エグゼクティブ向けセミナー「Dell EMC Executive Seminar 2019 Osaka」が、1月30日、ザ・リッツ・カールトン大阪にて開催された。テーマは「今こそ求められる、情報システムにおける『チームマネジメント』とは」。基調講演では報徳学園野球部の前監督として同校を18回も甲子園に導き、現在はU-18日本代表監督を務める永田 裕治氏が、自身の経験を基にチームマネジメントの極意を熱く語り、大阪、関西地域から多くのエグゼクティブが詰めかけた。

  • 会場の様子

若者の自主性を認めて、チャンスを与える

永田氏が、報徳学園野球部の監督に就任したのは平成6年。当時の報徳学園はしばらく甲子園から遠ざかっており、選手自身も自分たちの学校を「古豪」と称していたという。そこで永田氏はまず、「古豪ではなく強豪だぞ」と言い聞かせるところからスタートした。

「自分が高校生のときには、試合に勝つためにレギュラー選手の練習を優先させる方針が強く、中には一度も守備練習をせずに卒業する生徒もいました。それではいけないと思い、通常練習は全員に、同じメニューをやらせることにしました。ただし朝の自主練習については、選手自身に任せました。朝、練習する生徒は目にも留まりやすくなり、努力しているのを見れば、チャンスも与えたくなります。そしてそういう生徒にチャンスを与えても、周りから『ひいきだ』というような文句は出ません。それは周囲も彼が努力しているのを知っているからです」(永田氏)

輪が生まれれば「どんなに弱いチームでも甲子園に行ける」

選抜メンバーだけを採用する学校もある中、報徳学園野球部はどんな生徒にも門戸を開いているのが特徴だ。

「そのため正直下手な子もいます。走るのが遅い子もいます。練習では全員が走り切らないと終わらないようにしているため、皆が遅い子を押したり引っ張ったりして走り切ろうとします。そうすることで"輪"ができるんです」(永田氏)

  • U-18日本代表監督 永田 裕治氏

    U-18日本代表監督 永田 裕治氏

また永田氏は、普段の練習では「叩き込む」ために生徒に怒っても、公式戦ではただ「頑張ってこい」というだけで、怒ることはしない。そして負けたらそれは「叩き込んだ自分の責任」と考えるようにしているという。もちろん怠慢なプレーには怒ることもあるが、周囲の部員のほうが先に気づき、そうしたプレーをする選手を正そうとすることもある。

「そうすることで、皆が自ら気づいてチームを良くしていこうという意識が生まれます。そしてチームが一つになったときは、どんなに弱いチームでも甲子園に行けるものです。よく他校から『報徳はレギュラーだけが野球をやっているんじゃない、一体となってかかってくる』と言われます。これは一番うれしい言葉ですね」と永田氏は言う。

成功に必要なのは、「4つのC」+C

最後に永田氏は、来場者に贈る言葉として「4つのC」について語った。1つ目のCは「Chance」。朝、自主練に来る生徒に永田氏がしたように、努力する人にはチャンスを与えること。チャンスをつかませることはできないが、自分でつかむようにさせることが大切だという。2つ目は「Challenge」。チャンスに対して挑戦するということだ。そして3つ目は「Change」。現状に不満があるなら文句を言うのではなく、どういう方向性へ変えたら組織が伸びていくのかを、逃げずに考えること。最後の4つめは「Champion」。人生の勝者になってほしいという意味が込められているという。

  • U-18日本代表監督 永田 裕治氏

「他にも、今は『Communication』のCも重要です。そして、皆さんも一つずつステップを踏んで、最後にはチャンピオンになっていただきたいと思います」

IT投資動向調査から分かってきた、最新のトレンドとは?

続いて登壇したデルの上席執行役員 広域営業統括本部 統括本部長 清水 博氏からは、デルの近況が語られた。同社は創業以来、対話を通して顧客の意見やニーズを理解し、製品に反映させることはもちろん、市場動向を把握した上で、顧客それぞれにふさわしい技術を提供するという営業スタイルを採っている。特にコンシェルジュ(インサイドセールス)は、豊富な情報量を駆使しながら、問い合わせに迅速に回答できる人材を育成・配置することで高い信頼を得ており、「法人向けでは国内トップクラス」と自信があることを述べた。

顧客や市場への理解を深めるための情報源の一つとなっているのが、毎年、中堅企業(従業員数100~999名)を対象に行っているIT投資動向調査だ。清水氏は、『ひとり情シス』の著者であるが、最新版の調査での変化を説明した。ひとり情シスの退社傾向が強まり、総務部の担当者が兼任するというトレンドが判明した。

