ハイブリッドクラウド環境で効率的なデータ管理を実現する2つの方法
あらゆるシーンでリアルタイムにデータが生成されるようになった現代において、データ管理の効率化は企業にとって喫緊のタスクといえる。デジタルトランスフォーメンション(DX)時代では、企業に蓄積された膨大なデータを適切に管理し、必要なデータにすばやくアクセスできる環境を構築する必要があるだろう。
本連載では、2019年12月10日に開催されたネットアップ主催イベント「NetApp INSIGHT 2019 TOKYO」の講演やブース展示の内容から、DX時代に求められるデータ活用を実現するテクノロジーやソリューションを確認する。第2回となる本稿では富士通のブースをチェック。クラウドを活用したデータマネジメントを実現するソリューションについて見ていきたい。
クラウドとの連携でオールフラッシュストレージの効果的な活用を実現
今回の富士通ブースでは「ハイブリッドクラウドでのデータマネジメント」と「クラウド活用によるファイルサーバのデータ削減」をテーマにパネル展示が行われていた。どちらもパブリッククラウドとオンプレミスのストレージ間でデータ連携を実現するもので、ブース中央には富士通のストレージ製品「ETERNUS NR1000A C190」が設置されていた。リーズナブルな価格でエンタープライズクラスの機能を利用できる同製品は、オールフラッシュストレージの実力を確認したい企業に最適なエントリーモデル。ストレージ専用OS「ONTAP」が搭載されておりクラウド連携も容易、ブースで展示されていたクラウド連携ソリューションの“コア”として機能する製品となる。
富士通株式会社 デジタルビジネス推進本部 サービス&プロダクトビジネス統括部 エンタプライズ商品企画部 秋岡 恭介氏は、展示されているソリューションに共通する特徴となるクラウド連携についてこう語る。
「低価格化は進んでいますが、それでもオールフラッシュストレージはまだ高価な製品。膨大な量のデータを保存するメディアとして使うのはコスト的に難しいのが現状です。そこで、頻繁にアクセスするデータはオンプレミスのオールフラッシュに、ほとんどアクセスしないデータはクラウドのオブジェクトストレージに保管するというのが効率的な手法となってきています」
秋岡氏は、こうしたクラウド連携を実現するソリューションとして、富士通のパブリッククラウドサービス「FUJITSU Cloud Service for OSS」とストレージ製品「ETERNUS NR1000 series」の組み合わせを提示した。その理由として、オールフラッシュストレージとクラウドを連携してひとつのデータプールとして扱い、アクセス頻度に応じてデータを自動階層化する「FabricPool」機能を挙げた。これはNR1000 seriesに採用されているONTAPの機能で、FUJITSU Cloud Service for OSSのストレージ(一部のリージョンに限る)を利用している場合はFabricPoolライセンスが無償。さらにFUJITSU Cloud Service for OSSはIN/OUT双方のネットワーク転送が無料なため、他のクラウドサービスと比べてコストをかけずに導入できるのもメリットとなる。
FabricPool機能を使えば、アクセス頻度の多い“ホットデータ”はNR1000 seriesに保存され、ほとんどアクセスしない“コールドデータ”はFUJITSU Cloud Service for OSSへと転送されるため、容量的な問題をクリアしながらオールフラッシュの性能を効果的に活用できると秋岡氏は言う。仮想化基盤やデータベースなどさまざまな用途で効果を発揮すると語った。
データ連携をはじめ、多様なニーズに対応するFUJITSU Cloud Service for OSSの実力
「ハイブリッドクラウドでのデータマネジメント」の展示ではFUJITSU Cloud Service for OSSがDXの実現を支援するサービスとして設計されていることが解説された。単一AZ(Availability Zone)での「SLA99.99%」保証など高い信頼性と可用性を実現し、あらゆるコンポーネントが冗長化されているほか、利用者ごとに使える帯域を制限することでストレージ性能の安定化にも成功している。また、24時間体制で富士通のセキュリティチームが監視したり、ISO/IEC 27017(クラウドサービスセキュリティ)をはじめとする公的認証・規格への対応など、セキュリティ対策も万全。さらにベアメタルサーバサービスも提供しており、高い処理能力が求められる基幹システムのクラウド移行もスムーズに行える。
