昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もあり、ビジネスの世界にもオンラインコミュニケーションが浸透してきている。ビジネスの重要な施策となっていたセミナーやイベントも対面形式での開催が難しくなり、オンラインで展開するWebイベント、いわゆるウェビナーに代替されるようになった。ウィズコロナ/アフターコロナの時代が継続すると予測されている現在、営業・マーケティングのデジタル変革を推進しなければ、これからのビジネスを勝ち抜くことはできない。

2020年9月17日にウェビナー開催されたマイナビニュース スペシャルセミナー「Digital Marketing Days:[BtoB] 営業スタイル変革の第一歩を」では、BtoBビジネスで先進的な取り組みを勧める企業にフォーカスし、営業・マーケティング分野におけるデジタル施策についての講演が展開された。
本稿では「アドビ株式会社に学ぶBtoBウェビナー ~集客、リード管理まで~」と題したセッションの内容をリポートする。

ウィズコロナの時代に、アドビBtoBチームが期待するウェビナーの役割

セッションに登壇したのは、株式会社ネクプロ コミュニケーションデザイナー 増田 大介氏、アドビ株式会社 マーケティング本部 デジタルメディア ビジネスマーケティング Document Cloud 法人マーケティング マーケティングマネージャー 加藤 正充氏、株式会社 マイナビ出版 『Web Designing』編集長 岡 謙治氏の3名。Webデザイン専門誌の編集長として最新のWebマーケティングにも詳しい岡氏がインタビュアーとなり、アドビ株式会社(以下、アドビ)の加藤氏に、同社のBtoBマーケティングチームにおけるウェビナー活用のポイントについて話を伺った。

  • 株式会社ネクプロ コミュニケーションデザイナー 増田 大介氏

    株式会社ネクプロ
    コミュニケーションデザイナー
    増田 大介氏

  • 株式会社 マイナビ出版 『Web Designing』編集長 岡 謙治氏

    株式会社 マイナビ出版
    『Web Designing』編集長
    岡 謙治氏

アドビのBtoB事業では、株式会社ネクプロが提供するセミナー・イベントの開催・管理プラットフォーム「ネクプロ」を利用し、ウェビナーを活用したマーケティング活動を展開している。加藤氏はBtoBチームに所属し、文書の電子化、業務効率化を実現して企業活動をサポートするドキュメント製品「Adobe Document Cloud」のマーケティングを統括。2019年の秋頃から、マーケティングのデジタル施策としてウェビナーを活用している。

  • 法人向け各種アドビオンラインセミナー

いわゆるコロナ禍への対応策としてウェビナーの利用を始めた企業は多いが、アドビのBtoBマーケティングチームでも、これまではリアルのセミナー・イベントを中心に活動してきた。

加藤氏は、ウェビナーをトライアル的に導入した際、リアルのセミナーと比べて遠方からの参加者が増加し、参加者から「より気軽に参加できてうれしい」という反応をいただくなど、大きな手応えを感じたと話す。コロナ禍への対応策というだけでなく、ウェビナーならではのメリットを実感した加藤氏は段階的にウェビナーへの移行を進め、現在ではほぼ100%ウェビナーに切り替えて活用しているという。加藤氏は、大企業向けのBtoBマーケティング活動にウェビナーを活用して実感したポイントをこう語る。

アドビ株式会社 マーケティング本部 デジタルメディア ビジネスマーケティング<br>Document Cloud 法人マーケティング マーケティングマネージャー 加藤 正充氏

アドビ株式会社
マーケティング本部 デジタルメディア ビジネスマーケティング
Document Cloud 法人マーケティング
マーケティングマネージャー
加藤 正充氏

「BtoBのマーケティングでは、ウェビナーに参加いただきリードを獲得してから、実際に導入していただくまでの期間が非常に長いと感じました。個人や小規模事業者であれば、一度ウェビナーに参加していただき、トライアルなどを通じて導入を決定されるケースも多く、次への決断が早い。それに対して大企業では、ウェビナーに参加して導入するまでに、上司への提案やIT部門への利用許可などさまざまなプロセスを踏む必要があり、実際に導入することになれば役員から予算の承認を得なければなりません。このため、半年や、場合によっては年単位のナーチャリング活動が必要になります。そこで、一度ではなく何度でも参加しただけるウェビナーの特徴が活きてきます」

リアルセミナーと比較してウェビナーの参加者の傾向に変化はあったか、という問いかけに対し、加藤氏はこう答えた。

「ウェビナー開催のメリットの1つは、遠方の方でも容易に参加できるところにあり、実際、ウェビナー参加者の情報からもそうした傾向が表れています。リアルのセミナーを開催する際は、遠方からの参加者には出張という形で本来業務を行う時間を割いていただいていましたが、オンラインのウェビナーに切り替えたことで、極端な話、お昼の休み時間を使って気軽に参加していただけるようになりました」

移動時間も貴重な業務時間であり、会社や自宅でURLをクリックするだけで参加できるウェビナーは業務の効率化を図るうえでも有効だという。ムダな時間を費やすことなく最新のビジネス情報が得られるウェビナーには、リアルのセミナー・イベントにはないメリットがあると語った。

  • アドビオンラインセミナーへの関心の高まりを実感

多数のウェビナーを開催したことで得られた運営・集客・情報収集の勘所

セッションでは、アドビのBtoBマーケティングチームが、数多くのウェビナーを開催したことで得た知見についても語られた。まず、ウェビナーの開催時間については、参加者の傾向をもとに試行錯誤した結果、12:00~13:00の昼時間帯を基本としたという。

