事業を行っている人なら避けては通れない「確定申告」。所得税(及び復興特別所得税)の申告・納付期限は(土日に重ならない限り)毎年3月15日と定められており、この期限内に確定申告を行わない場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される場合があります。とは言え、年度末の忙しいさなか、煩雑な作業が大量に発生する確定申告はどうしても後回しにしがちです。
「少しでも簡単に、そして手早く済ませる方法はないのか」――確定申告をする人なら、誰もが考えることではないでしょうか。実は近年、特にクラウド型の会計ソフトには確定申告の作業を大幅に簡略化する数々の便利な機能が搭載されています。
では、具体的にどのように作業がラクになるのでしょうか。本記事では実際にクラウド型の会計ソフトを使用した確定申告について、飲食店を例にストーリーに沿って解説します。
今からでも間に合う確定申告日記
●2019/3/5(火)
今日もお店は繁盛でなにより。でも、忙しくて確定申告の作業がぜんぜん進んでいない。というよりそもそも必要な書類ってなんだったっけ……。期限まであと少ししかないのにどうしよう。
【解説】
必要書類については申請から取り寄せるまでに数日はかかります。これらは簡単に時間短縮ができないので、できるだけ早く用意しておきましょう。
以下の書類を確認
□ (前年に給与収入があった場合)給与所得の源泉徴収票
□ 国民年金保険料の控除証明書、国民健康保険料の納付金額がわかる領収書など
□ 生命保険料の控除証明書、寄付金控除に使用する領収書など
□ (医療費控除、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合)医療費や医薬品の領収書、医療費のお知らせなど
□ (住宅ローン控除の適用を受ける場合)住宅ローン残高証明書、住宅借入金等特別控除額の計算明細書
※今回の確定申告から新たに住宅ローン控除の適用を受ける場合は、不動産売買契約書、登記事項証明書
□ マイナンバーがわかる書類
□ 事業に関係する請求書、領収書、レシートなど(提出の義務はないが、帳簿作成に必要。保管の義務あり)
●2019/3/6(水)
買い物に出かけたら、美容室オーナーの友人とばったり。昨年の確定申告ではバタバタしていた彼女が「もう確定申告終わった」と自慢げに話しかけてきたので、ちゃっかり必要書類を確認。ほかにもクラウド型の会計ソフトだと、銀行口座やPOSのデータも自動で取り込めるからラクらしいという情報をゲット。明日早速試してみよう!
【解説】
クラウド型の会計ソフトには、銀行口座やeコマース、クレジットカードなどのデータを自動で取り込む機能があります。飲食店など店舗の場合、POSサービスと連携して売上データを取り込むのがおすすめです。
クラウド型の会計ソフトは以下との連携が対応しているかチェック
□ 銀行口座
□ 業務で使用しているクレジットカード、eコマース(Amazon、楽天など)
□ POSサービス
●2019/3/7(木)
無料登録して早速、銀行口座のデータを取り込んでみた。本当に、全部自動で取り込めて、しかもある程度の仕訳までしてくれる。確かに、ラクだしわかりやすいぞ。今まで使ってきた会計ソフトもあるけど、30日間無料で使えるみたいだし、ウチのお店で使っているPOSサービスとも連携できそうだから申し込んでみようかな。
【解説】
クラウド型の会計ソフトでは、仕訳のルールを学習して、データを取り込むと自動的に仕訳をする機能を持つものがあります。使用すればするほど精度が上がり、簿記の知識がなくてもおおよその仕訳ができるようになります。
●2019/3/8(金)
今日は、忙しくて確定申告の作業はまったくできず。でもなんとなくできそうな気がしているのは、きっと気のせいではないはず!
●2019/3/9(土)
申告期限まで一週間を切った。本当にやばいかも……。でも、週末の稼ぎ時にお店を休みにするわけにはいかないし……。 そんな状況をバイトの子に話したら、「クラウドサービスならお店のパソコンでも入力できるんじゃないですか?」と言われた……。今まで、家のパソコンでしか作業できないと思ってた私はちょっと遅れてるのかも。
●2019/3/10(日)
今日は日曜日なのに天気が悪くお客さんも少なめ。暇なのでお店の隅で確定申告の作業をしていたらバイト君が「手伝いましょうか?」と言ってくれた。(なんともありがたい!!)そういえばこの間友達が「メンバー追加すれば複数人で作業できる」って言ってたな。とにかく今は猫の手も借りたい状況なので、お言葉に甘えてPOSデータの取り込みと仕訳をお願いした。彼のおかげで、今日1日で入力はほとんど終了。ただし、お客さんはあんまりこなかったのでお店の売り上げ的には残念な結果に……
【解説】
インストール型の会計ソフトとは異なり、クラウド型の会計ソフトでは、インターネットがつながる場所であれば、お店のパソコンはWindows、家のパソコンはMacという場合でも作業ができます。取り込んだデータは、自動で仕訳されているので、簿記の知識がない人でもラクに準備が進められます。
●2019/3/11(月)
ほとんどの仕訳は終わったけど、去年に入れ替えた厨房設備が80万円で、減価償却の処理をしなければいけなかった……。正直なところ、減価償却の流れは今ひとつ理解できていないから明日税理士さんに相談してみよう。
【解説】
購入品の内容や金額によっては規定に応じた減価償却の処理が必要です。まずは下記の表を参考に減価償却の対象となるのか基準を確認してみてください。
少額な減価償却資産 | 一括償却資産 | 青色申告者の特例 (少額減価償却資産の特例) | 左記以外の減価償却資産 | |
資産の取得価額 | 10万円未満 | 20万円未満 | 30万円未満 | 10万円以上 |
経費処理可能な金額 | 全額 | 取得価額の1/3 | 年300万円以下なら全額 | 減価償却の限度額 |
固定資産計上 | 不要 | 必要 | 必要(ただし、取得した年に全額減価償却) | 必要 |
償却資産税 | かからない | かからない | かかる | かかる |
●2019/3/12(火)
税理士さんに相談し、今回はクラウド型の会計ソフトを使ったことを伝えると、「何のソフトをお使いですか?」と聞かれたので「マネーフォワードクラウド 確定申告」と答えたら、すぐさま「メンバーに追加してください」と言われてびっくり!どうやら、税理士さんも同じサービスを使っているらしく、会計事務所がもっともオススメ(※)するサービスなんだとか。おかげで話も早く、ようやく申告準備が完了!
