マイナビニュース主催の「FileMaker選手権 2020」が 2020年11月6日に開幕する。今回は「エンジニアヘのはじめの第一歩」をテーマとして、エンジニア経験者部門と開発未経験者部門のそれぞれで、ローコード開発プラットフォーム FileMaker で作成したカスタム App を2021年1月4日まで公募する。
「FileMaker選手権」は、アプリ開発に挑戦したい人なら誰でも応募することができる。しかし、いくらローコードで開発ができるとはいえ、未経験者がアプリを開発するのは難しいのではないか、これまで FileMaker を触ったことがなくてもできるのかと不安に思う方もいるかもしれない。そこで本記事では、開発経験がまったくないところから FileMaker を学び、短期間で自社の顧客の要望に応じてカスタム App を作り上げた、株式会社アクティブブレインズ 事業開発室 マネージャの平山理理さんのお話をご紹介する。平山さんは「カスタム App の作成を通じて自分自身が大きく成長できた」と語る。どのような体験があったのだろうか。
ハンズオンセミナーに参加後、製作期間1ヶ月でカスタム App を納品
— FileMaker のカスタム App を作ることになった経緯をお聞かせください。
平山 理理さん(以下、平山) 株式会社アクティブブレインズは ICT 教育関連のソフトウェア開発および販売をしています。小学校から大学までの教育機関が主なお客様です。日々お客様からいただくさまざまなご要望に応えたいと考えた結果、オーダーメイドでシステム開発をすることになったのをきっかけに FileMaker を使い始めました。具体的には大学のお客様へ論文審査システムを、もうひとつの私立中学校のお客様へ進路指導システムを FileMaker で開発して納品しました。
当初、お客様の要望を検討するなかで、社長から「プログラミング開発言語で”ゼロ”から作るより、開発と運用のプラットフォームがしっかりしている FileMaker で作った方が品質、コスト、納期、人手のいずれの点でも良いのではないか」と助言がありました。しかし私は、ほかの方が作った FileMaker カスタム App をユーザとして使っていた経験があるだけで、 FileMaker の開発経験はなく、JAVA や C 言語のようなほかのプログラミング言語もまったく知りませんでした。
そこで、2018年12月に Claris が主催する iOS ハンズオンセミナーに参加しました。その時点では、私は FileMaker がどういうものなのか調べるだけで誰かほかの社員が作るんだろうな、と考えていたのですが、いつのまにか私が作ることになっていました(笑)。
— そこから開発を始めて、それぞれのお客様にカスタム App を納品したのはいつ頃だったのですか?
平山 大学のお客様へは2019年、私立中学校へは2020年です。システム要件を事前にヒアリングするなど、やりとりには時間をかけましたが、実際に初期開発に費やした期間は、大学は1か月、中学校は3か月ほどでした。納品後も、お客様から機能の追加や修正の依頼が来るので、その都度アップデートしています。たとえば中学校のお客様からは、生徒1人に対して入力できる志望校の数を増やしてほしいといった要望があり、こうしたご要望ごとに修正を行いました。
「業務の効率化」や「情報のわかりやすさ」などを顧客に提供
— そのお客様は、困っていることがあって貴社に相談したのですね。
平山 はい。大学では、事務職員の方が学生の論文提出や先生の評価の状況を管理していらっしゃって、期日より提出や評価が遅れていたらリマインドのメールを出す業務があります。従来これは大量の紙とスプレッドシートで管理していて、とても時間がかかっていました。
中学校では、進路指導をするにあたって、生徒の成績や志望校、受験の状況を管理する必要があります。これもスプレッドシートで管理されていましたが、どこに入力すればいいのかわかりづらい、教師間でリアルタイムに共有できない、誤って計算式を消してしまうことがあるなど、さまざまな問題が発生していました。そのうえ、複雑な計算式が多く含まれたスプレッドシートなので、特定の先生しか触ることができず担当の先生には負担がかかっていました。
どちらの学校も、働き方改革推進のため業務を効率化したい、こうした作業にかかる時間を減らして学生・生徒のために時間を使いたいとお考えでした。
— 納品した学校からの反応は?
平山 大学では、生徒が論文を提出したかの確認やその論文に対する評価をシステムで管理できるようになり、リマインドのメールもシステムから送信できるようになったことで、事務職員の方の負担が大幅に減ったとお聞きしています。あと、大量の紙の書類も削減されてオフィスのスペースが空いたそうです。また、学生からの論文提出をタイムスタンプで自動記録するので、期日までに提出していたかわからないといったトラブルもなくなりました。
中学校ではいつどこを受験するのか生徒ごとに管理できる個人用入試カレンダーや、受験日がわかる担任用入試カレンダー、成績のグラフや志望校判定がわかる個別面談資料などが作れるシステムを納品したのですが、きれいで誰が見てもわかりやすく、使いやすくなったとおっしゃっていただきました。 FileMaker では、数字を入力してほしくないところは最初からクリックしても開かないようにフィールド設定できるので、スプレッドシートのときのように誤操作で管理する方が苦労することもなくなったそうです。私自身、デザインは前から経験があって好きだったので、学校のエンブレムのカラーにあわせて色合いを調整したことも褒めていただき、うれしかったですね。
開発の一連の流れをすべて体験し、成長できた
— 開発の過程はいかがでしたか?
