働き方改革を推進するうえで、大きな悩みのひとつが「データの保管場所」に関する制約だ。データ本体はクラウドストレージに置き、仮想化したデータで業務を行えるようにするファイル仮想化ソリューション「Shadow Desktop」なら、データがある場所を考えずに、いつでもどこでも柔軟な仕事が可能になる。「Shadow Desktop」をリリースするアール・アイの取締役 石坂俊成氏と、クラウドストレージをはじめとした多彩なコンピューティングリソースを提供する、さくらインターネットの営業部エンタープライズユニット ユニット長 三國雄太氏、マーケティング部部長 小松直登氏が、データ利活用の現状と未来像について語り合った。
"Made in Japan"という安心感
石坂氏
御社は、専用サーバー、ハウジングなどさまざまなホスティングサービスを手がけていらっしゃいます。いわば総合データ企業ですよね。
三國氏
もともとは個人ユーザー中心で小規模のユーザーが多かったのですが、最近は法人顧客が増えています。サーバー・コンピューティングリソースをそのまま、しかも安価に出すというところに徹していて、クラウドのゲートウェイやGPUサーバー、バックアップ、IoT関連サービスも提供しています。最近ではIoT/M2M向けのSIMカード提供も始めました。
石坂氏
世界的に見ても御社のデータ事業は規模が大きいと伺いました。
小松氏
HostAdviceによる2018年の最新調査では、Webホスティングのマーケットシェアは世界で16位、日本国内では約23%で1位です。北海道の石狩にデータセンターを有している点も、多くの日本企業にご愛顧いただいている理由のひとつと考えています。
石坂氏
日本企業は、やはり日本の法人がサービスを提供し、データも国内にあるという点を重視するところが多いのでしょうか。
三國氏
そうですね。業界・業種にもよりますが、「海外にデータを置くのは不安だ」というお客様に、安心や信頼を感じていただける部分はたしかにあります。
石坂氏
利用されている業界・業種では、どういったところが多いのですか。
小松氏
官公庁、製造業、医療といったところがメインです。サーバーをオンプレミスで持っていて自社運用しているところのほうが、「海外にデータを預けて大丈夫?」という不安をより強く感じていらっしゃるようです。
石坂氏
まさに"Made in Japan"の強みなんですね。北海道は自然災害が比較的少ないですし、リスクヘッジやBCPの点からも御社を選ぶメリットが大きいと感じます。
三國氏
日本はやはりリスクという部分にこだわりますので、北海道にデータセンターをかまえて国内展開していることは、私たちのアドバンテージだと考えています。
クラウドの浸透が進む一方、データのありかが不明瞭に
石坂氏
最近はAmazon S3をはじめとして、オブジェクトストレージを活用する企業や組織が増えています。クラウドにデータを置き、シンプルなコンピューティングリソースで業務を行うスタイルが浸透しているのだと感じています。
三國氏
オブジェクトストレージはクラウドの中のデータ格納空間に過ぎないため、クラウド上の広大なストレージ空間を効果的に活用するには、どこにどのようなデータを置いたかをユーザーが把握していないとなかなか難しい。そこで重要になるのが、「Shadow Desktop」のようなフロントアプリケーションですね。これにより、ストレージに保管したデータを、さながら手元の端末にあるかのように利用できると思います。
石坂氏
データがどこにあろうと、仮想化のサービスを使って自在に活用できる時代になってきました。「Shadow Desktop」では、データはたとえば御社のストレージのようなクラウドにありながら、ユーザーからするとその保存先を意識せず、手元のPCにあるファイルを操作している感覚があります。
三國氏
テレビと同じようなものだと思います。テレビという機械はあくまで受信するだけで、テレビにデータ(映像)があるわけではない。セキュリティ的に見ても、テレビ受像機からは何も盗めませんよね。そのバックボーンとして私たちのインフラを利用していただき、アール・アイさんがフロントアプリケーションを提供されることで、データ活用はもちろんのこと、働き方改革のうえでも大きなメリットが生まれると考えています。
石坂氏
