2D/3D図面に対応する汎用CADとして、さまざまな分野で利用されているオートデスクの「AutoCAD」。最新バージョン「AutoCAD 2019」ではさらに活用の幅が広がっているが、その機能は非常に多岐にわたり、ノウハウの蓄積は簡単なものではない。そんなAutoCADユーザーを支えているのが、オートデスク公認のユーザーコミュニティ「AUGIjp」だ。
AUGIjpが果たしてきた役割とは
AUGIjpは、AutoCADユーザー同士の助け合いの場として、WebサイトやSNS、イベントなどを運営するコミュニティだ。その始まりは1990年ごろ、「NIFTY-Serve」のプライベートフォーラムに端を発する。2000年には一般公開され、その後アメリカのユーザーグループ「AUGI」と統合され、日本支部として正式に組織化された。2009年に法人化を果たすものの、2012年に一度解散、2015年に改めてオートデスクの支援を得て再始動している。
主な活動は、ユーザー同士のコミュニケーションを活発化させ、AutoCADをはじめとしたAutodesk製品の使い方を広めること。そしてユーザー目線のフィードバックによって、Autodesk製品をより発展させることだ。実際にAUGIjpとオートデスクの連携によって実現した代表的な機能として、AutoCADの日本語フォントがある。
日本語版のAutoCADが発売された当時といえば、まだWindowsなどのOSは存在しておらず、AutoCAD独自のフォントでソフトが提供されていた。そうした中、日本のユーザー視点に立ち、日本語フォントを用意したのがAUGIjpだ。このフォントは現在も使用されており、日本語版のAutoCADを支える礎の1つとなっている。
過去最高の盛り上がりを記録した「AUGIjp WorkShop TOKYO 2018」
オートデスクとも密接なかかわりを持っているAUGIjpは、ユーザー向けのイベントを定期的に開催している。直近では、2018年6月開催の「AUGIjp WorkShop TOKYO 2018」だ。過去最高の300名近い応募があり、急遽2週間前に受付を締め切ったほど盛況だったという。最終的には約220名が参加し、会場は大いに盛り上がった。
AUGIjp WorkShop TOKYO 2018ではAutoCADを含めさまざまなソフトウェアについてセッションが行われたが、中でも人気が高かったのが「O-1グランプリ」だという。これは特定の図形をお題に、AutoCADでどれだけ早くオペレーションできるかを競うユーザー参加型のイベント。バージョンアップを繰り返しているAutoCADは、作業を簡略化できるコマンドなどが随時追加されていたりする。そういった機能を効果的に利用した効率的なオペレーションを、リアルタイムで見ることができるため、実際にAutoCADを利用するユーザーから好評を博しているそうだ。
AUGIjpが開催するイベントのもう1つの目玉が、表では言えない裏話も飛び出す、閉会後の懇親会だ。AUGIjp WorkShop TOKYO 2018ではスマートフォンで見られるジョークを交えた裏セッションが開催され、お酒が入っているような場でなくてはできない“ざっくばらん”なトークも繰り広げられた。セッションの場では質問しづらい内容でも、懇親会ならば気軽に話ができるという。
なお、この懇親会でAUGIjpとのかかわりを深め、それをきっかけにスタッフになる方も多いそうだ。AUGIjp 副会長の星康久氏は「そういう私もその1人で、2006年の懇親会でAUGIjpのスタッフに誘われ、今にいたっています」と話す。
その他、AutoCADの書籍を執筆している方のセッションや、オートデスクのノベルティグッズが当たるじゃんけん大会など、内容は盛りだくさん。学ぶだけでなく、人脈を作る機会としても気軽に参加できそうだ。詳しいイベントレポートを読みたい方はAUGIjpで確認してほしい。
Autodesk Universityへの派遣も
AUGIjpでは、世界各国からユーザーが一堂に会するカンファレンス「Autodesk University」への派遣も行われている。2018年11月にラスベガスで行われた同イベントにも参加。毎回1万人以上が参加し、セッションは800以上。会場にはミートアップの場も用意されているため、ただセッションを聴くだけでなく、色々な方と情報網を持つことができるという。AUGIjpもまた、ここで得られた情報や知見を日本に持ち帰り、ワークショップの参考にしているそうだ。