平山 FileMaker での開発をスタートしてまず感じたのは、UI がとてもわかりやすく構造を理解しやすいということです。なので、画面レイアウトを作るのは簡単でした。スクリプトも日本語で示されているし、機能がとても充実していて、実際の作業を考えてスクリプトステップをつないでいけるので、かゆいところに手が届くようで助かりました。
それでも作業を進めているうちに行き詰まってしまう部分が出てきたのですが、Claris の15分トレーニング(※1)でテーブル同士を関連付ける機能のリレーションシップについて教えていただいて、先に進むことができました。その後も15分トレーニングで相談したり、Claris コミュニティ(※2)などを利用したりして解決していきました。
カスタム App が完成に近づき、最後の難関はアカウント管理とセキュリティの設定だと思っていましたが、チェックボックスを選択するだけで簡単に設定できましたね。FileMaker はプログラミング言語が書けなくても、必要な項目を並び替えてボタン押して挿入するだけでアプリが作れるので、私のような初心者でもお客様に使いやすいと言っていただけるアプリを作ることができました。それは本当に FileMaker の機能が充実していたからこそできたことだと思います。
大きな成長を感じ、新たなスキルを習得するきっかけに
— FileMaker での開発を経験して、これから目指すことはありますか?
平山 これから社内システムを作る予定です。弊社はサブスクリプション形式の教育コンテンツを提供していることもあり、GIGA スクール構想(※3)への対応にともなってお客様が大幅に増える見込みです。それには顧客管理やライセンス管理の効率化が急務です。FileMaker なら自社に合うようなシステムを自由に組んで作ることができるので、こうした用途に適していると思います。またセキュリティもしっかりしているので、社内資産や人事情報の管理にも使いたいと考えています。
— 開発を始めてからの体験を振り返って、どのように考えていますか?
平山 FileMaker は UI がわかりやすく機能が充実しているので、開発未経験からでもカスタム App を製作することができます。やりたいことを実現できるのが最大のメリットですね。自分にとって良かったのは、お客様の要望をヒアリングするところからカスタム App の構築まで、開発の一連の流れをすべて体験できたことです。私自身がこの体験から大きく成長できたと思っています。いままで Web サイトもアプリも一切構築した経験がなかったのですが、FileMaker を通じてアプリ製作のフローを理解できたため、WordPress のサイト構築に挑戦し、HTML や CSS のスキルを新たに習得することにもつながりました。作ってみれば理解できるし、自分を発信するツールのひとつにもなると思います。これからもいろいろなアプリを創作したいという気持ちです。
このように平山さんは、未経験ながらも FileMaker を学び、ユーザニーズを重視したわかりやすい UI を提供された。インタビューでは、ユーザに実際に触ってもらいながらフィードバックを得てアプリを改善していくアジャイル開発の手法が提供されている様子がうかがえた。
平山さんは「 FileMaker でカスタム App を作ってみることが良い体験になる」と語った。「FileMaker選手権」は、 FileMaker を学びカスタム App の製作に挑戦して、アイデアを形にする体験ができる絶好のチャンスだ。自社や顧客の課題に取り組まれる方はぜひ、挑戦してみてはいかがだろうか。
(Claris 社 からのコメント)
FileMaker は、Workplace Innovation Platform(ワークプレイス・イノベーション・プラットフォーム)、 モバイルアプリ開発などのカテゴリーで世界でもトップシェアの製品に位置づけられ、規模を問わず多くの組織でイノベーションを生みだしています。ただし、 FileMaker の開発プラットフォームだけでは、イノベーションを起こすことはできません。
実際、業務に携わる方々の「ナレッジ:知の共有」が結びついて、新しいモノを生み出す過程で FileMaker は使われています。今回のインタビューにご対応頂いた平山さんも、まさにお客様との知の共有を実現されて新しいアプリを生み出されたのだと思います。
この「FileMaker選手権」にご参加頂く皆様が、周囲の問題点を拾い集めたり、在宅勤務で発生した非効率な課題を解決したりするためのヒアリングを組織内で行うことも、価値があると思います。また、応募作品のつなぎ合わせにより、イノベーションが生まれる可能性も大いにあります。
FileMaker は、皆様が新しいことに挑戦するための道具に過ぎません。それでも、その道具は最初にどんな形か決めなくても良い道具で、後で形を変えられるものです。そして、「そんなこと どうせ無理」とは誰にも言わせない魔法の道具だと思います。
Claris 社のミッションは、パワフルなテクノロジーを全ての人へ… です。私達は、課題解決に取り組み、ナレッジ、知と知を結びつけ、イノベーションを起こす人たちを「FileMaker選手権」を通じて応援します。
(※1)15分トレーニング…… Claris のエンジニアがリモートで実施するトレーニング。自分で作成したカスタム App の画面を共有し自分で操作しながら、実現したいことやお悩みを相談して解決していくことができる
(※2)Claris コミュニティ…… Claris のサイト内に設けられているコミュニティ。主に開発に携わる人たちが情報交換をしている。多くの情報が集まっているので読むだけでも役に立ち、わからないことを質問すれば知っている人が答えてくれる
(※3)GIGA スクール構想……文部科学省が進めている、全国の小中学校に児童生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する5年間の計画
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