そもそもデータを集約して活用することの重要性が叫ばれている時代に、データをPCに保存しておいていいのか、という問題がありますよね。日々の業務で使っているファイルはPCに保存しておき、特定のファイルだけサーバーに送信するという使い方だと、各社員のPCにはサーバーに上がっていない無数のデータが残ることになります。だから、無数の端末に分散された膨大なデータのバックアップという需要があるのですが。
三國氏
ファイルを手元に残しておきたがるユーザーはたしかに多いですね。でもそれだと管理面とセキュリティ面の両軸において改善しません。しかしながら、PCに多くのファイルを残してサーバに上げないのは、どのファイルをアップロードするべきかの選別が社員個人に任せられていることと、手元にある利便性、そしてもうひとつはやはり面倒だからだと思います。
石坂氏
そういうシチュエーションで、ユーザー個人に判断をさせず、半ば機械的に上げていくのが「Shadow Desktop」の機能です。PCに残っているデータをすくい上げるのが「Shadow Desktop」の役割で、そのデータの行き先が御社のクラウド、と考えるとわかりやすいでしょう。御社のサービスと「Shadow Desktop」を連携させることで、データはまとめてクラウドに上げることができ、さらなる活用が可能になるわけです。
LANケーブルが不要になる未来へ
三國氏
営業担当者などはフィールドワーカーが多いですから、手元に残したいと考えがち。それは、出先はオンラインではない環境が普通だからです。PCがオフラインなら、たしかに手元に残しておいたほうが生産性は高いでしょうが、SIMさえ挿してあればいつでもオンライン環境になるわけですから、場所や時間の制約なしに業務ができるようになります。PCの更新をいま考えている企業は、このタイミングでSIMが挿せるPCにすることを考えてみるのが得策なのではないでしょうか。
石坂氏
御社はフルMVNO業者としてSIMも提供されています。SIM(回線)×閉域網(ネットワーク)×クラウド(ストレージ)と、「Shadow Desktop」による場所をとわないセキュリティネットワークで、働き方改革の抜本的な改革を加速させたいと思います。PCを立ち上げた瞬間にネットにつながり、通常通りネットワークにアクセスできるからサーバーのファイルを利用できる。これなら場所【自宅・出張先・事務所】をとわず、同じ環境で業務が可能になります。これを私は「PCのスマホ化」と呼んでいます。データに関する足回りを一気通貫で手がけている御社と協業できるメリットは、とても大きいと感じておりアドバンテージだと思いますね。
これにより、LANケーブルを含めた従来のネットワーク構築や設計は不要になります。2020年に向け、SIMをめぐる環境はここ数年で劇的に変わってきています。5Gによるハイスピード化も具体的な視野に入ってきました。多くの利用者に、ネットワークの考え方を含めたインフラ設計も提案していきましょう。
三國氏
5Gについて、まだはっきりとしたことはいえませんが、積極的なアプローチを開始しています。
小松氏
私たちは、データビジネスにも注力したいと考えています。通信やデータの保存、連携システムを一体で提供する、IoTプラットフォームサービスの提供を始め、安全で安価な通信を提供するSIMサービス事業もスタートさせました。最終的なビジョンは、多彩な手段でデータを収集、データセンターに蓄積することで、様々なサービスが生まれ続けるプラットフォームビジネスにつなげていくことです。
三國氏
そのためにも、まずはデータ活用の大前提となるインフラの足回りをまず固める。そのうえで、アール・アイさんのような会社に私たちのサービスを使ったビジネス展開を進めていただくことを通じて、「気がついたらさくらインターネットを利用していた」という形で、結果的に事業を拡大していけたらと期待しています。
データを持ち歩かないファイル仮想化サービス
「Shadow Desktop」
クライアントPCにソフトウェアを導入するだけで仮想デスクトップのような使い勝手を実現し、PCのセキュリティ対策を一歩進めることができる新しいソリューションです。
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[PR]提供:アール・アイ