「こうした状況を踏まえ、当社ではひとり情シスが退社した後も企業活動が滞らないよう、総務部情シスの支援強化を図っていきます」と清水氏は強調する。

また情シス以外の社員が無断でIT活用を進める「シャドーIT」が存在している企業が、47%もあることも分かってきた。

  • 上席執行役員 広域営業統括本部 統括本部長 清水 博氏

    デル株式会社 上席執行役員 広域営業統括本部 統括本部長 清水 博氏

「諸悪の根源のように言われているシャドーITですが、実はこうした人々が中堅企業のデジタル化を推し進めているという傾向が判明しました。とはいえシャドーITの状態では、ヒヤリハットの潜在的なセキュリティ事故の事案も確認されています。一般的に、存在が否定されるシャドーITですが、中堅企業では貴重なIT人材ですので、当社では、日本初と思われる"シャドーIT支援プログラム"を展開することを考えています」(清水氏)

  • 今回の調査で明らかになった3つのトレンド

    今回の調査で明らかになった3つのトレンド

次々と打ち出される、大阪への注力策

セミナー開催場所に絡め、デルが大阪で展開する新たな施策も紹介された。まずはインサイドセールスの拠点新設だ。これまでの東京(三田)・神奈川(川崎)に加え、2018年9月から大阪(堂島)にも拠点が開設されている。現在スタッフは15名だが、50名まで増員して、積極的なサポートを行っていく予定となっている。

また市場調査のデータ解析やレポート作成の仕事を通して、顧客支援に貢献する人材育成を行うための「中堅企業市場開発センター」や、企業の課題に対して、セミナーやラウンドテーブル、専用サイトの設置などを展開する「中堅企業ITシンクタンク」も、大阪府内に設立した。また、中堅企業向けクラウドサービスでは、大阪にルーツを持つ会社、エックスサーバー、カゴヤ・ジャパン、ラクス、ネオキャリア、エフアンドエムら5社と連携。最近ニーズが高まっている人事・労務向けサービスにまで提案の幅を拡張していく体制も整えた。

さらに、中堅企業の競争力強化を支援するために、近畿大学経営学部とコラボレーションし、中堅企業のCIO(最高情報責任者)養成講座も実施している。同講座は、革新を生み出すのに必要とされる"デザイン思考"を学ぶものになるという。

現在、国内の大・中堅企業におけるデルのPCシェアは25%と、15%だった2年前に比べ驚異的な成長を見せている。この伸びについて清水氏は、様々な施策を顧客に評価してもらった結果だと謝意を示し、「新施策にもご期待いただきますよう、お願いいたします」と語り講演を終えた。

成長企業のための「9つの打ち手」+α

清水氏に続いて登壇した広域営業統括本部 デジタルセールス&広域営業本部長の木村 佳博氏からは、デルが提供する具体的なソリューションが説明された。デルは2017年よりIT投資動向調査から明らかとなった課題解決を支援する「成長企業のための『9つの打ち手』」として、攻めと守りのITにまつわる9つの支援策を打ち出してきた。情シス担当者の負荷を下げながら、業務の健全化を行っていくための「守」と、自動化・標準化によりITをシンプルに運用するための「攻」を実現するソリューションだ。2018年1月にはここに「防」(セキュリティ)、「走」(働き方改革)を追加した、「9つの打ち手+α」へと進化を遂げた。

  • 成長企業のための「9つの打ち手」+α

今回のセミナーでは、この打ち手の中から2つが採り上げられた。まずはハイパーコンバージドインフラ(以下、HCI)とハイブリッドクラウドを連携させたソリューションだ。インフラ基盤の運用管理が複雑化する中、HCIを利用した運用自動化に注目が集まっている。これに対応し、デルではHCIアプライアンス「VCE VxRail」をリリースしている。導入すればHCI構築にかかる費用や負荷を抑えられるだけでなく、サポートもデルに一元化できる。「VCE VxRail」には利用頻度が低いワークロードを自動的にクラウドに"逃がす"機能も標準搭載されているため、ハードウェアの追加購入は最小限で済む。また必要に応じてプライベートクラウド、パブリッククラウドを使い分けることで、運用コスト削減も実現できる。

もう一つのソリューションは、クライアントPCの検討段階から導入、運用、保守、廃棄・更新まで、つまり「ゆりかごから墓場まで」の各フェーズの情報を一元管理することで、情シス部門の負荷を抑えるサービスだ。情シス担当者の業務の15.6%がPC運用・管理やヘルプデスクに割かれており、徹底的な負荷低減の実現により、人的リソースが少ない情シス部門には、働き方改革にもつながるので心強い。

  • 広域営業統括本部 デジタルセールス&広域営業本部長 木村 佳博氏

    デル株式会社 広域営業統括本部 デジタルセールス&広域営業本部長 木村 佳博氏

「『デルがここまでやっているの?』と言われることもありますが、お客様との対話を通じて、あらゆる面でIT活用の円滑化に向けたサポートを強化しています」と木村氏は、顧客に寄り添うデルの姿勢を改めて語り、セミナーの幕を閉じた。

  • Microsoft は、米国 Microsoft Corporation およびその関連会社の商標です

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