データ仮想化技術を軸に、エンタープライズ市場向け大規模環境におけるデータバックアップ、災害対策およびコピーデータ管理を得意とするアクティフィオは、全世界で3,000社以上のグローバル企業とサービスプロバイダーを顧客としている。そんな同社が提唱する新たなデータ利活用スタイルは、日本進出から6年を経て、日本国内でも徐々に浸透を始めているという。前回の記事では、同社が提唱するデータ仮想化と、"ほぼ本番データ"の新たな利活用法について紹介したが、2回目の本稿ではパートナー企業との協業も含め、同社が目指す今後の展望を中心に紹介する。
アクティフィオは、もともとデータセンター向けバックアップソリューションとして国際的に高い評価を得てきた。近年はそれのみにとどまらず、そのバックアップデータを活用した「エンタープライズ・データ・アズ・ア・サービス」(Enterprise Data-As-A-Service:EDaaS)によって、前述の"ほぼ本番データ"を軸としたデータ管理とデータ利活用の新たなスタイルを提案している。
"ほぼ本番データ"= マスターデータを仮想化し、様々なシーンで利活用する
まずは、前回紹介したアクティフィオ製品の機能と強みを簡単におさらいしておこう。アクティフィオ独自の仮想データパイプライン技術(VDP)が実現するデータ管理プラットフォームは、本番データをバックアップ・DR/長期保存はもちろんのこと、取得したマスターデータを仮想コピーして利活用できる点が特徴だ。リカバリー、データ移行、災害対策などの用途に加え、アプリケーション開発のテスト環境やデータ分析など、仮想コピーを便利に活用できるのが最大のポイントといえる。
これまでのデータ管理では多数のコピーデータやソフトウェアの運用が煩雑で、バックアップ・DRはもとより、アプリケーション開発やテストにも多大な工数とコストを要していた。アクティフィオの導入で仮想コピーデータを活用すれば、管理・運用負担の軽減やコスト削減を実現できるうえ、物理データを用いないため大規模なストレージ容量も不要になるメリットがある。さらには、ハイブリッドクラウド・データセンターへの移行に際しても、異なるクラウドを結んだマルチクラウド連携を可能にしている。
「単独プラットフォームでデータ全般を管理するEDaaSによって、単なるバックアップ・リカバリーソリューションを超えた仮想化データの利活用を提案するのが、Actifioのユニークかつオンリーワンな特徴といえます」と、同社日本法人の代表社長 勝俣正起氏も強調する。
また、とりわけここ1年間で、単なるデータプロテクションのソリューションとしてだけでなく、「データ利活用やクラウド連携による、アクティフィオ製品の新鮮な魅力が浸透してきた実感を抱いている」と、勝俣氏は言う。
その同社が今後目指すビジョンとは、どのようなものだろうか。事業戦略兼ビジネス開発本部長 小川 高寛氏は次のように語る。
「データがこれからのビジネスの根幹であることは間違いありません。本番データに直接触るのではなく、仮想データであれば、取り回しが格段に容易です。グローバル企業に限らず、日本においても仮想データの利活用というマーケットを、さらに広げていくのが当社の最大のテーマです。この目標を達成するには、やはりパートナー企業との協業がキーポイントになるでしょう。幸いなことに、当社のテクノロジーコンセプトがおもしろいと言ってくださるパートナーが増えています。パートナー企業と共に当社製品の魅力をソリューションとして伝えていければと考えています」
今後はパートナーシップの強化に力を入れたい
また勝俣氏は、今後1年の具体的な展開について次のように述べた。
「当社のソリューションは、とりわけ規模の大きなエンタープライズ市場で活躍するものです。今後1年間もこのエンタープライズというキーワードに重点を置き、主に大企業にターゲットを当てて販売促進を強化していくことになります。それと並行して、やはりパートナーシップにも力を入れます。このたび富士通さんと提携しましたが、他のシステムインテグレーションにもアプローチし、彼らの大きな仕組みの中に当社の製品を導入していただきたいですね」
同社にとって、システムインテグレーションはまだまだ開拓できる領域が広い分野だと勝俣氏は考えており、メガバンクや公共系でのデータ利活用を積極的に訴求していきたいとのこと。パートナーは現在8社だが、単に提携をするのではなく、同社の真の価値を理解してもらえる密接なパートナーシップを結んでいきたいと、今後の展望を語った。
【パートナー紹介】コピーデータ技術でお客様貢献を目指す、パナソニック インフォメーションシステムズ
パナソニックグループのIT戦略の中核を担うパナソニック インフォメーションシステムズは、経験を強みに、グループ外にもITソリューションを提供しているメーカー系システムインテグレーターでもある。
