課題 解決
レジデンスごとにデータベースが分かれており、全体の収益把握や分析に時間がかかっていた 多彩なシステムと柔軟に連携できるシステム共通基盤「intra-mart(イントラマート)」で既存のアプリケーションを連携させ、関連情報の一括管理が可能に
居住者向けサービスを行うフロントスタッフの負荷軽減とスキルの向上 居住者の関連情報を集約して表示できるシステムを構築。新人スタッフでも居住者それぞれに適切なサービス提供ができるように

事業コンセプト

提供するのは「住宅」ではなく
「生活(LIVING)」そのもの

総合ディベロッパー、森ビル株式会社が目指す都市づくりとは、「そこに住まい、働き、行き交う人々の営みを想像し、よりよい未来を形にすること。そして完成後も時代にフィットするよう、常に進化・成熟させていくこと」(同社Webサイトより)。これを、長期賃貸レジデンスや、サービスアパートメントなどの領域から支えているのが、住宅事業部だ。住宅事業部では東京の新しいライフスタイルを「MORI LIVING」と名づけ、住空間のみならず、豊かな暮らしの提案まで行っている。
「MORI LIVING」ブランドのレジデンスは、利便性に富んだ立地やデザイン性に加え、高い安全性、上質なホスピタリティを兼ね備えているのが特長だ。特にホスピタリティは、他社のレジデンスにはなかなか見られないサービスが用意されている。エントランスには24時間バイリンガルのフロントスタッフが待機し、ハウスキーピングやランドリーサービス、ルームサービス、さらには健康相談室、フィットネスジムやスパなども備える(※)。 サービスや設備の徹底ぶりについて、住宅事業部 事業推進部 課長の岡田 好太氏はこう語る。
「人生において時間と価値はイコールです。つまりその価値を最大化するには、時間を無駄にせず、ストレスなく過ごせる生活環境が必要だということです。私たちはそうした環境づくりのためにホスピタリティを充実させています。『住宅』という言葉で表されるものよりも、もっと広い概念である『生活(LIVING)』を提供しようというのが、森ビルの考えです」
―― NTTデータビジネスシステムズが開発に協力し、2018年から運用が開始されている住宅運営システムも、この「MORI LIVING」の一翼を担うものとなっている。

※サービス、施設の内容はレジデンスによって異なります。

森ビル株式会社
住宅事業部 事業推進部
課長 岡田 好太 氏

導入の背景

管理側と現場、双方の業務効率化と
円滑なサービス実現のために

 住宅運営システムを改めることにした目的は、大きく2つある。ひとつは管理側の業務効率化だ。住宅事業部 住宅運営部の横山 淳氏によれば、それまで同部が使用していた運用システムは構築から15年以上が経過しており、事業を発展させていくうえで、刷新する必要性を感じていたという。
「当社では都心部に約30棟のレジデンスを管理していますが、以前はレジデンスごとにデータベースを用意していたため、全体的な収益の把握や分析を行うためには、管理部門がそれらのデータを集計する必要がありました。これにかかる手間や時間を削減するには、すべてのデータを統合できる仕組みが必要でした」(横山氏)

住宅事業部 住宅運営部
業務統括グループ
チームリーダー
横山 淳 氏

 もうひとつの理由は、フロントスタッフが行う業務の効率化だ。居住者へのホスピタリティを提供するために利用していた以前のシステムは、たとえば居住者情報や各種サービスの利用状況・請求情報、不在時の荷物預かり情報など、扱う情報ごとに個別に分割されていた。フロントスタッフがそれぞれの情報を確認するには、情報ごとに該当したアプリケーションを選択する必要があり、いくつもの画面の中から適切な情報をすばやく見つけ出すには相応の慣れが必要だった。
「当社にはベテランから新人まで総勢約200名のフロントスタッフがいますが、新人の中には、居住されている方と対面しながら複数のアプリケーションを操作して、その方に伝えるべき情報を探し出すという作業に大きなプレッシャーを感じる者もいました」と住宅事業部 住宅運営部の北川 交子氏は話す。
住宅事業部ではこれら管理側・現場側での課題を解決するために、レジデンス単位・部屋単位で管理していた情報を、居住者を軸として一元的に管理しなおすという方針を定めた。そして居住者に関するさまざまな情報をひとつの画面内で見やすく表示できるシステムを整えることにした。

