2年に一度のクルマの祭典「東京モーターショー 2019」が、10月24日から12日間東京ビッグサイトで開催された。今年のテーマは"OPEN FUTURE"だ。AR技術を駆使したトヨタの2人乗りEVスポーツカー「e-RACER」や、史上最速の軽自動車を目指す日産の「IMk」など、未来的なコンセプトカーに注目が集まっている。
この盛大なショーを世界に発信するのは、国内外から集まる記者たちだ。会場内のプレスセンターから、最新情報を載せた記事や写真、動画ニュースが1分1秒ごとに各国へと送られていく。リッチ化するメディアには、優れたインフラが欠かせないが、東京モーターショーの情報発信はどのようにして支えられているのだろうか。本稿では、この 要となるプレスセンターにおけるネットワークの舞台裏を紹介する。
10,000人のレポーターが安全に使えるネットワークを
今回、プレスセンターは東京ビッグサイトの6階に設けられている。一般公開に先駆けた10月23日、24日のプレスデーには、記者やカメラマン、レポーター、ディレクターなどが常時数百人集まり、競ってニュースに必要なデータを送信していた。イベント期間中の報道関係者はのべ1万人を超えるという。
このネットワークを支える高性能セキュリティルーターは、ウォッチガードの「Firebox」だ。高いパフォーマンスとセキュリティ機能を一台に備えたUTMである。Fireboxの採用は今年が初めてではない。2007年から過去7回に渡って、東京モーターショーのプレスセンターで使われ続けており、主催者である日本自動車工業会からも高い信頼を得ている。
「ネットワーク環境へのニーズは年々変化している」と、プレスセンターのネットワーク構築を担当したコムネットシステム ICTソリューション事業部 係長 白柳翔大氏は言う。
「初めは何よりも回線が早いことが大事でした。やがてセキュリティが重要視されるようになり、今は『ネットワークの見える化』が求められるようになってきています。この点、Fireboxはスループット値を落とさずにセキュリティを高めることが可能で、さらに『WatchGuard Cloud』と連携することによってログ監視やレポーティングも容易にできるという、理想の製品なのです」(白柳氏)
文章から写真・動画とメディアがリッチ化するにつれ、プレスセンターのトラフィック量は毎回1.5倍のペースで増大している。この回線を支えるために用意されたのが、Fireboxの最上位モデルである「M5600」とミドルレンジ用の「M670」、バックアップ用の「M370」だ。M5600は最大60Gbpsのファイアウォールスループット、最大11GbpsのUTMスループットを実現可能なモデルで、通常はデータセンターなどで用いられる機種だ。
報道機関が押し寄せている国際イベントで、もし通信が止まるような事態が発生してしまったら、国内外からの信頼を大きく損なうことになってしまう。ハードウェアレベルから可用性を高めることで、万全の体制を築いているのだ。
クラウドによってリアルタイム監視環境を素早く構築
今回のネットワーク環境構築において、特に注力されているのは利用状況のリアルタイム監視とレポート化だ。接続台数は何台か、時間ごとの利用状況は、どんなWEBサービスが利用されているのか、そしてセキュリティの脅威がどれほど発生しているか。ネットワークの状態を常に確認できるようにすることで障害対応の迅速化が可能となり、情報に富んだレポーティングによって次回以降のノウハウを積み上げることができる。
従来はコムネットシステムがイベントのたびにサーバーを用意し、ログを監視する環境を構築していた。しかし、オンプレミスで別途サーバーを用意するのは工数もコストもかかり、嫌がるクライアントも少なくない。そんな背景の中で今年の4月にリリースしたのが、WatchGuard Cloudの「Visibility」だった。
この機能を使えば、設置したFireboxからインターネット経由でログが自動収集され、レポートが生成される。レポートはPDFとして定期的なメール配信も可能だ。ビジビリティ機能は、マネージドサービスプロバイダのみならず、要望に応じてエンドユーザーへも閲覧権限を付与することができる。
「WatchGuard Cloud Visibility機能によって、レポーティングがすごく楽になったことはもちろんですが、障害対応もより機動的となりました。従来はログサーバーごとにしかアラート通知が出せなかったのですが、それがデバイス単位で送信先を振り分けできるようになったのです。今回の東京モーターショーは有明と青海の2会場なのですが、離れた場所でも統合管理ができるようになったので、保守ベンダーとしては非常に助かりました」(白柳氏)
実際にプレスセンターでのネットワーク状況を見ると、iCloudやDropboxなどのオンラインストレージサービスの利用が多い事が分かる。海外記者の中にはP2Pサービスによるデータ送信を試みようとする場合もあるが、イベントのセキュリティポリシーに基づき、こうしたサービスや危険なサイトへのアクセスは遮断されるようになっている。
ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン システムエンジニア部 部長 猪股修氏は、東京モーターショーにおけるネットワーク環境構築においてFireboxがどのように貢献しているのか、次のように説明する。
「プレスセンターに集まる世界中の記者の方々は、使う端末もWebサービスもすべてばらばらです。個々の機器にセキュリティ対策ができない状況で未知の脅威を食い止めるためには、堅固な『出口対策』をしなければなりません。他製品と比べたFireboxの特徴は、AIによるマルウェア検知、サンドボックスを活用した未知の脅威検知、クラウドサービスとの連携まで、さまざまなセキュリティ機能がすべてこれ一台に備わっていることです。それはつまり、実際の構築段階においてもシンプルな作業で済むということです」(猪股氏)
社会のインフラをより安全に
東京モーターショーのプレスセンターにおいて、WatchGuard Cloud Visibilityはリアルタイムでのネットワーク監視を可能にしている。
「クラウドサービスを使ってこの規模のネットワークのリアルタイム監視ができるのだろうか。負荷や遅延の心配もありましたが、実際は遅延がほとんど無い状態で可視化することができており、その心配は払拭されました」(白柳氏)
さらにWatchGuard Cloudは、本年中にFireboxへの管理設定を遠隔で可能にする機能を実装予定だ。トラブルが発生した場合でも設置場所へ出向かずに対応が可能となれば、管理工数を大幅に減らすことができる。東京モーターショーという大規模イベントのみならず、あらゆる未来社会のネットワークインフラを堅牢にしていくために、欠かせない存在となるだろう。
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