国内でも採用する企業が増えてきている「Salesforce」。活用が進むにつれて「もっと自由な画面レイアウトの開発をしたい」という要望が出てくるケースも多いようだ。
Salesforce自体でも項目の並び替えといったレイアウト変更は標準機能として提供されているが、業務効率の良い画面を追求すると、SIerに開発を依頼する企業も多い。しかしSIerに依頼した場合、コストがかかる上、社内での柔軟なカスタマイズができなくなってしまうというデメリットがある。
こうした課題の克服に大きな力となるのが、株式会社テラスカイが開発・提供しているSalesforceの画面開発プラットフォーム「SkyVisualEditor(スカイビジュアルエディター)」だ。プログラミングの知識は必要なく、ポイント&クリックだけで自由に画面を開発できるため、Salesforce活用の幅も拡がり、ビジネスにあわせた修正・変更もスピーディに行える。
本稿ではSkyVisualEditorを利用して自社で画面開発に取り組んでいる株式会社日本M&Aセンターを導入事例として採り上げ、また同社が活用しているテラスカイのユーザー向けサポート「SkyVisualEditorアドミンカフェ」について紹介していく。
増加するM&A需要への対応にSalesforce、SkyVisualEditorを導入
企業のM&Aを仲介するのが、日本M&Aセンターの主な業務だ。同社 データマーケティング部 部長の菊地原 拓氏によれば、中小企業オーナーの高齢化という社会背景により、事業承継や譲渡に関する相談が増えており、受託件数は年間1,000件にも達する勢いだという。
「以前は社員の記憶と日報管理システムに入力したデータをもとに、会社を譲渡したいオーナーと譲り受けたい企業のマッチングを行っていました。しかしビジネス拡大に伴い、新たな管理システムを導入しなければニーズに追いつかなくなると考え、マッチング情報の一元管理を目的にSalesforceを2014年に導入しました」と、菊地原氏は語る。
導入当初は「すぐに効率化を目指す」というよりも、将来、需要が増えたときに備えての情報一元化に主眼が置かれていた。制作されたシステムも「Salesforceにある“取引先”や“商談”、“活動”といったオブジェクトを利用するのではなく、“日報記録”“案件”など独自オブジェクトをつくって半ばスクラッチで開発し、慣れ親しんできた手法に合わせようとしていました」と、菊地原氏は言う。
同社がSalesforceを積極的に活用し、業務の効率化を進めていくことになったのは、2016年のこと。「Salesforceに登録された企業情報を、必要な項目だけに絞って、1枚の帳票内に収まるように印刷したい」という現場からの要望がきっかけだった。そして、帳票ソリューションを検討する中で、データマーケティング部が着目したのがSkyVisualEditorだ。
「SkyVisualEditorなら印刷用画面だけでなく、検索画面の作成もできることが分かりました。オリジナルの検索画面を作ることができれば、マッチング業務の効率化が実現できると考え、導入に踏み切りました」(菊地原氏)
譲渡企業と譲受企業のマッチングをいかに効率よく短時間で行えるかは、同社のビジネスの肝だ。Salesforceに登録されている企業の情報・条件を、検索システムによって絞り込めるようになれば、譲渡企業あるいは譲受企業の条件に合った候補を高精度かつ高速にピックアップすることができるようになり、業務を大幅に効率化することができる。
SkyVisualEditorを導入した同社では、テラスカイのサポートを受けながら帳票印刷用の画面とマッチング用の検索画面を制作。検索画面は企業名、所在地、業種、売上など15項目から条件に合う企業を絞り込めるものにした。これによってマッチング作業の効率化は大幅に進んだという。
機能改善・追加に迅速に対応できるよう、活用指針を見直し
さらに2018年、同社は大がかりな改善に踏み出す。具体的にはSalesforce活用の指針を見直し、日報管理やマッチングに利用していた独自設定の部分をすべて外すことにしたのだ。その従来からの方向転換の理由を菊地原氏は次のように説明する。
