新型コロナウイルス流行の影響を受けた緊急事態宣言が解除され、外出自粛の段階的緩和が進むにつれ、企業の働き方も徐々に通常勤務に戻り始めている。だが、コロナ禍によって今までとは違う働き方の模索も広がってきている。企業側が在宅勤務の利点を把握し、従業員側は在宅勤務をその身で体験したため「できるところはリモートでやりましょう」という風潮が醸成されてきている。
もともとリモートワークの多かった営業のような部署以外にも、意識改革の波は押し寄せている。3D-CADを取り扱うようなエンジニアやデザイナーも今後は在宅勤務を行える環境が必要となるだろう。
そこで本稿では、シーメンスの「Solid Edge」を在宅で使用する方法について考えてみたい。
在宅で「Solid Edge」を使うには?
いざ在宅で3D-CADなどを利用した仕事を行おうとすると、さまざまな制限がある。なかでも多いのは「業務用PCの持ち帰りが許可されていない」というケースだろう。この場合、個人が所有するローカルPCを利用して仕事を行うことになる。だが「Solid Edge」のようなソフトを個人で購入するのは現実的とはいえない。
では、在宅勤務でSolid Edgeを利用するにはどうしたらよいのだろうか。いくつかの利用パターンを見てみよう。
1つ目に考えられるのが、VPNを経由したリモートデスクトップ方式だ。会社内にあるPCをそのまま遠隔操作するため、最も確実な方法といえる。一方でインターネット回線の常時接続が必須になることと、多量のデータをやり取りする3D-CADの作業では回線の太さが業務効率に大きく影響することがVDIの問題点といえる。
このようにネットワークインフラに影響される環境であるがゆえ、Solid Edgeはこのような使い方を積極的に推奨してはいないのだが、新型コロナウイルスの流行という未曽有の危機に際した特別措置として「COVID-19特例ライセンス」を発行しており、申請することでリモートデスクトップでの利用が可能になる。このライセンスは期間限定となっており期限は1カ月間だが、2020年6月の時点では毎月更新されており、引き続き利用可能となっている。
2つ目の手段は、Solid Edgeが持つ「フローティングライセンス」という仕組みを活用すること。VPNで会社のライセンスサーバーに接続し、ローカルPCにインストールしたSolid Edgeを動かすという仕組みだ。 ライセンス認証のみ外部で行うため、十分なスペックを持ったローカルPCがあれば高いパフォーマンスを得ることができる。
3つ目は、通常のソフトウェア同様に、ノードロックライセンスを割り当てること。Solid Edgeのライセンスは会社で管理できるため、ライセンス管理者に依頼して自宅のローカルPCを登録し、ライセンスを認証すれば何の問題もなく動作する。
4つ目は、クラウドライセンスを使用すること。クラウド上にライセンスを置き、会社のライセンス管理者が利用者を登録することで、インターネットがつながればライセンス取得が可能になる。
リモートデスクトップ以外の方法では、自宅のPCにSolid Edgeをインストールして利用する。会社で利用している高スペックのワークステーションでの作業には及ばないかもしれないが、もともとWindows PCでのパフォーマンスを追求してきたSolid Edgeであるので、相当の業務効率は確保できる。
仕事用のデータを自宅で使うには?
在宅勤務でのもう1つの課題が、仕事用のデータの取り扱いだ。Solid Edgeで取り扱う設計データの多くは機密データであるため、情報漏洩の防止、営業秘密の保護には気を配る必要があるだろう。在宅勤務で仕事用のデータを利用するためのパターンも併せてチェックしてみたい。
1.会社のサーバーに直接接続する
VPN経由で会社のサーバーに直接接続する方法。高いセキュリティを維持できるのはもちろんのこと、サーバー上にあるファイルを直接編集するため、データの同一性、整合性も保ちやすい。アクセス環境が整っていればもっとも確実。
2.メディアに入れて持ち出す
会社のサーバーからデータをフラッシュメディアや磁気ディスク、光学メディアなどの外部ストレージにコピーし、自宅のローカルPCで利用する方法。直観的で手っ取り早いが、セキュリティ面で大きな問題があり、オリジナルデータとの整合性も保ちにくい。可能であれば避けたい。
3.Teamcenterから持ち出す
シーメンスのPLMソフトウェア「Teamcenter」を利用する方法。VPN経由で会社のTeamcenterサーバーに接続すれば、オフィスにいるのと変わらずに作業できる。あるいは、一時的にデータを持ち出すとコピーが使われているというフラグが立つ「ブリーフケース機能」を利用すれば、Teamcenterに常時接続しなくてもデータの整合性を保ちながらデータを持ち出せる。もちろんオリジナルのデータを他人が上書きしてしまうことのない「排他処理」も万全で、セキュリティの面でもデータの保全という意味でも安心できる。
4.Solid Edge Portalを活用する
シーメンスが提供しているセキュアなクラウドストレージ「Solid Edge Portal」を活用する方法。ファイルをSolid Edge Portal上にアップロードし、自宅のローカルPCからアクセスする。データの整合性を確保するという点ではある程度の注意は必要だが、無償で5GBまで利用でき、ファイルの閲覧まで可能な点は大きなメリットといえる。なお、2020年夏ごろにはさらに強力なクラウドコラボ環境をリリースする予定があるという。
遠隔でデザインレビュー(DR)
設計開発という業務を効率的に進めるためにはデジタル技術を活用したデザインレビュー(以下、DR)は必須だ。だが在宅勤務下となると会社にいるメンバーが限られるので、全員で集まるのは難しい。DRを遠隔で行う方法も併せて考えなければならないだろう。
離れた事業所間でのDRを実施するには、従来は会社が用意した「専用回線」が必須だった。しかし、社会ネットワークインフラの整備が進み、さらにコロナ禍によって遠隔会議ツールは飛躍的に普及した。それに伴い、機能も大きく改善されている。代表的な「Zoom」や「Teams」、「Webex」といったツールでは、どこからアクセスしてもレスポンスに問題はなく、録画による記録も可能だ。
遠隔会議ツールを安く使えるようになり、誰でも気軽に遠隔DRが可能になった。これらを有効に活用すれば、新しいスタイルでの協調設計も可能となるだろう。
たとえば遠隔会議ツールでSolid Edgeの画面を共有しつつ音声チャットを行い、各自がSolid Edge Portalのマークアップ機能で記入していけば、DRと同時にコメント入りの図面が出来上がる。場合によっては会議室で行うよりも高い実用性で行えるのではないだろうか。
在宅勤務中の今こそトライアル版を体験!
緊急事態宣言が解除されたものの、いわゆるNew Normalの実際の姿を模索している企業が多いのが実態ではないだろうか。在宅勤務を続けている企業や、在宅勤務を公式な制度とした企業も増えている。
幸い、Solid Edgeには30日間無料で使えるトライアル版が用意されている。サブスクリプションでスモールスタートも可能なほか、スタートアップ企業には最上位グレード「Premium」を1年間無償で利用できるプログラムも実施している。
社会人だけでなく、学生や教育機関にもぜひ積極的に使ってほしい。シーメンスは無償の「学生版Solid Edge」を用意しており、小学校の児童、中学校や高校、大学など、難易度別のチュートリアルも取り揃えている。きっとSTEM教育の一助となるはずだ。
コロナ禍前後で、働き方や考え方は大きく変わっていくだろう。そんな今だからこそ、在宅勤務で Solid Edgeを試してみてほしい。
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