従来の広告手法は、視聴者や読者の時間や空間に割り込んでメッセージを発信するというものでした。しかし、この手法は、現代のような情報過多社会においては受け手にとって邪魔な存在となり得ます。そんな中で注目を集めるのが、コンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングとは、価値あるコンテンツを制作し、見込み客を自社のWebサイトへ呼び込み、問い合わせや購買行動につなげるマーケティング施策。ユーザーによる能動的なコミュニケーションが存在するため、先で述べたネガティブな印象を生むことがありません。また、能動的という特性から、"成果に結びつきやすい見込み客が集まる" というメリットもあります。この記事では、コンテンツマーケティングの基礎と、実践手順、成功させるコツを解説していきます。
コンテンツマーケティングの仕組み
コンテンツマーケティングとは、見込み客の疑問や関心に対して適切な情報を提供し、それによって見込み客を引き寄せて、最終的に購買に導く、一連のマーケティング施策を指します。
自社商品やサービスを売り込むのではなく、購買検討にあたって必要となる情報、価値のあるコンテンツを提供して、ユーザーの購買支援を行う。段階的に関係性を深めていく。そんなシナリオを描くことで、ユーザーが能動的に商品を購買する、または問い合わせを行うといった仕組みが作れます。
重要なのは、ユーザー視点に立って「見込み客が知りたい情報」を提供すること。企業側の独りよがりな情報発信では、ユーザーにとって「価値のあるコンテンツ」とはなりません。
コンテンツSEOとの違い
類似のマーケティング施策として、コンテンツSEOがあります。コンテンツSEOとは、Web上に掲載したコンテンツの検索順位を上げて見込み客の目に触れる機会を増やすことで、自社Webサイトへの流入を促進させる戦略です。従来からあるキーワードや被リンクなどを用いたSEO対策の効果が薄れてきたために生まれました。
一般的にコンテンツSEOは、「見込み客の獲得(購買)」を目的に行います。一方、コンテンツマーケティングは、「購入後の関係性維持」も目的とします。LTV(顧客生涯価値 : ある顧客が一生のうちに自社製品・サービスをどれだけ購入するか)という指標が重視される今日においては、LTVを高める有効な方法としてもコンテンツマーケティングは注目されています。
コンテンツマーケティングの成功事例
見込み客が知りたい情報をWebサイトへ蓄積することによって、自動的に売れる仕組みを構築する。そんなコンテンツマーケティングは、実際どのように行われるのでしょうか。B to BとB to C、それぞれにおける、コンテンツマーケティングの成功事例を紹介しましょう。
B to Bにおける成功事例
B to Bとは、Business to Businessの略で、企業対企業という企業間取引のことを指します。
B to Bにおけるコンテンツマーケティングの代表が、サイボウズ株式会社が運営する「サイボウズ式」です。法人向けのデータベース、情報共有、コミュニケーションシステムの販売を目的に、ワークスタイルやマネジメント、キャリアなどの情報を発信しています。
B to Cにおける成功事例
B to Cとは、Business to Customerの略で、企業と一般消費者の取引のことを指します。
B to Cにおけるコンテンツマーケティングの例としは、花王株式会社が提供する「マイカジ」が挙げられます。これは家事に特化した情報を掲載するサイトで、時短家事や家事シェアなど、ターゲットユーザーが知りたい情報を見やすくカテゴライズすることで多くのファンを囲っています。また、写真を掲載してわかりやすい記事内容になっている点も特徴です。
こちらの記事ではコンテンツマーケティングの成功事例をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考:コンテンツマーケティング成功事例10選 BtoB・BtoC別の紹介と最新動向
コンテンツマーケティングの実践手順
注目度の高さからも伺えるように、コンテンツマーケティングは今日のマーケティング施策の中でも特に有効と言われるものの1つです。ただ、どのように実践して良いか分からない方やターゲットに刺さる企画が思いつかない方もいるでしょう。
どんな手順でコンテンツマーケティングを実践していけばよいか。ここからは、コンテンツマーケティングをはじめる上で得るべき3つのプロセスを紹介します。
1:ターゲットを明確にする
コンテンツマーケティングにおいて何より大切なのは、誰に伝えるのかを明確にするための「ペルソナ」を設定することです。ペルソナとは、ターゲット群を代表する人物象を、ある特定の一人にまで絞り込んだモデルです。その人物像の背景像を具体化することで、ターゲットユーザーがどんな問題を抱えているのか、どんな情報をどのチャネルで提供すればそれが解決できるのかが明確になります。コンテンツの内容やチャネル戦略を立てる上で、欠かすことのできないプロセスと言えるでしょう。
2:提供情報のテーマを決定する