※2017年6月 株式会社実務経営サービス(東京・豊島)調べ
【解説】
クラウド型の会計ソフトでは、「メンバーの追加・管理」で家族、社員、スタッフ、税理士など、複数人でデータの閲覧・管理ができます。また、最近は会計士や税理士もクラウド型の会計ソフトを使用しているケースも多いので、話がスムーズに進みます。
●2019/3/13(水)
締め切りまで残り2日、確定申告の書類を税務署に提出できた。一安心!そういえば先日友人が「2020年分の確定申告からは、e-taxで申告をしないと控除額が下がる」って言ってたな。これまでは「e-taxなんてとても無理」と思っていたけれど、マネーフォワードクラウド 確定申告を使えばなんとかなりそうな気がしてきた。そのためにも、今年からはちゃんと毎月帳簿をつけよう!! まずは月契約から年契約に変更しようかな。ソフトの使い方や税務の知識が身につくガイドブックをもらえるキャンペーンをやっているから、バイト君に読み込ませよう。(彼には、来年も手伝ってもらいたい。辞められたら困るから時給も上げようかな)
【解説】
2020年分確定申告以降、個人事業主の青色申告特別控除額が65万円から55万円に減額されます。ただし、以下の条件のいずれかに該当する場合は青色申告特別控除額が65万円になります。
□e-Taxによる電子申告を行っている
□電子帳簿保存を行っている
なおe-taxの実施には以下の準備が必要です。
□ マイナンバーカード
□ ICカードリーダライタ
□ 税務署への開始届書の提出
これらの準備には相応の時間がかかるので、e-taxを行う場合は早めの準備をおすすめします。
※マイナンバーカード及びICカードリーダライタを未取得の方については、本人確認に基づき税務署長が通知したe-Tax用のID・パスワードによる電子申告が可能となりました(2019年1月より)
クラウドで煩わしい確定申告を簡単に
近年、税制度は頻繁に変更されるようになり、それに伴い確定申告の内容も複雑化しています。そして2019年10月からは、いよいよ消費税が10%に増税されます。同時に、軽減税率制度も実施されるので、来年の確定申告はさらに難解・かつ複雑になることが予想されます。
今回、紹介したストーリーは、あくまでも本年分の申告を想定したものです。来年、同じようなペースで確定申告をしようとしても、よくて期限ギリギリ、一歩間違えば間に合わないという可能性も十分にありえます。
来年以降、少しでも確定申告を楽にするためには、今のうちからの準備が必要です。書類の準備や各種手続きはもちろん、もし会計ソフトが消費税増税や軽減税率に対応していない場合は、対応している最新版にアップデートしなければなりません。
しかしクラウド型の会計ソフトであれば、税制改正など法令に対応した機能がアップデートされるので、そのような心配は無用となります。また、事前に入出金の口座をまとめてシンプルにしておけば、自動で取り込んだデータの仕訳精度があがり、手間が大幅に省けるようになります。
「今年は時間がないから新しいサービスで申告するなんて無理」という方も当然いらっしゃるでしょう。確かに、普段から使っている会計ソフトの方が、慣れている分、早くてラクというケースもあります。しかし、来年度以降のことを考えると、今のうちからクラウド型の会計ソフトを体験しておくことは、決して無駄にはなりません。
マネーフォワードクラウド 確定申告では、30日間の無料体験サービスを実施しています。まずはこちらで試して、その上で来年度以降のことを判断してみてはいかがでしょうか?
監修者
高橋和也税理士事務所 高橋和也マネーフォワードクラウド確定申告に精通し、都内から関西、四国、九州まで幅広いエリアのお客様をサポート。一般社団法人や公益法人などの非営利法人も得意とし、最近では大学運動部が設立した一般社団法人のサポートも行っている。共著に『一般法人・公益法人の理事・監事・評議員になったらまず読む本』(忘羊社)
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