今年のAutodesk UniversityにAUGIjpから参加した方は、「規模の大きさ、セッションの数とジャンルの広さに驚き、自由で楽しい雰囲気の中、たくさんの刺激を受けた3日間だった」と、圧倒されていたそうだ。 Autodesk Universityは、最新の技術だけでなく、地域ごとの特色が吸収できる貴重な場となっており、同時に日本のオートデスクユーザーがコミュニケーションし、悩みや課題を共有できる場にもなっている。
AutoCAD 2019 for Macに日本語版が登場
2018年末、日本語版のAutoCADに大きなニュースがあった。それは、長らく待ち望まれていた「AutoCAD 2019 for Mac」「AutoCAD LT 2019 for Mac」の日本語版がリリースされたことだ。これまでも英語版やフランス語版は存在したが、デザイナーなどを中心にMac版の需要は大きく、以前から英語版を使用している方も多かった。そんな根強いMacユーザーの声やマーケットの大きさに対応する形で、ついに日本語版、ドイツ語版が発売された。(プレスリリースはこちら)
大きな特徴は、クロスプラットフォーム ライセンスで提供されているため、Windows版で契約している人が再契約なしにそのまま利用できる点だ。あくまで2D/3D CADとしてのAutoCADが対象で、AutoCAD including specialized toolsetsに含まれる業種別ツールセットはWindows版のみとなるが、同じライセンスで利用できるのはありがたい。
macOSの独自機能に対応していることもポイントだ。macOSには、例えば画面分割できるSplit Viewや、トラックパッドのMulti-Touch ジェスチャなどが搭載されているが、これらを駆使した操作が行える。さらにMacBook Proであれば、Touch Barにコマンドを割り当てることも可能。また、パスのマッピング機能が提供されており、一度設定してしまえば、外部参照でWindowsのファイルを開く際もスムーズに行える。
オートデスク 技術営業本部 AutoCAD エバンジェリストの大浦誠氏は「利用者に評価の高い、図面比較の機能もAutoCAD 2019 for MacおよびAutoCAD LT 2019 for Macでご利用いただけるようになりました」と話す。
「AUGIjp WorkShop KANSAI 2019」も参加受付中
精力的な活動を続けているAUGIjp。次回のワークショップは大阪での開催を予定しており、「AUGIjp WorkShop KANSAI 2019」としてすでに申し込み受付を開始している。日時は2019年2月2日(土)、場所は大阪の「グランフロント大阪」となり、定員は100名の予定。
今回の見どころの1つは、初開催となる初心者向けのハンズオンセッション。もう1つは、クラウド製品「Autodesk BIM 360」のセッションだ。星氏は「これまではあまり初心者に向けたキャッチアップを行って来ませんでしたが、ニーズはあると思い企画しました。まだあまりAutoCADに慣れていない方もぜひ遊びに来てください。また、Autodesk BIM 360のセッションも今までにない取り組みですので、使いこなしたい方はぜひ参考にして欲しいと思います」とアピールする。
技術系のワークショップと言えば男性ユーザーが多そうなイメージがあるが、オートデスク マーケティング本部 フィールド マーケティング スペシャリストの唐沢春香氏は「女性のCADオペレーターも増えており、前回も参加者は男女半々くらいでした」と説明。女性であっても気兼ねなく参加できるイベントとなっているそうだ。
もちろん人気のあるO-1グランプリは今回も開催を予定しており、懇親会への参加も募集中。懇親会には別途会費が必要になるが、AUGIjp WorkShop KANSAI 2019自体への参加は無料で昼食も提供されるので、足を運べる方は気軽に参加してほしい。きっと新しい発見、新しい人脈に出会えるはずだ。
「AUGIjpで行っているワークショップは、オートデスクをはじめとした協賛企業の協力によって、無償で行われているものです。勧誘などは一切ありません。本当にユーザー同士が語り合えるイベントですので、ちょっとでも気になったら、気楽に参加して欲しいと思います。会場で皆様をお待ちしています」(星氏)
参加してみたい方は、AUGIjp WorkShop KANSAI 2019イベントページまで。
AUGIjp WorkShop KANSAI 2019
【日時】
2019年 2月 2 日(土) 10:00 ~ 17:30(受付9:30~)
【会場】
グランフロント大阪 タワーA 31F Room-C,D
大阪府大阪市北区大深町4番20号 グランフロント大阪 タワーA 31F
https://www.grandfront-osaka.jp/access/
[PR]提供:AUGIjp