ペルソナを具体化した次に行うのは、提供する情報のテーマの決定です。ペルソナは普段どのような情報ニーズを持っているのか、その中で自社製品ジャンルに触れるのはどんな場面なのか、検索を行うことの多いクエリはどのようなものなのか、……これらを複合的に検討し、「ユーザーが能動的に自社製品ジャンルに触れる」のに適したテーマを決定します。先に紹介したサイボウズ式は「チームワークあふれる組織の構築」が、マイカジでは「理想の暮らしに近づくための新しい家事」が、サイトのテーマになっています。
3:カスタマージャーニーを作成する
ユーザーは認知、理解、比較、購入、エンゲージメント、この各フェーズでどんな情報を, どのチャネルで得るのか。これを先に決定したテーマへ落とし込み、時間軸で明確化したものが、カスタマージャーニーです。カスタマージャーニーを作成すれば、後はそれに沿ったコンテンツを用意し、適切なチャネルを通じてコンテンツを配信すれば、コンテンツマーケティングが実践できます。
コンテンツマーケティングを成功させるコツ
コンテンツマーケティングが成功すれば、広告宣伝費を大幅に抑えながら従来以上の成果を生み出すことができます。ただ、成功までには継続してこれを実践していく必要があります。時間とコストをかけて良質なコンテンツを制作したとして、思う通りの成果に繋がらないことも。
コンテンツマーケティングは、決して少なくない予算を必要とします。成功させる可能性を少しでも高めるために、ここでは幾つかのコツを紹介します。
ディレクションは必ず自社が行う
人的リソースが足りなかったりコンテンツマーケティングのノウハウ不足などを理由に、アウトソースを検討するケースがあるかもしれません。一部を外出しするのはありですが、全てをアウトソースするのは悪手です。なぜなら、製品・サービスについて誰よりも詳しいのは自社のスタッフだからです。どのユーザーにどんな情報を届ける必要があるか。これは、社外ではなく自社こそが考え決定すべきであり、実行の主体・責任者(ディレクター)も自社であるべきです。コンテンツマーケティングの成功には、社内スタッフの全面的な参加が不可欠であることを覚えておきましょう。
重視すべきは「数」よりも「質」
SEOの観点からコンテンツの更新頻度(=数)を重視したいという思いがあるかもしれません。ただ、たとえSEOの上位に表示されても、ユーザーニーズに沿ったオリジナリティのあるコンテンツでなければ、ユーザーから信頼を得ることができません。一時的な接触に留まってしまい、長期的な関係構築に結び付かないのです。アクセスはあるけれど成果に繋がらない、そんなサイトになってしまっては、コンテンツマーケティングを行う意味がありません。更新頻度とコンテンツの質を両立できるのがベストですが、予算や人的リソースを理由にそれが難しい場合、まずは「質」を重視するようにしましょう。
ドメインパワーを育てていく
検索エンジンは "ユーザーファーストなコンテンツであること" を最も評価するアルゴリズムとなっています。受け手にとって魅力のある良質なコンテンツであれば、検索上位にインデックスされる可能性を高めることができます。ただ、各社が良質なコンテンツの量産を行っている今日、ドメイン自体が持っている「ドメインパワー」も高めていかなければ、せっかくの良質なコンテンツが埋もれてしまう可能性があります。
ドメインパワーは良質なコンテンツを発信し、サイトに蓄積し続けることで高まっていきます。残念ながら、ドメインパワーは簡単に高められるものではありません。従って、コンテンツマーケティングは、短期的な成果ではなく長期的戦略に基づいて "成果基盤を構築していく" 手法となります。
継続性に課題を抱える場合はどうすればいい?
「継続的にコンテンツを公開し続けるのが大変」「コンテンツのネタが枯渇してしまう」「専任者がいないためどうしても片手間になってしまう」こういった悩みを理由に、コンテンツマーケティングに踏み出せない企業は多いでしょう。また、既にコンテンツマーケティングを実践していて、検索流入を増やすことに限界を感じている方もいるかもしれません。そうした際に検討候補に入れたいのが、ドメインパワーの強い外部メディアの提供するコンテンツマーケティングサービスを利用するという手です。
毎日のように良質なコンテンツを掲載しているメディアを活用してコンテンツマーケティングを行う。そうすれば、スタートしてすぐ検索上位に自社コンテンツを表示させ、即効的に成果を生み出すことも不可能ではありません。
たとえばマイナビニュースの場合、BtoBの事業を展開する企業を対象に、「TECH+ Lead-Gen Category (LGC)」という商品のもとで企業のコンテンツマーケティングを支援しています。
参考:「TECH+ Lead-Gen Category (LGC)」
まとめ
新型コロナウイルス感染症の影響で対面接触が避けられる中、デジタルマーケティングへの期待値が従来以上に高まってきています。数ある選択肢の中でコンテンツマーケティングは、高い成果が期待できる手法として注目を集めています。この記事で解説した情報をもとに、「ユーザーが能動的に商品を購買する」「自発的に問い合わせを行う」そんな仕組みづくりにチャレンジしてみてください。
[PR]提供:マイナビニュース