良質な改善活動のサイクルが求められる、ITインフラ運用業務の歴史や新技術への取り組みについて、 エンタープライズソリューション事業部 総括(インフラ担当) 横須賀 武士氏に話を伺った。
かねてよりITにおける新しい技術への取り組みに積極的に挑戦してきた同社は、安定・安心を重んじるパナソニック社内のITインフラ運用においても、2002年度から着手したストレージ運用改善を皮切りに、段階的な「統合」による大幅な効率化と合理化効果を実現してきた。さらに、その過程で培ったITインフラ仮想化技術は同社の強みとして様々な顧客への貢献を実現している。
こうした中で、ITインフラ仮想化技術の最後発として、2016年からActifioによるコピーデータ仮想化の取り組みも開始した。リストアするまでは活用されることがない、従来のバックアップシステムとは異なり、「迅速な再利用」という特徴を持つActifioについて、複数の仮説をもとに事前検証(PoC)を実施。その効用を確認したうえで現在パナソニック社内プロジェクトへの適用を進めている。
また、同社の顧客事例として、コピーデータ仮想化技術とパブリッククラウドのハイブリッド構成による災害対策プロジェクトがある。必要最低限のデータ容量でDRを実現できるActifioの特性を活かすことで、パブリッククラウドとの現実的なハイブリッド環境を構築した。
【パートナー紹介】アクティフィオと、お互いの強みをひとつにした日立製作所
近年、データ量の増大に伴い、ITインフラの中でも特にバックアップやDRサイトの更改が長期間・大規模化することが課題となっている。日立製作所では、アクティフィオの持つコピーデータへの即時アクセスや効率的な重複除外・データ圧縮技術によって、ITインフラの運用コストを低減する取り組みを行っている。同社IoT・クラウドサービス事業部 データマネジメント本部 データベースサービス部 スペシャリスト 笹岡勇佑氏に、両社の強みを生かした今後の展望について話を伺った。
同社ではこれまで、ITインフラの刷新事例において、アクティフィオの「Actifio Sky/CDS」を活用したデータ仮想化のソリューションを提供してきた。同社のストレージ製品とActifioを連携することで、大容量データの高速バックアップが可能となり、物理環境/仮想環境が混在する大規模ITインフラのデータ管理の一元化・バックアップ時間の短縮を実現している。
一方で同社では、データベースなどのミドルウエアに関しても多くのノウハウを持っており、Actifioが得意とするデータベース連携による開発環境の効率化に加え、同社が提案するデータをRepurposing(再利用)するソリューションにより、データベースの開発において課題となる「コスト」と「時間」を、両方とも削減する新たな取り組みを進めている。
【パートナー紹介】日本アイ・ビー・エム、サイバー攻撃に備えたActifioの活用
サイバーリスクを想定した場合に、安全なデータに迅速に復旧できることがビジネスの継続性においては非常に重要なポイントだ。旧来のバックアップ、リカバリーの課題と、アクティフィオ製品の強みについて、日本アイ・ビー・エム ビジネス・レジリエンシー・サービス事業部 ソリューション企画 部長 内山豊和氏に話を伺った。
従来からのバックアップリカバリーの方式では、復旧できるデータの鮮度に制限が発生してしまう。一方で単純なレプリケーション方式では、万一サイバー攻撃を受けたり、誤ってデータを削除してしまった場合は、正常なデータに戻すことができない。
Actifioのデータ保護の仕組みは、マスターコピーと更新差分を必要なタイミングで取得できるため、データ復旧の観点で必要なタイミングに近い復旧を行うことが可能だ。またマスターコピーを、オブジェクトストレージなどを活用したWORM(一度しか書き込みを許可しないストレージ)に保管することで、ウイルスなどに耐性を持ったデータ復旧ソリューションを構成できる。
同社ではこれらの仕組みを推進し、顧客のビジネス継続を支援できるよう、システム復旧を自動化し確実に復旧作業を行えるソリューション、「IBM レジリエンシー・オーケストレーション」を展開している。このソリューションの中で、顧客の本番環境と復旧環境の間を取り持つデータ複製機能としてActifioの製品を活用している。
サイバー攻撃は、これからのIT環境においては「万一発生したら」ではなく「いつ発生するか」だと考えており、そのためにも慌てずにビジネス復旧できるための仕組みを作っておくことが重要で、同社とアクティフィオ、そしてパートナーと一緒にソリューションを展開していくことが可能と考えている。
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