3Dプリンタは製造業に革命をもたらした。だが、現在使用している3Dプリンタではかゆいところに手が届かないと感じている方も少なくないだろう。そんな製造業の課題解決に尽力しているのが、3Dプリンタメーカの「Formlabs」だ。
Formlabsは昨年9月、3Dプリンタの最新機種「Form 3」の日本発売を正式に発表し、大きな話題を呼んだ。Formlabsの3Dプリンタと材料にはさまざまな特徴があるが、製造業にどのようなメリットを与えてくれるのだろうか。製造業のよくある悩みをもとに紐解いていこう。
試作サイクルの加速化とコストカットができるレジンとは…
製造業に携わる皆さんは、試作を繰り返して製品の完成度を上げるという作業を毎日のように繰り返していると思う。だが、製品ライフサイクルが短期化している昨今、リードタイムをより短縮したいと考えるプロダクトマネージャは多いのではないだろうか。
すでに3Dプリンタを利用して試作品を内製しているメーカでも、3Dプリントを終えるまでのリードタイムは実質1営業日程度を必要とすることが多い。もちろん、やり直しが発生すればさらに長引くはず。まだ3Dプリンタを導入しておらず、試作を外部委託している場合ではさらに時間がかかり、早くても3~4日、遅ければ1~2週間を要することもあるだろう。
Formlabsは、このような製造業のプロトタイプ製作におけるリードタイム解消のために、「Form 3」発売に合わせて新たなレジン(樹脂)を投入した。それが「Draft Resin」だ。
スタンダードレジンより約4倍高速でプリントできる「Draft Resin」
Draft Resinは、これまで発売された他のレジンと比べて3~4倍ほど速く3Dプリントを終えることができる樹脂となる。300ミクロンの積層ピッチで造形でき、コンセプトを素早く具現化することが可能だ。
これまでのレジンでは、試作から検証までの工程を行う回数は1日に1回が限度だっただろう。だが「Form 3」とDraft Resinを使用することで、短時間に複数回のプリントが可能となり、同日に複数回のデザイン検証を実現できる。試作サイクルが加速すれば、納期面でもコスト面でも大きな効果が表れるだろう。
最終パーツさながらのプロトタイプで検証
3Dプリントを行う技術者にとって、プリントしたパーツが最終パーツに近いかは非常に重要な要素だ。実際にパーツとして機能させることができれば、形にするだけでなく“その先の使い方”の話ができる。
Formlabsは、Black/Clear/Grey/Whiteという4色のスタンダードレジンを用意している。だが、引っ張る力が必要な登山用具のカラビナのような部品や、摩耗していく歯車のような部品、熱源付近で使用される部品、直接人間の手が触れる箇所のやわらかい部品などは、スタンダードレジンでプリントしても満足のいく検証が行えない。
このような技術者のニーズに応えるべく、Formlabsはエンジニアリングレジンの種類を拡充し続けている。ここでは、現在Form 3で利用できる特殊な材料のレジンをピックアップして紹介する。
■引張弾性力の高い「Tough Resin」
ABSライクな特性を持つレジンで、強い圧迫や歪みに強い。組立品、機械、加工部品などのプロトタイピングに最適。
■衝撃強度の高い「Durable Resin」
ポリプロピレン(PP)や高密度ポリエチレン(HDPE)の特性を持つレジンで、高い伸張性や変形率、または耐衝撃性が求められる用途に最も適している。
■ゴムのように柔らかい「Flexible Resin」
ゴムライクな特性を持ち、耐衝撃性や圧縮性に優れたレジン。硬さは80Aデュロメータで、曲げたり、圧縮したり、柔らかな手触りが求められる用途で効果を発揮。
■もっとも柔らかい「Elastic Resin」
シリコンライクな特性を持つ、Formlabsのレジンの中で最も柔らかい。硬さは50Aデュロメータで、曲げ、伸び、圧縮などに耐える。
■荷重たわみ温度の高い「High Temp Resin」
熱変形温度(HDT)238度という高い温度への耐久性を誇るレジン。高温の空気や液体が流れるパーツ、環境試験など用途はさまざま。
「Form 3」と各種レジンを組み合わせ、少量多品種は自前で生産!
ここまでFormlabsの各種レジンを紹介してきたが、必ずしも単一素材で試作しなければならないわけではない。たとえば、Draft Resinで試作を開始し、そのプリントスピードを活かして素早くデザインを複数回検証する。その後、用途別にプロトタイプを作って検証、最終製品の金型を作って射出成型で生産するという流れで進めれば、製作・検証期間を短縮できるだけでなく、コストも大幅に抑えられるはずだ。
実際に現場では、ちょっとした限定パーツや修理パーツを生産したいが、そのために金型を作るのは採算が合わないといった悩みも多いだろう。
しかし、前述したHigh Temp Resinを利用して、プロトタイプではなく金型自体を作るという使い方であれば、少量多品種の生産に自前で対応可能となる。熱に強いとはいえ、あくまで樹脂なので大量生産には向かないが、限定版や受注生産品などの少量生産であれば十分に対応できるだろう。
ユーザの声を集めレジンを改良! サンプルも配布中
製造業の現場におけるリアルな悩みや課題を解決に導いてくれる「Form 3」。このような柔軟な対応が行える理由は、ユーザを第一に考えるFormlabsの企業文化にある。新しいレジンについても、現場ユーザからのフィードバックでどんどん改良していく予定ということなので、気兼ねなく声を寄せてほしい。
3Dプリンタ「Form 3」に続き、さらに大きなモデル「Form 3L」もこれから発売される。そして新しい種類のレジンについてもForm 3対応製品が増えていく予定。Formlabsの製品に触れたことがない方は、一度「Form 3」をはじめとした製品を体験してみてはいかがだろうか。
なお、FormlabsのWebページから、今回紹介したレジンのサンプルを取り寄せることも可能だ。「Form 2」や「Form 3」をご使用中の方、ご検討中の方は、ぜひサンプルを入手してレジンの性能を試してみてほしい。
[PR]提供:Formlabs