新型コロナウイルスの流行を受け、今後テレワークとオフィスのハイブリッドな働き方がこれから求められていくだろう。こういった環境に向けて、セキュアで高パフォーマンスなインフラ、それぞれの環境の集中管理や認証基盤の統合を図ることができるソリューションがいま求められている。8月4日に開催されたWebセミナー「在宅ワーク成功の手引き ― 業績アップに向けた対策とツール」では、在宅でも業務を継続するためのポイントや効果的な対策について数々のセッションで解説。
本稿では、フォーティネットジャパン マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャー山田 麻紀子氏と図研ネットウエイブ 営業本部 営業推進部 吉岡 大貴氏の2社によるセッション「ハイブリッドな働き方を支える新しい情報基盤とは」についてお届けする。
ハイブリッドな働き方とテレワークで求められるシステム
はじめに登壇した山田氏は「働き方改革」と「新しい生活様式」について言及する。
日本において、新しい働き方を目指す「働き方改革」が唱えられたのは2019年4月。もともとは労働時間の削減に焦点を当てており、大企業に対する「時間外労働上限規制」から始まり、2020年4月には中小企業にもこの規制が適用された。しかし、新型コロナウイルスの流行により世相は一変する。「新しい生活様式」が求められることになり、新しい働き方として「テレワーク」が大きく浸透したのが現在の状況だ。
山田氏は、日本CFO協会の「新型コロナウイルスによる日本企業の経理財務業務への影響」についての調査結果を上げ「CFO協会会員の70%が自社でテレワークへの取り組みを進めていると回答している」と説明。さらに平常時においても45%がテレワークを「ぜひ導入すべき」、30%が「導入すべき」と答えていることを挙げ「緊急時のみならず平常時におけるテレワークの需要も高まりを見せている」と話す。
この結果を受け、山田氏は「『緊急時の働き方がテレワーク』ではなく『平常時においてもテレワーク』。それに加えて実際のオフィスやビジネスシーンでの勤務がハイブリッドで行われることが、これからの働き方として求められているというのが読み取れるかと思います」とまとめた。
では、実際にテレワークを実施する際の課題とは何か。山田氏は東京商工会議所の調査結果を引用し、テレワークを実施する際の3つの課題として「社内体制の未整備」「パソコンやスマホ、ネットワーク環境の未整備」「セキュリティ対策の未整備」があると述べる。
そして、テレワークシステムに必要となるコンポーネントとして大きく4つを上げる。1つ目はメールやチャット、電話、Web会議などのコミュニケーションツール。2つ目は端末環境、ネットワーク環境、セキュリティなどのインフラシステム。3つ目はMicrosoft 365やG Suiteなどのオフィススイート。4つ目は労務管理や人事評価など、システム以外の整備だ。
山田氏は「システム面だけでなく、こういったソフト面の定義も非常に重要なってきますので、組織・企業は両輪で検討を進める必要があると思います」と述べる。
コロナ禍で増加するサイバー攻撃
続いて山田氏は「テレワーク拡充で狙われるWeb会議ツールの脆弱性と対策」について話を進める。山田氏はテレワークの浸透によってZoomやMicrosoft Teamsなどのクラウド型チャットツールを導入した企業が多いことについて触れ、IPA(情報処理推進機構)が2020年7月に公表したWeb会議サービスに関するセキュリティ上の注意喚起を紹介する。
Web会議ツールを利用している企業、そしてこれから利用する企業に向け「ぜひこちらに目を通していただきたい」と促すとともに、できるだけ最新のバージョンにアップデートし、脆弱性などを含まない運用するよう勧める。
さらに「災害が起こったり感染症などが流行したりしますと、サイバー攻撃者は必ずと言っていいほど“便乗”します」と言及し、新型コロナウイルス流行に便乗したサイバー攻撃について山田氏は言及する。
フォーティネットの脅威研究機関である「FortiGuard Labs」による調査では、すでに悪意のあるメールを多数の確認しており、現在は政府機関や報道機関などの信頼できる情報源を装ったメールによる攻撃が多いという。テレワークを拡充するためには、このような便乗犯からの攻撃を防ぐ必要があると述べ、フォーティネットのソリューションを活用した有効なセキュリティ対策として4つを上げる。
1つ目はFortiGateでの定期的なAVおよびIPSのシグネチャ更新による「ネットワークセキュリティ対策」。2つ目はFortiMailおよびFortiSandboxによる「メールセキュリティ対策/ゼロデイ攻撃対策」。3つ目はFortiClient/FortiEDRによる「エンドポイントセキュリティ対策」。そして4つ目は「セキュリティ対策のトレーニング」だ。
ハイブリッドな働き方を支えるテレワークソリューション
ここから山田氏は、ハイブリッドな働き方とネットワーク・セキュリティを実現するための具体的な話として「フォーティネットテレワークソリューション」の紹介を始める。はじめに「将来のワークスタイルをどのような形にするかによって、最適なシステム・インフラは異なります」と話し、3パターンのワークスタイルが提示された。