住宅事業部 住宅運営部
カスタマーリレーション統括グループ
アソシエイト マネージャー
北川 交子 氏

選定・導入

複数ベンダとの調整を取りながら
intra-martへのデータ集約を実現

 しかし「MORI LIVING」特有の要素をすべて賄える住宅運営システムを、完全に作り直すには、大きな労力とコストがかかってしまう。
「そこでパッケージソフトでありながら、我々のニーズに合わせて組み立てていけるソリューションを探したところ、intra-martに行き当たりました。NTTのグループ企業ならセキュリティ面でも安心できるというのも、選定理由のひとつでした」(岡田氏)
 NTTデータグループが開発・提供しているintra-martは、多彩なシステムと柔軟に連携できるシステム共通基盤だ。今回もすべてを一から構築するのではなく、既存のアプリケーションをintra-martで連携させるという方式が採られた。
 従来のシステムは13ものアプリケーションから構成されていたため、開発会社もインターフェースも、連携させるための手法もまちまちだったが、NTTデータビジネスシステムズが各社と調整を取り、各アプリケーションからのデータを連携し、intra-martで集約した。これにより居住者に関連するさまざまな情報を一括で画面上に表示できるようになった。
「また長年にわたって蓄積してきた居住者データを、すべて新しいデータベース用に変換・移行してもらいました。当社のレジデンスにはリピーターも多いので、居住者を軸としたテーラーメイドサービスを提供し続けるためには過去のデータも貴重です。データ量は膨大でしたが、NTTデータビジネスシステムズは当社の意図を汲んで、すべてマイグレーションしてくれたので、非常に助かりました」(横山氏)

森ビル 住宅事業部では、intra-martであらゆる情報を連携させた

効果と展望

住宅という枠を超えたサービス展開で
「強い街」づくりを目指していく

新システム導入後、管理部門では各レジデンスのデータを一括管理できるようになったことで、迅速な事業分析が実現し、またフロントスタッフの業務も効率化が進んでいるという。
「たとえばご不在のお宅に届いた荷物をフロントでお預かりする場合、以前はそのお宅のインターフォンに『荷物をお預かりしています』というメッセージを表示させたり、引き取りに来られた時のために紙の伝票を用意したりといった手作業が必要でした。今はintra-martで連携が図れているので、お預かりした荷物の情報をシステムに登録するだけで、インターフォンへの通知が自動で行われますし、受け取り伝票もタブレットのフォームにサインしていただけば済むようになりました」(横山氏)
「お住まいの方に関連した情報を1画面で見られるため、外出から戻られた際には『お荷物が届いています』とか『お客様がいらっしゃいました』など、新人のフロントスタッフでも適切なお声がけができるようになり、サービスの均一化と負荷軽減に役立っています」(北川氏)
 効率化で生まれた時間や精神的な余裕は、よりきめ細やかなサービスができるよう役立て、「MORI LINING」のさらなるクオリティ向上に努めていくという。

 住宅事業部では、居住者にさまざまなデータを紐づける今回の仕組みを、もっと広い範囲に適用することも視野に入れていると、岡田氏は語る。
「住宅にまつわる各種情報を、そこに住むお客様に紐づけて、テーラーメイドのおもてなしを効率的に行えるようにしたのが今回のシステムです。今後はそれをレジデンス周辺、つまり森ビルがマネジメントに携わっているエリアに拡大し、お客様それぞれにあわせたサービスを提供できるようにしていきたいと考えています。こうした生活全体を支えるサービスを実現した"強い街づくり"こそが森ビルの目指すところです。NTTデータビジネスシステムズには、これからもさまざまな知見や新技術を活用して、私たちの街づくりに協力してもらえればと思っています」

※ 掲載している情報は、取材時点(2019年2月7日)のものです。

 

企業プロフィール

森ビル株式会社

所在地 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
設立年月日 1959年6月2日
事業内容 都市再開発事業、不動産賃貸・管理事業、文化・芸術・タウンマネジメント事業等
URL https://www.mori.co.jp/

NTTデータビジネスシステムズの
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https://www.nttdata-bizsys.co.jp/imforce/

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