データセンターは賃貸マンションと違い、一度入ったらそう頻繁に引っ越すものではない。 だから決めるときにはとても慎重になる。 では入居後、企業とデータセンターの間には、どのようなお付き合いが待っているのだろうか。
普段なかなか見えてこない「データセンターのバックステージ」について、アット東京を例にとり、3回にわたりインタビュー形式で紹介する。
今回は、紙山氏と加藤氏に話を伺った。
その1:最初のルール作りからお付き合いは始まる
――どのような仕事を担当しているのですか?
紙山:カスタマーサービス部という部署にいます。 この部署の仕事は、第1にお客さまと私どもの間の最初の運用に関する取り決めを行うことです。 お客さまはその重要な機器の置き場所を、リスクの無いようにするため、入室者を制限し時間的な制約を設けるなど、お客さま独自のルールがあります。
そのような、様々な制約のあるお客さまと入室ルールや緊急時の連携方法などを取り決め、関係部署に展開する役割をしております。
当社は、世界最大級の広さを持つデータセンターを所有しているため、ご利用されているお客さまも多く、それぞれのお客さまのニーズに沿った運営は、大変ではありますが、やりがいでもあります。
2つめは、お客さまとの間で決めたフォーマットで、制約条件を考慮し多種多様なレポートを提出しています。 また、特定のお客さまには直接オフィスにお伺いし報告する役割を担っています。
3つめは、ご要望に応じての監査の対応です。 設備の健全性や運営体制をあらゆる角度から審査いただき、お客さまが安心して利用できる建物を提供し、ご納得いただけるよう努力をしています。
――個別のルール設計とはどのようなことですか?
紙山:アット東京として、必ず守らなくてはいけないことや幹となるルールを守りつつ、お客さまごとに使いやすくかつ他のお客さまもアット東京としても安心できるように、A社さんはこういうルール、B社さんはこういうルールという風にカスタマイズします。 それをナレッジとして管理をし、そのルールに基づいて計画・作業をしていきます。また、その内容を社内の他部門や委託先の皆さまにも展開してルールを徹底します。
――「この仕事をやっていてよかった」と思うことは?
紙山:区切りがなく、結果も見えにくく、100%できて当たり前でできないとだめ。なかなか評価されにくい仕事ですが、お客さまと直接お会いしたときに「トラブルなく運用してもらえるのはとても安心」といった何気ない一言で、とてもやりがいを感じます。
――今後の意気込みなどを聞かせてください。
紙山:この部署は新規発足部署のため、みんなで協力し新規業務にあたるなど、チームワークはばっちりです。これからもお客さまに安心してご利用していただけるように努力していきたいと思います。
その2:「IT運用」という、長いお付き合い
――どのような仕事を担当しているのですか?
加藤:アット東京館内のお客さまへの対応です。お客さまからの問い合わせを電話やメールで受け付け対応し、リモートハンズの実施(施設にいらっしゃることができないお客さまの代わりに、お客さまの機器に対して作業をする)などです。
お客さまのご要望受け付けのために、サービスデスクというチームがあり、ここはリモートハンズもそうですが、24時間365日稼働しています。 そのチームの実施内容や品質管理、進捗管理、お客さまにサービスを提供したあとの管理などのほか、他施設からの機器の引っ越しサービス、データ消去サービスや現場で急遽必要になるような物品物販など、いろいろあります。
――24時間対応の日英バイリンガルサービスが一番の特長ですか?
加藤:アット東京のお客さまには海外のお客さまも非常に多いため、何かあったときにお客さまにかわって私どもがCPU室などの現場に向かい対応することも多いです。海外と電話を繋ぎながら作業をすることもあれば、事前に海外のお客さまから作業内容をメールでいただき、それを読み解いて作業をしたりもします。
――対応の質を高めていくのに一番難しいのはどんなことでしょうか。
加藤:最初はサービス品質を均一化することに苦労しました。応対などは全部テンプレート化すれば一定のレベルまで均一化できますが、テンプレートのレベルを超えることができなくなってしまうのです。
血が通った対応をするには、各要員が考えて作業するのが一番なので、「こういう表現は避けよう」「こういうやり方がよい」など、常に相談しながらやってきました。
――委託先の協力もありますか?であれば、どういうことに気を付けて一緒にやっているのでしょうか。
加藤:はい、委託先の皆さまにも協力していただいています。社員であれ委託先からの方であれ、目指すところは同じでないといけません。常にコミュニケーションをとり、目的や事情を共に理解するように心がけています。
また、毎朝朝礼で必ず申し送りをしてコミュニケーションをとっています。委託先の方々への伝達は、しかるべきルートで伝達するなど法令を守って礼をつくして行うことを大切にしています。
――言っていいこと、いけないこと、やっていいこと、やっていけないことの伝承は難しいと思いますが、伝承していくためのコツは?
加藤:私が普段気を付けているのは、「文章、記録に残す」かつ「記憶に残す」こと。マニュアルのようにstep by stepで書くと、そのとおりにしか動けなくなってしまいます。 ことの本質、基本的な概要と「ここだけはきちっと守ろう」というところを強調し、ほかの部分は幅をもたせて、とらえ方によってこう行けるし、こうも行ける、としておきます。それが私なりのコツです。
例えば、「リモートハンズ」。 この仕事はお客さまの代わりに作業をするので責任重大です。「お客さまから依頼された範囲はここ」で、当社はその範疇を超えてはいけない。
ただ、単に「当社はこのラインを超えられないからやりません」ではなく、そこは幅をもたせて「超えそうだけどどうしようか?」と考え、お客さまと確認するようにする。 そのためにも、お客さまと密にコミュニケーションをとれる関係を築くようにしています。
また、朝礼の申し送りのときにはいつも、「自分が起こす行動に対し常に結果を考えて動くように、想像力を膨らませないと仕事がうまく回らない」といったことを訓示しています。 こういう風にしたいからこういう風に動く、という想像力があれば、ある程度動けるのだと思います。
――この仕事のやりがいは?
加藤:他社も含めて、データセンターが基本サービスしかやっていなかったところに、「私たちがお客さまのかゆいところまで手が届くようにしよう」という社の方針から、現在のサービスが始まりました。
リモートハンズに関しては、他社でやる範囲より私どもが提供しているサービスの範疇の方が広く、24時間体制でIT運用までバイリンガル対応をしているというところはそうありません。そこまでやるの!?という範囲までを比較的低価格でやっていることに対する自負があり、そこにやりがいを感じています。そして、「アット東京のデータセンターを選んでよかった」「とても満足している」といわれることを目標に、日々業務にあたっています。
現在、私どもは「IT運用」として世界一を目指しています。その世界一を決めるのはお客さまですから、お客さまの満足で一位をとりたいですね。
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