2019年4月1日より施行された働き方改革関連法案(中小企業は2020年4月1日施行)。特に改正労働基準法においては、これまで法的拘束力がなかった時間外労働について明確な罰則が設けられたため、企業は否応なしの対応が求められる。しかし今回の改正内容は複雑なため、対応に苦慮している企業も少なくないだろう。
2019年6月27日に開催されたマイナビニュースフォーラム「働き方改革×生産性向上の両輪経営を目指して」では、長時間労働の対策や働き方改革の実現について、さまざまな観点から講演が行われた。本記事では、中でも勤怠管理システムの活用による長時間労働対策の事例を中心とした講演を紹介していこう。
複雑な改正労働基準法を遵守した長時間労働への対策
今回の法改正によって、36協定を結んだ場合の時間外労働の上限が「月45時間、年360時間」となった。また特別条項として「2~6カ月の平均が80時間以内(法定休日労働含む)」「単月100時間未満(法定休日労働含む)」「月45時間超の労働は年6回まで」が加わり、これに違反した場合は「6カ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」が科されることとなった。しかし具体的にどのようにすれば長時間労働を是正できるのか、ほとんどの企業は手探りの状態だろう。
株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)の西英伸氏によると、対策への近道は成功事例の活用であるという。
「私たちOBCでは、今回の働き方改革関連法案に対応したサービスとして『奉行Edge勤怠管理クラウド』を国内約6,500社に提供しています。これから紹介する導入事例は、いわば長時間労働対策の処方箋です。規模、業種、業態を参考に、各社の課題や解決方法を確認いただければ、必ず皆さまに合った勤怠管理システムによる長時間労働対策が見つかるはずです」
それでは、本講演で紹介された事例のいくつかを紹介していこう。
現場にあった打刻ツールによる打刻の徹底で労働時間の適正把握:株式会社上田組様
土木建築業を営む株式会社上田組では、自己申告制で現場の労働時間を管理していた。しかし申告の遅れや漏れが多発しており、総務部が正確な労働時間を把握できないという問題を抱えていたという。また、勤怠の集計は手作業だったため、締め日の直後には総務部が時間外労働して対応するという状況。このままでは、法改正に対応できないという危機感から、社長自らが先頭に立って勤怠システムの導入に動いた。
「奉行Edge勤怠管理クラウド」では、出退勤の打刻がスマートフォンやICカードで行え、打刻漏れに対する通知機能で未打刻防止もできる。上田組では現場にあった打刻ツールを選択し打刻を徹底することで、労働時間の適正把握ができるようになった。加えて残業が一定時間(20時間、40時間、60時間)を超えたらアラートが表示されるなど、労働時間の見直しにも効果があった。また総務部では集計や資料作成などの手作業が自動になったため、締め日直後に残業する必要がなくなったとのことだ。
労働時間の見える化が社員の意識改革につながる:株式会社BSフジ様
BSデジタル放送事業者である株式会社BSフジ。これまで同社では、従業員がExcelで作成した出勤簿を集計し勤怠管理を行っていた。
ただし放送事業という業態もあり、従業員の直行直帰や休日出勤が非常に多く、従業員側の手間や、手作業による集計に限界を感じていたとのこと。加えて集計結果が出るまで誰がどれだけ働いているのかを従業員もマネージャーも把握できず、働き過ぎに対するケアがおろそかになるという課題も生じていた。
「奉行Edge勤怠管理クラウド」の導入によって、出退勤の打刻のみならず直行直帰や代休申請をスマートフォンから行えるようになり、集計も自動化されたため、出勤簿作成や集計作業の手間が省けるようになった。また、労働時間がリアルタイムで可視化されるため、残業が多い社員には仕事の調整などによる迅速なケアが可能となった。
労働時間の状況が明確になった今では、従業員の残業に対する意識が「せざるを得ないもの」から「すべきではないもの」へと変わり、着実に長時間労働が減少しつつあるとのことだ。
1,000名の勤怠管理を総務部1人で対応可能に:埼玉日産自動車株式会社様
埼玉県で日産の自動車販売を手がける埼玉日産自動車株式会社では、毎月の勤怠管理を手書きの出勤簿で行っていた。しかし1,000人を超える社員の出勤簿を集計する作業は大変なもので、総務部が総掛かりで作業しても3日間ほどかかっていた。手書きの自己申告制では正確な労働時間の把握が困難であり、長時間労働への対策にも苦慮していたという。
「奉行Edge勤怠管理クラウド」では全店舗の労働時間が自動で集計されるため、これまで総務部全員で行っていた勤怠管理が1人で対応可能となった。
また、店舗別の勤務状況を可視化したことで、長時間労働について他店舗を意識するようになり、残業を減らそうとする空気が醸成されているとのことだ。
まずは固定業務の労働時間を削減したい
労働には、大きく分類すると「固定業務」と「変動業務」がある。固定業務は事務作業や申請手続きなど定期的に発生する業務だ。一方、変動業務はたとえば顧客対応やトラブル処理などの業務となる。
変動業務はイレギュラーなものが多く、削減するのが難しい。固定業務は定型の作業が多く、ツールの導入などで長時間労働対策を具体的に講じやすいはずだ。そのためにどのような仕組みが必要なのか、事例から導かれた処方箋を元に選択するとよい。
なお、OBCでは固定業務の削減手法について解説した「奉行流 働き方改革サイト」を公開している。同サイトではOBCが考える「働き方改革を実現するための取り組み方法」に加え、今回紹介した以外の働き方改革事例についても数多く掲載。これらの処方箋を元に、改正労働基準法に対応した長時間労働対策の実現を目指してほしい。
「奉行流 働き方改革サイト」のご案内
「奉行流 働き方改革サイト」では、77種類の取り組み手法を紹介した「奉行流 働き方改革取り組みモデルガイドブック」の配布も行っている。
[PR]提供:オービックビジネスコンサルタント