1つ目は、オフィスを最小化し、SaaSの利用を中心とし、インフラについてもIaaSを使っていく「全面モバイルワーク」。このパターンではSASE(Secure Access Service Edge)を検討すべきと語る。
2つ目は労務管理の改定や生産性管理を行う「半分在宅」、3つ目は現行制度の調整で実現できる「通勤+サテライト」だ。すでにインフラが存在し、既存の人事・労務制度がある多くの企業では、これらのパターンを選択せざるを得ないだろう。このような環境の場合は、「エッジ+クラウド+データセンターのハイブリッド」の検討が現実的と話す。
フォーティネットは「テレワークと一言で言ってもユーザー定義が分かれる」と考えているという。事務職・営業職・サービス職など従業員の90%に該当する「テレワーカー」、8%に該当するシステムエンジニアをはじめとした「パワーユーザー」、2%に該当するエグゼクティブやシステム管理者などの「スーパーユーザー」の3つだ。
フォーティネットはテレワーカー向けのソリューションとしては、LDAPやADといった認証基盤を連携することを前提に、ID/パスワードの認証にワンタイムパスワード「FortiToken」を加え、二要素認証を行うことでセキュアなVPN接続を提案。「FortiToken」は「FortiTokenMobile」というスマホアプリでも扱えるため、企業が貸与しているスマホにインストールするだけですぐに始められるという。
常時ネットワークに接続して開発を進めるであろうパワーユーザー向けソリューションでは、無線LANアクセスポイント「FortiAP」をテレワーク環境に置き、複数のデバイスをセキュアにVPN接続することを提案。またこれによって家庭で利用する無線LAN環境との切り分けが可能になると話す。
機密情報を取り扱い、トラフィックも多くなるスーパーユーザー向けソリューションとしては、次世代ファイアウォール「FortiGate」もしくはアクセスポイント機能内蔵の次世代ファイアウォール「FortiWiFi」を自宅に設置することを提案。セッション数の多い通信に関しては直接インターネットに接続し、それ以外の通信は会社を経由させることで快適な環境を作れると語る。
センター側のシステムにおけるフォーティネットのソリューションについて紹介が行われたのち「セキュアSD-WAN」の利点について解説が行われた。
山田氏は「salesforceやMicrosoft 365といったクラウドサービス、OSのアップデートのようなセッション数の多いトラフィックはオフィスであってもテレワークであっても発生します。SD-WANを使ってルーティングすることで、専用線でデータセンターにつなぎつつ、セッション数の多いものはインターネット回線を介することで、ユーザーは快適に利用することが可能です」と述べ、ハイブリッドな働き方をするためにはパフォーマンスも意識することも重要であると説明。「FortiGate」上で機能を有効化することでセキュアにSDーWANを利用できると話した。
加えて、テレワークにおける安定した高速インターネット接続の重要性について言及し、IPv6への対応を加味して考えることを提案。さらに認証基盤について簡単に触れ、既存の認証基盤との統合やSAML連携によるシングルサインオンができるソリューションを選ぶ必要があると説明するとともに、スマホを利用した二要素連携によるセキュリティレベル向上について話した。
「フォーティネットは米国にあるネットワークセキュリティの会社です。セキュリティやパフォーマンス、ソリューションの幅広さという点については自信を持っていますし、採用数も非常に増えています。セキュアSD-WANについてはキャリアさまにも採用されておりますので、安心してご検討いただけるかと思います」
長年に渡りフォーティネット製品の実績を多く持つ図研ネットウエイブ
山田氏が紹介した「フォーティネットテレワークソリューション」の販売元となるのが、図研ネットウエイブだ。吉岡 大貴氏は、同社の事業内容として、フォーティネットを中心としたネットワークセキュリティソリューション、デル・テクノロジーズを中心としたサーバ/ストレージソリューション、VERINTを中心とした状況認識プラットフォーム・自動化ソリューションがあると述べる。
なかでもフォーティネット製品取り扱いの歴史は長く、今年で19年目を迎えると説明。さらに、多くのフォーティネット認定資格を持つ技術員による手厚いサポートをアピールするとともに、フォーティネット製品による実際の構成例について解説を行った。
吉岡氏は、同社が取り扱うフォーティネット製品では、標準保守として「標準センドバッグサービス」「最新ファームウェア提供」「テクニカルサポート」を提供しており、また保守オプションとして「先出センドバックサービス」「通常オンサイトサービス」「24時間オンサイトサービス」を用意していることを説明。
「フォーティネット製品をご用命の際は弊社までご連絡いただければと思います」と吉岡氏はアピールし、講演を締めくくった。
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