機会を得るのに苦労します。コンテンツマーケティング運用ではチームに成功体験を生むことも継続力を維持するためのポイント。まずは適度なボリュームのキーワードを選定してコンテンツを掲載していき、「ターゲットが閲覧してくれている」という成功体験を増やしていく。その後、大きな検索ボリュームのキーワードにチャレンジしていくというプロセスを推奨します。
似ているキーワードの場合は1つのコンテンツにまとめるべき?
似ているキーワードが2つあり、さらにニーズも同一と判断できる場合は、検索ボリュームの多いキーワードで1つのコンテンツにまとめましょう。ただし、似たキーワードでもニーズが同一ではないケースもあります。一見同じようなニーズに見えても、1つのキーワードを比較して検討していくうちに、全く別のニーズが見えてくることもあります。少しでもニュアンスが異なると感じた場合は別のコンテンツとして用意するのがおすすめです。
コンテンツの文字数はどれくらいにするべき?
記事あたりの文字数は、「これがいい」という数字は定まっていません。というのも、ペルソナのカスタマージャーニーごとで、求めるコンテンツは内容・チャネルとともに文量に違いがあるからです。当該コンテンツがカスタマージャーニーの中で狙っているニーズに即し、文字数も変動して設計するのが良いでしょう。
一度公開したコンテンツをリライト、削除してもいい?
コンテンツマーケティングにおいて、検索エンジンは非常に大きな流入源となります。このため、記事を公開してから数か月経過しても当該キーワードで上位表示されない場合には、ターゲットとの接触機会が非常に薄いためリライトを検討しましょう。また、過去に公開した記事がわかりにくいと感じたり、情報に誤りがある場合にもリライトをお勧めします。また、リライトしても上位表示されない場合には、検索エンジンから「ユーザー価値の低い記事」と判断されているため、削除するとともになぜ価値が低いのかを検討するようにしましょう。
まとめ
コンテンツマーケティングの運用セオリーについて解説してきました。何から手をつければよいのか、どのような点に留意すべきなのか。皆様の中にある疑問を解消できたのではないでしょうか。
既述したように、コンテンツマーケティングは長期的な展開を必要とします。すぐに売り上げにつながるわけではないため、根気強く取り組みを継続しなくてはなりません。本稿で紹介した内容をヒントにして、ぜひとも継続的な取り組みとして、コンテンツマーケティングを実践してみてください。
なお、運用の中では「思ったようにユーザーが流入しない」など様々な課題も生じてきます。そんな場合の選択肢として、マイナビニュースでは企業のコンテンツマーケティングを支援する商品「TECH+ Lead-Gen Category (LGC)」を用意しています。以下リンクから詳細ご覧いただけるため、ぜひ参考にしてください。
参考:マイナビニュース 「TECH+ Lead-Gen Category (LGC)」
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