前述したように、オンプレミス環境との連携、すなわちハイブリッドクラウドの構築を容易にする機能により、多種多様な企業のニーズに対応可能なパブリッククラウドサービスとなっている。担当者は「パブリッククラウドでは障害が発生した際の原因や対処方法などが利用者に提示されないケースも少なくありませんが、私たちのサービスでは原因や対応方法をお客様に明示しながら、スピーディに対処しています」と語り、富士通が持つシステム構築のノウハウを活かしたきめ細やかなサービスが、導入企業の信頼性を高めることに繋がっていることがわかる。クラウドへの移行に不安を感じている企業にとって、FUJITSU Cloud Service for OSSは見逃せない選択肢となるだろう。
ファイルサーバの容量不足をクラウドとの連携で解消
富士通ブースで展示されていたもうひとつのクラウド連携は「ファイルサーバ統合管理システム」と「Cloud Storage Gateway」の2つのソフトウェアを活用したソリューションとなる。これはオンプレミスのファイルサーバの容量不足に対応するもので、利用頻度の低いデータをクラウド上のオブジェクトストレージに退避させることで、ファイルサーバのスリム化を実現する。現在は仮想化基盤やデータベースなどさまざまな用途で活用されているETERNUS NR1000 seriesだが、もともとはファイルサーバ用途での利用がメイン。こちらの展示は、ETERNUS NR1000 seriesをファイルサーバとして活用しているユーザーにとって見逃せないものといえる。
「クラウド活用によるファイルサーバのデータ削減」の展示の担当者は、多くの企業が抱えるデータ管理の課題をファイルサーバ統合管理システムとCloud Storage Gatewayの組み合わせで解決できると語る。
「企業が扱うデータ量が増加したことで、ファイルサーバの容量が足りなくなるケースが増えてきています。とはいえ、オンプレからクラウドへの移行が進む状況でファイルサーバの増設に対して矢継ぎ早にGOサインを出す企業は多くありません。こうした課題に対応できるのが、今回紹介しているソリューションとなります」
ファイルサーバ統合管理システムが保有するファイルの特徴に合わせて不要なファイルを検出し、Cloud Storage Gatewayが重複排除で容量を削減しながらクラウドへと移行させると担当者。ファイルサーバ増設の半分ほどのコストで容量問題を解決できると話す。重複排除を行いながらデータを転送するため、ネットワークの負荷も気にならないレベルで運用できるという。クラウドに移行したファイルは、オンプレミスのファイルサーバにショートカットを作成。キャッシュ領域も用意され、クラウド上のファイルにアクセスする場合も利便性を損なうことはない。重複排除したあとのデータ量で課金する方式を採用しているため、低コストで利用できるのも大きなメリットといえる。
こうしたファイルサーバ統合管理システムの機能は不正アクセスの防止にも効果を発揮する。アクセス権が正しく設定されていない問題を解消し、退社した従業員のファイルから情報が漏えいするといったリスクを大幅に低減することができる。データの退避先となるオブジェクトストレージは、FUJITSU Cloud Service for OSSをはじめ主要なメガクラウドサービスに対応しており、プライベートクラウドでの運用も可能。現在の環境を変えることなく、ファイルサーバのスリム化を実現できると語ってくれた。
オンプレミスとクラウドの連携ソリューションがDXの効果を最大化する
繰り返しになるが、高性能ストレージとクラウドサービスはDXの実現に欠かせない要素である。今回のブースで展示されていたソリューションを活用すれば、ETERNUS NR1000 series(ストレージ)とFUJITSU Cloud Service for OSS(クラウド)の高度な連携を実現し企業のビジネスを成功へと導いていくはずだ。
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