「午前中や夕方など、さまざまな時間帯に開催してみましたが、昼休みの時間帯が日本企業の方がもっとも参加しやすいという感触を得ました。業務時間に参加する場合は、上司に許可を取る必要があったり、参加後にレポート提出を求められるケースも多かったり、参加ハードルが高くなります。昼時間帯のウェビナーならば、業務時間への負担もなく有益な情報を得られるため、参加者が増加する傾向が見られました」

ウェビナーの長さについても参加者の傾向を分析し、1時間程度がベストと判断したと加藤氏。90分、120分と長くなるほど離脱率が高くなり、参加者の負担が大きくなることがわかったと話す。

加藤氏は、ウェビナー開催を準備する際、コンテンツ開発の部分にもっとも時間をかけているという。

「スピーカーが一方的に話すだけのウェビナーにはしないようにしています。そのために、スピーカーの表情をワイプで映したり、チャット機能で質問を受け付けインタラクティブなウェビナーにするような工夫を施しています。質問に対しては、時間が許す限り直接スピーカーのほうから応えられるような構成にして、コミュニケーションの活性化を図るといった演出で、他のウェビナーとの差別化を心がけています」

また、ウェビナーへの集客方法としては、既存の顧客に月2回、BtoBのセミナーメールを配信している。「配信するメールには、アドビ製品に関するさまざまなウェビナー情報が網羅されており、それを見るだけでお客様は必要な情報にアクセスできます」と加藤氏。実際、集客メールの配信を開始したことで、各ウェビナーの参加者は大幅に増加しており、ウェビナーの需要が高いことを実感できたという。

アドビのBtoBマーケティングチームでは、ウェビナー前後に実施するアンケートの作成にも力を入れている。事前アンケートでは、参加が想定されるユーザーの属性や関心を収集し、営業担当に伝えて適切なフォローが行えるような項目を用意。事後アンケートでは、参加者の課題感など、適切なフォローを行うために必要な質問を中心に実施しているという。マーケティングチームが継続的に行うナーチャリングや、集客メール、次回のウェビナーといったコンテンツを作る材料としても、事後アンケートは重要な役割を担っていると加藤氏は語った。

ネクプロを採用したことで、レポーティングやリードマネジメントを強化

効果的なウェビナーを開催するための情報を収集・分析したり、事前・事後アンケートを実施してフォロー活動につなげたりといったアドビのBtoBマーケティングチームの取り組みには、ウェビナーツールである「ネクプロ」の採用が不可欠だったという。

ウェビナーの開催中は参加者の離脱状況をネクプロの管理画面からチェックし「休憩時間に離脱者が増加する」「長時間のウェビナーでは後半の離脱者が増える」といった傾向を分析。アンケートの分析にも、回答内容を瞬時にビジュアル化するネクプロのレポート機能を活用している。

「関係者に必要な情報を見やすくして展開できるのが、ネクプロのレポート機能の大きなメリットです。すべてのデータが入ったExcelデータを渡してもなかなか見てもらえませんが、必要な部分をビジュアル化したレポートならば、時間がなくても確認してもらえます。営業担当者など社内の関係者とのコミュニケーションを活性化する手段としても、ネクプロのレポート機能は重要な役割を担っています」

ネクプロを採用したことで、レポーティングのスピードは飛躍的に向上。ウェビナーが配信される当日中にレポートを提供できるようになり、ウェビナーの翌日からでもフォロー活動を行いたいという営業担当者の要求にも応えられるようになったという。

「実際、アンケートの回答には『詳細を伺いたい』『早期のミーティング希望』といったリクエストもあり、それを営業担当者が1週間後のレポートで知ったのでは遅すぎます。機会損失を防ぐ意味でも、ネクプロが実現するレポーティングのスピード感は大きなメリットといえます」

アドビのBtoBマーケティングチームでは、以前よりリードのマネジメントを適正化したいという課題を抱えており、詳細な参加者情報を抽出・管理できるネクプロの管理プラットフォームは最適な選択肢といえた。アドビのマーケティング活動全体を管理しているCRMとの連携もスムーズに行え、適切なリードマネジメントを実現できることが採用の決め手になったと加藤氏は振り返る。

「ウェビナーツールに関しては、グローバルでは別のツールが採用されているのですが、運営が容易で利便性が高く、リードマネジメントにも効果的なネクプロのプラットフォームが、BtoBのマーケティング活動によりマッチすると考え、採用を決定しました」

加藤氏は、アドビの製品を一度のウェビナーで理解してもらうことは難しいと考えており、PDF資料やアーカイブ動画を提供することで、ウェビナーに参加した後で情報に触れてもらえるような施策を実施している。それに加えて、ネクプロのライブラリ機能を活用して「動画セミナー」を作成。過去のセミナー情報をカテゴリ分けし、ユーザーが関心のあるテーマに応じてセミナーを選択することで、いつでもウェビナーに参加できる環境を構築しているという。

リアルセミナーとウェビナーの併用で、アフターコロナ時代のマーケティングを展開

アドビのBtoBマーケティングチームでは今後もウェビナーの持つ可能性を模索し、コロナ禍が終息したアフターコロナ/ポストコロナの時代に、ウェビナーがどのような役割を担うのかを注視していくという。

「コロナ禍が終息した後には、リアルのセミナー開催も増やしていくと思います。ただ、それでウェビナー開催をゼロにするのではなく、リアルなセミナーのメリットとウェビナーのメリットを有効活用してマーケティング活動を展開できればと考えています」

これからも、ウェビナーを通じて企業が求めるビジネス情報を提供していきたいと加藤氏。リアルのセミナーが復活した後でも、ネクプロのプラットフォームを利用し、参加しやすく必要な情報を得やすいウェビナーのメリットを活かしたマーケティングを継続していきたいと語り、セッションを締めくくった。

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