「Salesforceのように、ユーザーの使い勝手を考えた改善や新機能追加といったアップデートが頻繁に行われるプロダクトを利用する場合、自社の業務に合うように手を加えるのではなく、業務の方をプロダクトの設計思想に合わせた方がビジネスの効率がいいと気づいたのです。その方が、プロダクトのアップデートに追随しやすくなりますし、手を加えたが故に新機能が使えないという事態に陥ることもなくなります。それにSkyVisualEditorがあれば、GUI(*)で簡単に画面を開発できるので、スクラッチで独自機能を追加するのと同様の効果を得られます。つまり、ビジネスの変化にもスピーディに対応できるということです」
*GUI:ポイント&クリックで直感的に操作できるインターフェイス
対面式で疑問点解決や技術的アドバイスが受けられるSkyVisualEditorアドミンカフェ
独自設定したオブジェクトなどを、あらかじめSalesforceにサービスとして用意されているオブジェクトに割り当て直し、さらにSkyVisualEditorで操作性の改良をはかっていくという業務は、同部 石田 亮壮氏が担当することになった。同氏は2018年に新卒で入社し、それまでSalesforceに触れたこともなく、プログラミングの経験もなかったという。
「最初はメールサポートなどでSalesforce、SkyVisualEditorの使い方を覚えようとしていました。しかし調べていくうちに、テラスカイのWebサイトでSkyVisualEditorアドミンカフェ(以下、アドミンカフェ)のことを知り、参加することを決めました」(石田氏)
アドミンカフェはSkyVisualEditorのユーザーを対象に、テラスカイ本社のセミナールームで月1回開催されている、いわば自習教室のようなものだ。参加者はその場でエンジニアのアドバイスを直接受けながらSkyVisualEditorによる開発を行える。疑問点の解決やよりよい設定方法などについて、プロのサポートを受けられると好評を得ている。
「参加前は、『初心者の自分が質問しにくい雰囲気があるのではないか』、『自分が実現したいと思っていることを上手く説明できるのだろうか』といった不安もあったのですが、実際に参加してみると印象は真逆でした。エンジニアの方は解決したいことを根本まで掘り下げて話を聞いてくれますし、その上でアドバイスをくれたり一緒に考えてくれたりします。Salesforce側の設定が影響してくるような問題も、ここで聞けばすぐに解決できるので、とても役に立っています」(石田氏)
Salesforce活用に、スピードと柔軟性を与えるSkyVisualEditor
2018年5月以降、石田氏は毎回アドミンカフェに参加し、サポートを受けながら旧来マッチングに利用していた検索画面をLightningコンポーネントへ移行する作業を進めてきた。まだ完成形ではないというが、使い勝手やデザインが向上し、社内からの評判もいいとのことだ。現在は、画面のさらなる改善に取り組みつつ、SkyVisualEditorを活用して、Salesforceのデータを社外向け資料として出力する際の統一フォーマットづくりにも挑戦している。
また菊地原氏は、「ビジネスの変化に合わせてSalesforceを使っていくには、画面内の入力項目を増やしたり変更したりする必要が出てきます。それらの対応を、アドミンカフェで教わったノウハウを使って社内対応できるようになることを考えると、SIerに開発や修正を依頼するのに比べ、スピード面でもコスト面でもメリットが生まれると思います」と、アドミンカフェのメリットを語る。
Salesforceの持つ柔軟性を損なうことなく、自由な画面開発が行えるSkyVisualEditorと、開発の内製化をサポートするテラスカイのアドミンカフェ。両者を上手く利用することでSalesforceの活用範囲は大きく拡がり、ますます加速するビジネスのスピードにも容易に対応できる体制を整えることができそうだ。
また、今後アドミンカフェでは参加者同士で意見交換が可能なユーザー会を予定している。他社のSalesforce活用術を参考にし、自社の取り組みにも還元できる場となるに違いない。
[PR]提供:テラスカイ