各国のインターネットエンジニアやネットワークエンジニア、ビジネスリーダーなどが一堂に会して繰り広げる国際イベント「APRICOT 2020」が、2月12日から21日にかけてオーストラリアのメルボルンで開催された。オセアニア地域では初の同イベント開催となった今年、日本からはアット東京とJPIXが展示コーナーに出展したほか、各種セッションには多数の日本企業が聴講・参加した。
オセアニアでの初開催に向けた期待
2016年から毎年出展を続け今年4回目の参加となるアット東京だが、今回の「APRICOT 2020」に向けた期待について、同社 企画室 事業企画部長の大西 雅之 氏は次のように語る。
「アジア地域のICT・ISP事業者の方々とは、これまでも様々なイベントなどで会う機会が多くありましたが、オーストラリアの事業者の方と話をする機会はあまりありませんでした。それがこの会場で直接交流できるので、地域ごとの事情について話が聞けるなど、得るものが大きいと考えています。」(大西 氏)
APPRICOTはこれまでも、アジア諸国を巡りながら毎年開催してきた。同展示会は、世界中から集ったインターネット事業者、コンテンツプロバイダーの人々と情報交換できる絶好の機会となっているという。
「ここ数年、データセンター(DC)事業者のビジネスは大きく変化しており、従来のように設備に重点を置くだけでなく、クラウドやインターネットサービスとの接続性にも力を入れるようになっています。そのためインターネット事業者や大手コンテンツプロバイダーの方々と直接の交流の場となるこうしたイベントは、我々にとって重要度がいっそう高まっているのです。」(大西 氏)
顧客とクラウド事業者の期待に応え、Microsoft Azureとの接続を発表
アット東京は接続性の追求において他のDC事業者の追随を許さない。その動向の一環として、同社は東京都内の中央データセンター(CC1)内に「Microsoft Azure ExpressRoute」接続拠点を開設する、と発表した。
この接続拠点を利用したダイレクト接続サービス「プレミアムコネクト for Azure」や、DC内の相互接続プラットフォーム「ATBeX(AT TOKYO Business eXchange)」を介した接続サービス「ATBeX ServiceLink for Azure」の提供をしていくという。
CC1は、東京で2番目のAzureの接続拠点となる。これによりアット東京のDC利用者は、通信コストの削減に加え、構内環境で直接接続が可能となることから、Azureへのセキュアで安定したアクセスを得ることができるだろう。
新サービスの提供開始について、大西 氏は次のようにコメントする。
「当社DCではこれまでも、Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud™、IBM Cloudとのダイレクト接続拠点を設置してきました。近年ではMicrosoft Auzre(Azure)に対するニーズがお客様の間で高まっていると感じており、ダイレクト接続を求める声も増え続けています。まずはそうした期待に応えることで、お客様にさらなる可用性と冗長性を提供することができると考えています。」(大西 氏)
拠点開設の要望の声は、クラウド事業者側からもアット東京へ届くという。
「そうした本音を事業者様側から直接聞かせてくれるというのも、APPRICOTのような場を通じて日々各社様とパートナーシップを築いている成果だと自負しています。」(大西 氏)
「止まらない」を当たり前にするための可用性と冗長性を提供していく
現在準備中であるアット東京の「Microsoft Azure ExpressRoute」。接続拠点を利用する2つのサービスのうち、「プレミアムコネクト for Azure」は、アット東京DC内に設置された顧客ラックと「Azure ExpressRoute」の接続ポイントを光ファイバーケーブルで直接接続するサービスであり、10Gbpsまたは100Gbpsの物理ポートの占有利用が可能となるという。
もう1つの「ATBeX ServiceLink for Azure」は、アット東京が運営するデジタルビジネス・マルチプラットフォームサービスの「ATBeX」を経由して、顧客ラックから「Microsoft Azure ExpressRoute」に接続するサービスだ。ATBeXの利用者は、Microsoft Azureはもちろんのこと、アット東京のDC内で展開されている各種クラウドサービスの利用、企業システム間の相互連携など、多様化するプラットフォームを柔軟かつ効率的につなげることができるという。
「ATBeXでは”クラウド接続のプラットフォーム”という色合いを打ち出しています。加えて、我々としてはクラウドに限らず、多種多様なサービスを接続し合えるようなプラットフォームとなるようサービスを育てていきたいと考えています。そのためにも、例えば時刻同期サービスなど、一見すると地味かもしれませんが "連携に欠かせないサービス" を提供しています。今後もそうしたサービスをコツコツと増やしていく予定です。」(大西 氏)
大西 氏はこう語り、つづけてこれら新サービスの提供を受けて今後の抱負を力強く語った。
「ベンダーの縛りがない中立性が当社の大きな特徴です。この特徴を活かして、あらゆるサービスを自由に使える "場" を提供していきたいですね。企業の業務の中枢部にまでクラウドが浸透したいま、サービスが止まるようなことは絶対に許されないと受け止めています。止まらないことは当然として、そこに可用性も冗長性ももたせることが、我々の使命なのです。」(大西 氏)
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アット東京では、この4月に大阪に新たなDCを開設予定だ。「ATBeX大阪ゾーン」も新設するなど、関東エリアと関西エリアを跨いだ物理冗長化にも力を入れている。
「日本のDCサービス事業者として、東京だけでなく大阪の拠点からもMicrosoft Azure等の外部サービス接続を提供できるようになったことで、"あらゆるサービスを自由に使えるプラットフォーム事業者" としての新たな一歩を踏み出せたと認識しています。」こう大西 氏は語り、インタビューを締めくくった。
オーストラリア・メルボルン「APRICOT 2020」取材記
【前編】
本記事
【後編】
会場インタビュー。アット東京の "愛妻家熱血営業マン" にみる、本当の働きがい
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